ART & CRAFTS Sculpture MAI AKASHI
日々の気づきに 形を与えた彫刻

Width 320mm Height 315mm Depth 160mm
硬いのか、柔らかいのか。写真からだけではその質感が掴みきれない不思議な素材感の作品。どこか人肌を思わせるような生っぽさもあり、まるで小動物のように生きているかのようにも思えてくる。その素材は粘土で、制作工程で電気を使わず、人の手だけで形作っては磨いていき、焼成(土や粉を焼いて化学変化させ、強度や耐久性を持たせる加工)を行わないという独特の作品だ。手掛けたのは、平面や立体の作品を手がけるマイ・アカシ。彼女の作品を今回取り上げてくれた理由を、セレクターの南はこう話してくれた。「佇まいとしてはすごく柔らかいのですが、空間に置いたときの存在感の強さ、異質さがおもしろいですよね。ものすごく柔らかそうなのに、触ってみると硬い。その意外性もまた驚きでした。アートとも工芸ともつかない、独自の領域に存在している。まさにこのアート&クラフツというテーマを具現化した作品だと思います(南)」。

Width 245mm Height 260mm Depth 380mm
南の予想をいい意味で裏切ったアカシの作品。制作のテーマは、人、もの、自然らの結びつきだという。「身近にある些細なものごとをすくい上げて、深く考えていくことでたどり着く気づきを形にする方法を探しています。生活や時間、積み重ねや反復といった“日常的”なことの輪郭を探している感覚です。人と人の肌が触れ合ったり、もたれかかり合ったり、腕に身につけていたバングルの重なりにフォーカスしたりと、生活に潜む微かな動きや形に惹かれます。ものごとの新しい見方を探るような感覚でもあります。なのでこの作品は『実際に目で見て、触りたい』と思ってもらうことを意識して作り上げていきます。彫塑粘土でベースを作り、石粉粘土で固めていく。塗り重ねては削るという作業を繰り返して形成していきます。あるところまで形ができあがると、あとは削って研磨し続けていきます。しっとりと吸い付くような肌質を目指しています。その質感を最大限に生かすために、焼かずに生のままにしています。着色せずに粘土の白さのままにしているのは、見る人に想像の余白を残したいから。なので置く場所や1日の時間の変化、季節の変化などによって、これらの彫刻の表情はガラッと変わることを楽しんでくれる人も多いです。そのような気づきを持ってもらえると、この作品で伝えたかったメッセージが届いているのだなと嬉しくなります」。

Width 315mm Height 390mm Depth 315mm
マイ・アカシ
⼈や環境、もの、⾃然などさまざまな要素が影響し合う関係にフォーカスした作品を手がける。平面作品や立体作品など形態はさまざまで、生の素材感に近い有機的な表現を特徴としている。
南貴之
アパレルブランドのグラフペーパーやフレッシュサービス、ギャラリー白紙など幅広いプロジェクトを手掛ける。今年1月にはアムステルダムに支社を作るなど、海外での活動にも力を入れている。
| Select Takayuki Minami | Photo Masayuki Nakaya | Interview & Text Yutaro Okamoto |












