Takayuki Fujii (nonnative Designer)

時間を確認するのではなく 機能的なアクセサリー 藤井隆行

L to R
Apple watch series10
サイズ違いで2本所有しているという藤井のアップルウォッチ。「アップルウォッチはこれまでウルトラと呼ばれる一回り大きいものを着けていたのですが、長距離の出張と普段の生活で分けるためにコンパクトな、サイズのものを購入しました。新しい機能がどんどん追加されていくので機能的なアクセサリーとして、生活にないと困るレベルで重宝しています。バンドは普段の服装に馴染むように黒、グレー、ベージュの3色を作りました」。
Oyster Perpetual Ref.126000 by Rolex
シルバーのブレスレットとして使用しているというロレックス オイスターパーペチュアル。時間を確認することもないため竜頭を巻いておらず、左のアップルウォッチが示す時間とずれている。藤井が時計に求める機能は時間ではないことがこの写真からも見て取れる。
年を重ねて変化した
腕時計への向き合い方

洋服とは、人生を投影するための道具である”をコンセプトにものづくりをおこなう、ノンネイティブのデザイナー藤井隆行。彼が日常的に使用する腕時計にも、その哲学は反映されている。普段着けている腕時計は、2種類のアップルウォッチと現行モデルであるロレックスのオイスターパーペチュアルだ。

「昔はさまざまな腕時計やアクセサリーを着けていました。文字盤の大きさが好きでロレックスのポール・ニューマンモデルを着けていた時もあったのですが、年を重ねるごとに着けない時間が増えていったんです。ヴィンテージと呼ばれる時計は、相当丁寧に竜頭を回す必要がある上に、着けている時もぶつけたりしないように気を遣わないといけないので、扱いにくく感じていました。腕時計として使うというより高額なアートを身につけているような感覚が理由で、着けなくなってしまったのかもしれません」。

大好きな腕時計も、市場価値の高騰により気を遣う存在になってしまったということに加え、周囲から時計で性格が判断されるようなことが増えたのもヴィンテージウォッチをしなくなった理由だという。

「昔ほどは凝らなくなってしまいましたが、手首に何かを着けていないと落ち着かない自分もいて、今は実用的な道具として使えるものをしています。腕時計とはいうものの、これで時間を確認するということはあまりしていないんです。出張など電車に乗る時は電子マネーが使えるアップルウォッチ、電車に乗らない時はシルバーのアクセサリーとして現行のロレックス オイスターパーペチュアルを着けています。
アップルウォッチがあれば買い物もできるし、電車に乗る時はこれがないと不安。朝の散歩からこれを着けて、電車で都内へ仕事に向かう時まで付け替えることなくこの1本で完結します。アップルウォッチ以外にもスマートフォンと同期させられる時計はたくさんあるのですが、このシルエットが1番綺麗だと思っています。2本持ちしているのは、出張と普段の生活で使い分けるため。ベルトもその日の服装や気分によって付け替えて楽しんでいます」。

腕時計はあくまで道具であり生活の一部。自らの心地よいデザインを愛し、誇示しようとしないその姿勢が、ノンネイティブというブランドが作り上げる世界観ともリンクした。

藤井隆行
セレクトショップのスタッフを経て2001年よりノンネイティブのデザイナーに就任。人生を投影するための道具として表現されたシンプルかつモダンなウエアは、海外からも高い評価を得ている。家具、アートにも造詣が深く、収集家としての一面も持ち合わせている。

Photo  Tomoaki Shimoyama Interview & Text  Jo Kasahara

Related Articles