CAREERING SALON by KATETAYLOR
松田翔太率いるキャリアリング ピアスブランドだからこその ヘアサロンという新たな提案
松田翔太がアートディレクターを務めるピアスブランド、キャリアリング。一つのフープピアスから始まったこのブランドは、オリジナルアイテムに加えて東京を代表する様々なクリエイターとのコラボレーションも行い話題を呼んできた。2016年のスタートから早8年が経過したキャリアリングが次に仕掛けたのは、意外にも“ヘアサロン”。「キャリアリング サロン バイ ケイトテイラー」と名付けられたそのお店は、2024年の最強開運日と言われる7月29日(「天赦日」「一粒万倍日」「母倉日」「大安」が重なる)にオープンした。これから何かが起こる気がしてならないキャリアリング サロン バイ ケイトテイラーについて、仕掛け人である松田と藤原ヒロシ、そしてヘアスタイリストを務める木下公貴(ヘアサロン ケイトテイラー代表)に話を聞いた。
ーーピアスブランドとしてなぜヘアサロンを作ろうと思ったのですか?
松田 キャリアリングはたとえば僕にとって、ヒロシさんは藤原大学の教授のような存在で、その大学のキャリアリングというクラスで僕が勉強させてもらっているみたいな感じなのかな。
藤原 翔太くんとはご飯を食べたり、バックカントリースキーやスノーボードを一緒にしたりする仲だったのですが、「リングピアスのブランドを始めたい」と相談をもらったんです。僕も30年間ずっと一個のピアスをつけ続けていて、それがリング状のピアスだったので運命や面白さを感じたのがキャリアリングの始まりですね。
松田 あるときに、ヒロシさんからしたら何気なく口にしたことだったのかもしれないのですが、「ピアスという小さなアクセサリーをメインにしているキャリアリングが、何か大きなものを表現したら面白いんじゃないかな」と仰ったんです。その言葉がそれからずっと心のどこかに引っかかっていました。ピアスより大きなアイテムとは何なのかと。例えばバッグを作ればいいのかな、とか。最初はファッションブランドとして発展していく方向を考えていたのですが、それも違う気がしていて。キャリアリングが進む未来をいろんな角度から何となく想像していました。その中で相性がいいだろうと思ったのがサロンだったんです。それからずっと、ヘアサロンをいつかできないかと常々考えていました。
ーー藤原さんは松田さんからヘアサロンの話を聞いてどう思いましたか?
藤原 ピアスブランドであるキャリアリングの最初のお店がヘアサロンなのは面白いですよね。
松田 ヒロシさんに相談したら、「いいじゃん。やろうよ」とすぐ仰ってくださって。正直驚きの反応だったのですが、すごく嬉しくて。それがちょうど一年前ぐらいのことです。
藤原 でもピアスを売るというよりは、サブリミナル効果的にサロンで紹介するぐらいがちょうどいいのかなと思いました。そういうお店ってなかなかないじゃないですか。ホテルのウィンドウに高級時計やジュエリーが並べられていたりしますよね。でもそれはそのホテルで買ってもらうことだけを目的にしているのではなくて、世界観づくりだったり、そこで見て頭に残してもらうっていうことに意味があるのかなと。
松田 そうですね。だからキャリアリングのピアスを展示してはいますが、この場所で販売することは現状考えていないです。キャリアリング サロン バイ ケイトテイラーができたことにより、ジュエリーブランドとしてのキャリアリングだけではできなかったストーリー作りやシャンプーをはじめとしたプロダクト開発を考えることができるようになったので楽しみです。ヘアサロンで買えるとクールなものを生み出していきたいなと思っています。
ーーサロンオープンまでのことを教えてください。
松田 実は以前、キャリアリングのスタイルブックとしてヘアカタログを作ったことがありました。そのときにお世話になり、元を辿れば僕が20代前半から今もヘアカットをしてもらっているケイトテイラー代表の木下さんに相談したんです。
木下 翔太くんにその話をもらった時は、ケイトテイラーのお店を拡張するために移転をちょうど考えている頃でした。なのでその店舗を生かしつつキャリアリング サロン バイ ケイトテイラーとして新たなスタートをできるいいタイミングでした。
松田 それがちょうど一年前のことなので、かなりスピーディーに進めてきましたね。
ーーキャリアリング サロン バイ ケイトテイラーではどのような体験が出来ますか?
松田 木下さん率いるこのサロンは、お客さんに寄り添うスタンスが魅力ですね。サロンの色を前面に押し出すのではなく、その人に合ったヘアを一緒に考えてくれる。できるようで、実はなかなか難しいことだと思います。
僕はずっと木下さんにヘアカットをしてもらっていますが、思い切ったオーダーをしたとしても、木下さんは決してノーとは言わず、「いいね、やろうよ」と寄り添ってきてくれるんです。もともと髪を切られることが苦手な僕でも安心させてくれるんです。
木下 翔太くんは俳優という職業柄もあるので、彼とは一緒に考えながらヘアスタイルを育てていくことを大切にしています。役が決まると打ち合わせをよくしています。とある映画で80年代の役柄だったときは、80年代当時に流行ったテクノカットをしようとなって。テクノカット特有のもみあげを剃ることにも挑戦しましたね。
松田 失敗したら、もうね、、。
木下 あれは緊張しました。僕がケイトテイラーでテーマにしているのは、「デザイン」「似合わせ」「再現性」の3つの柱です。その上でキャリアリングのサロンとしてのオリジナリティを考えたときに、キャリアリングって足し算よりも引き算のデザインで、洗練されたシンプルなブランドだなと思ったんです。ケイトテイラーが提案しているヘアスタイルもまさにそうで、ポイントを一つに絞って、それを引き立たせるためにどんどん引き算をしていく考え方をしています。だから1回来てもらうだけでその人のヘアスタイルが完成するのではなく、2回、3回と通ってもらい、ブラッシュアップしていくイメージです。その関係性を続けられるようなコミュニケーションを心がけています。
松田 最近はヒロシさんの髪も木下さんが切っているんですよね。
藤原 僕の場合は特にヘアスタイルを変えることはなかったのですが、綺麗に切り揃えてもらっています。これからはキャリアリング サロン バイ ケイトテイラーで髪を切りたいとなると、僕もホットペッパーでの予約が必要なの?
木下 いやいや、直接で大丈夫なのでお願いします(笑)。
ーーコンクリート打ちっぱなしのベースと壁一面の鏡、道路側の開放的な窓、そして大きな冷蔵庫が目立つ内装ですが、どのようなテーマで作られましたか?
松田 冷蔵庫のひんやりとした冷たい感覚って、ジュエリーにも共通すると思ったんです。それに「清潔に密閉されている」というイメージもあって、キャリアリングのアイテムは試験管や精密機器を入れるクッション材を梱包材のパッケージにしていることにも通じるイメージだと納得したんです。
ヒロシさんが以前手がけたコンセプトショップ「ザ・コンビニ」やフレグランスレーベル「リトゥ」のお店にも冷蔵庫が置かれてありますよね。本当に素敵だと思います。キャリアリング サロン バイ ケイトテイラーの冷蔵庫には、これから作っていくプロダクトをぎっしりと詰めて、ピシッと整列している状態に揃えて販売していけるといいなと考えています。
藤原 冷蔵庫って普通はカオスな状態だから、そういう見せ方は面白いね。
松田 店内にあるショーケースに今はキャリアリングのジュエリーを置いていますが、今後はいろんなものを定期的に展示して、サロンに通ってくれる人が毎回フレッシュな気分を楽しんでもらえるようにしたいと思っています。
キャリアリングが一番最初に作ったフープピアスの名前は、「PLACEBO(プラシーボ)」。「偽薬。気休め薬として高揚感を得るおまじないのようなもの」という意味だ。ピアスを身につけたときの変身したような気分と、髪を切ったとときの生まれ変わったような新鮮な気持ちに共通する言葉だと感じた。だからこそピアスブランドであるキャリアリングがヘアサロンを開いたことへの説得力を松田の話から伝わってきた。キャリアリング サロン バイ ケイトテイラーでフレッシュな気分になるプラシーボ効果を体感してみるのはどうだろうか。
CAREERING SALON by KATETAYLOR
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Photo Kei Sakakura | Interview & Text Yutaro Okamoto |