Daisuke Gemma (Creative Director)

腕時計は自分の分身みたいなもの 源馬大輔

源馬大輔
1975年生まれ。ロンドンのブラウンズに入社、バイヤーとしてのキャリアをスタートさせる。2002年帰国後、07年に独立し源馬大輔事務所を設立。クリエイティブディレクション、ストアディレクション、インテリア、ミュージック、ファッションに関わる全てに携わる。2021年Case Studyを立ち上げ新たなジャンルにも挑戦中。2023年、rush productionに所属し、DJも本格始動。

様々な人から学んだ
腕時計との向き合い方

ロンドンにて自身のキャリアをスタートし、帰国後はサカイをはじめとする国内外の様々なブランドのクリエティブディレクションやコンサルタントとして、多岐にわたる活躍を見せる源馬大輔。音楽やアート、サブカルチャーに深い造詣を持つ彼にとって腕時計とはどんな存在なのだろうか。

Submariner Ref.1680 18K Yellow Gold
(1975) by Rolex
Ref.1680 はサブマリーナとして初めての日付表示機能を搭載したモデル。ヴィンテージ市場でも人気の高い赤サブモデルも存在する。源馬はNATOベルトへの変更のほか、風防もサイクロップレンズの付いていないものに変更するなど、自身のスタイルに合わせたアレンジを加えている。

「元々は1961年のロレックスが好きだったんです。文字盤の塗料や資材の変換期で前後の変化が面白くて。ただ今日着けている1975年製のサブマリーナーは、友人のカール・テンプラーが着けていた時計と同じもの。あまりの格好良さに『真似していい?』と許可を得て購入した1本です。イエローゴールドのサブマリーナは珍しく、あまり人と被ることがないので気に入っています。ただ元の金のブレスレットのままだと胡散臭く見えてしまうので尊敬する先輩の影響もあり自分のスタイルに合うDouble RLのNATOベルトに変更しました。僕が所有している他の時計も同様に変えているのですが、色々なNATOベルトを試し、Double RLのものが生地が分厚く使い心地が良いとわかったんです。僕の周りには自身のライフスタイルを腕時計にも反映している友人や先輩方が多く、彼らの腕時計との向き合い方はいつも感銘を受けています」。

ロンドン時代から東京をベースに移した現在に至るまで、様々な人と関わる中で腕時計との付き合い方も学んでいった源馬。そんな彼の時計選びにおいて重要な基準を聞くと“自分に合っているかどうか”だと語ってくれた。「腕時計には人となりが現れると思っています。例えば僕は車を運転しないので、デイトナなどのクロノグラフ系の腕時計は着けない。自分のライフスタイルに合わせた選び方が重要なんです。そういった意味では腕時計は自分の分身のようなものだと思っています。特に海外では腕時計を見て、どんな人間か判断されることも多い。今は腕時計の価値が上がっていて投資目的で購入している人も多いと思いますが、僕にとって腕時計は道具であり、身につけるもの。だからとんでもない金額のものなど、自分の身の丈に合わない腕時計は基本的に買わないですね。『今日の自分は腕時計に負けているな』と思いながら1日を過ごすのは辛いですし、人からそのように思われるのも格好悪いですから」。

Photo  Naoto UsamiInterview & Text  Katsuya Kondo

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