Books of a Gentleman’s Spirit Vol.1
名著に見る紳士の生き様
男の生き方、美学に触れ、描かれた書籍は数多い。昭和の文豪から映画監督、プロデューサー、海外作家まで出自も背景もバラバラな作者が、数多くの作品を残している。エッセイ、ノンフィクション、海外小説。ここからはそんな紳士の生き様が綴られた名著を紹介していこう。本から学び、知識、教養を高めるのも素敵な大人の男の条件と言っても過言ではない。何より本を読む姿というのは、それだけで美しく、粋なものではないか。
鮨、蕎麦、天ぷらなどの食事から、スーツ、靴などのファッション、さらには職場での振る舞い、結婚、家に至るまで。男の人生においてのさまざまなトピックについて、その生き方・作法を作家・池波正太郎がインタビュー形式で語った1冊。無駄な贅沢をせず、人に迷惑をかけず、気持ちよく。池波ならではの人生訓も綴られた“粋”で“豊か”な人生を送るためのバイブル的1冊は、昭和56年の出版ながら、現代でも学ぶことが多い。
男性に向けて行動と思索、肉体と精神について固い文体で綴られた三島由紀夫の晩年のエッセイ集。行動とは生きる価値。行動の美、集団行動など、さまざまな問題にぶつかる社会の中でどのように生きるべきか、日々行動について考え続けた三島の思考に触れることができる。また、女性に向けて結婚や喧嘩など日常的なことについて書かれた「おわりの美学」も収録。内容はもちろん、三島のイメージを覆す軽妙な文章も楽しみたい。
本誌にも登場している演出家、河毛俊作の著書。「男、45歳からの服装術」というサブタイトル通り、大人の男性が持つべき、着るべきアイテムについて、三つの章に分け、190ページに渡って綴られている。シャツ、スーツからカーディガン、時計に靴まで。着用したい大人のライフスタイルまでが、TVドラマや映画、音楽を交えて書かれた1冊。人生経験豊かな河毛の考える、色気のある豊かな大人像を感じてほしい。
徳大寺有恒
クルマはジェントルマンを語る上で欠かせない。レーシングドライバーを経て自動車評論家となった徳大寺有恒が、車選びやカーライフの楽しみ方を収録したエッセイ。車に精通しながら、ファッションへの理解も深い著者ならではの視点で、デザインや機能はもちろん、乗りたいシーン、さらには食事やパイプまでがユニークな文体で描かれている。豊かな大人の男のライフスタイルを実現させる1冊として、読んでおきたい。
パリ、ニューヨーク、イギリス、台湾、京都、東京まで。世界中を旅した作詞家/ライターの松山猛が、旅先のエピソードを交えながら大人が持ちたい上質なアイテム、食事、居酒屋の過ごし方などのさまざまなマナー/美学について書いた1983年発売のエッセイ。筆者が旅先や日常を楽しみながら見つけた、上質で美しいモノ、コト、場所の数々はどれもが魅力的。本物を知り、遊びを知る大人の贅沢について考えさせてくれる。
Illustration Atsutomo Hino | Edit & Text Satoru Komura |