Interview with Shuhei Nomura (Actor)
俳優、野村周平の 東京ライフストーリー
野村周平
俳優、野村周平。彼のスタイルはいつも嘘がなく、熱い真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。ニューヨークへの留学生活を経て、彼の目に今の東京はどう映るのか?今回は野村の考える「New Tokyo」を、彼の友人であるフォトグラファーROLLSWYZEが撮り下ろしたドキュメントストーリーで表する。
YOLO(You Only Live Once / 人生は一度きり)
「YOLO(You Only Live Once /人生は一度きり)」。この言葉を野村は何度も口にしていた。これは彼自身の人生の教訓であり、この言葉があるからこそ東京という強烈なパワーのある街で生きていけるのだ。東京に対して野村は何を思うのか。
「初めて上京したときは、すごい街だと思いましたよ。遊べる場所は多いし、いろんなことができるんだって。これほど遊ぶことに適した街はほかの国にはないですし、本当にいろんな人が集まっていますよね。だからこそ、この街に飲み込まれてしまってはいけないと感じています。周りに流されることは悪いことではないですけど、そこに気づけるか気づけないかはとても重要で。自分でもやってることがダサいなって思うようなこともありましたが、結局はかっこいいって思えるところに戻ってくることができました。それはなぜなら、俺には好きなことがたくさんあったから。アニメでも何でもいいんですけど、好きなことがあれば自分に一つ芯が通る。それはつまりプライドを持つってことかもしれません。俺のセンスが良いなんて話ではないし、別の界隈の人からは理解もされないかもしれない。でも、いい意味でのプライドを持って、人に媚びなんて売らない。そうすれば、東京という街や人に飲み込まれることはないはずです」。
好きな人と
好きな時間を過ごす
好きなことをして自分のプライドを持つこと。この価値観は、ニューヨークへの留学経験が大きく影響しているようだ。
「若いうちに違う国に住んでみたかったんです。それでニューヨークに行きました。街はかっこいいし、何よりもいい人が多い。だから生きる上での縛りが少なくて自由でしたね。例えばニューヨークのスケーターのキッズって、すごく礼儀正しいんですよ。人種関係なくみんないい奴らで、若くして大人でした。スケーターで、クリエイティブなこともしてて、そして礼儀正しいって本当に最強じゃないですか。彼らはよく『YOLO』って言うんですよ。人生は一度きりだぞって。そのマインドがすごく素敵だし、俺ももう細かいことを気にして生きるのはやめにしようって思えたんです。だから、嫌なことは無理してしないって決めました。それから帰国して、改めて日本の魅力に気づいたりもしました。でも、ぶっちゃけ今の東京には魅力を感じられなくて。コロナウィルスは一つの原因ではあるかもしれないけれど、もっと自由さと人目を気にしない雰囲気が日本でも出てくればいいのにって。そういう意味では、仲良くさせてもらっている野村訓市さんはニューヨーカーっぽいのかもしれないです。好きなことだけをして人生楽しんでるなって。誰に対しても優しいし、なんでも知っているから話をしていて面白いんです。そうやって好きな人と遊んで好きな時間を過ごすことで、人生は最高になっていくんです」。
東京ライフではなく
自分のためのライフ
彼が今をどれほど楽しもうとしているか。その熱量は今回のフォトストーリーからも強く伝わってくる。気心の知れた友達と過ごす日々。それはもはや東京での生活だけに限らず、生きていく上で充実した時間に違いない。
「今の東京では、以前のようには人と会ったり外で酒を飲むこともできないじゃないですか。終わりの見えないこの状況にみんな疲れているし、本当は遠くへ行きたいと思っているはずなんです。だから、東京っていうテーマで今のリアルな俺の気持ちを表現すると、この街を脱出するってことになる。それが今回のストーリーであり、俺の東京での日々なんです。バイクでかっ飛ばせば気持ちは晴れるし、釣りをすれば自然に癒される。そこから帰宅したら、家で酒を飲む。コロナで東京は変わりはしましたが、俺は俺で楽しんでいるから。でもあくまで俺の東京がこれってだけで、ほかの人の東京を否定するつもりなんてありません。いろいろなことを言ってくる人もいますが、結局は自分の人生じゃないですか。世の中で絶対ってことは一つだけあって、それは人生には終わりが絶対にあるってこと。だから東京ライフっていうより、自分のライフをこれからもしっかりと楽しんでいきます」。
野村周平
兵庫県出身の俳優。釣りやバイク、車など様々な趣味を持つ。中でもBMXやスノーボードはプロ級の腕前を誇り、 ストリートカルチャーへの造詣が深い。
Photo ROLLSWYZE | Interview & Text Yutaro Okamoto |