Interview with Enrico Grigoletti (C.P. COMPANY) About New Classic

C.P. COMPANYが大切にする 現代のイタリアンクラシック

ニュークラシックをテーマとする今回のSilverだが、C.P. COMPANYもまさに伝統と革新を追求し続ける稀有なブランドである。昨年、50周年を迎えたイタリア発のスポーツウエアブランドが、今もなお世界中の服好きを魅了し続ける理由には、クラシックへの敬意と、ニューを求める弛まない研究成果がある。

C.P. COMPANYのマーケティングディレクターである、エンリコ・グリゴレッティにブランドが考えるニュークラシックについて話を聞いた。

Enrico Grigoletti (C.P. COMPANY Marketing Director)
Photo Neil Bedford

イタリアのメンズファッションにおけるクラシックなデザインやスタイルのイメージというと、日本人の私たちからすると、“上質な素材のスーツ”や“遊びの効いた男らしいスタイル”など、そんなところだろう。では、イタリア人のエンリコからするとどうか。

「イタリアンデザインに一貫して言えること、それは、『品質だけではなく、ほかにはない要素を加える』という考え方です。この考え方は、デザイナーによって様々でしょう。創業者のマッシモ・オスティは、失敗にこそイノベーションがあると信じていました。現在デザインを行うポール・ハーヴェイやアレッサンドロ・ブンジェッティはクラシックの常識に捉われず、タイムレスな新しいアイコンを生み出すために常に努力を続けています」。

メモリアルイヤーを迎えた昨年から、新たな時代へと突入したC.P.COMPANYであるが、ブランドを代表する象徴的なゴーグルジャケットに留まらず近年は新たなデザインが増えてきているのも事実。ゴーグルがなかったとしても、C.P. COMPANYらしさを感じる服づくり。それは、独特な染色や生地開発によるものも多いだろう。

「スポーツウエアブランドであるからこそ、私たちは機能的であることを目的に作られたあらゆるプロダクトをデザインのインスピレーション源にしています。ミリタリーから運動着、作業着などを研究し、なぜこうしたデザインになったのかを追求する。いざプロダクトを作る時も、『なぜこうデザインをする必要があるのか?』を常に自問しています。そうすると、自ずと必要なデザインと削ぐべきデザインが見えてきます。そうして着想を得たアイディアを洗練された素材や加工技術とマッチさせていくことが、C.P. COMPANYが考えるイタリアンクラシックであり、これからの時代を超越していくクラシックを生み出すことに繋がるのだと考えています」。

今季のウエアでいうとまさに本誌P137で着用しているアウターの50Filli Gum Utility Jacketは、C.P. COMPANYが考えるニュークラシックに相応しいアイテムだという。

「これは私たちが考えるイタリアンクラシックを完璧に体現していると思います。かつて独自に開発したアイコニックな生地、50 Filliファブリックを使用したクラシックなフィールドジャケットの改訂版で、ガム樹脂を塗布して染色しています。イタリアの洋服好きな玄人が、スーツやシンプルな白シャツの上にさらっと着ていたような、着古した美しい表情がまさにニュークラシックだと思います」。

C.P. COMPANYの創業者にして、偉大なるイタリアンスポーツウエアの父である、マッシモ・オスティによる功績の素晴らしさはいうまでもないが、そのマインドを受け継いだ現在のチームも新しい挑戦を行い続けていることがエンリコの言葉の断片から読み取ることができる。

「確かにオスティは業界に革命を起こしました。ブランドのアイデンティティとなっている染色も、オスティは科学者を雇い、衣服の染色に関する研究開発を独占的に行うなど革新的でした。長い歴史の中で、これまでに生み出してきた遺産は我々にとっても欠かすことのできない貴重なものです。ですが、それを繰り返すだけでは進歩はありません。DNAとして受け継がれてきた革新と実験のマインドは、これからの進歩に繋げていかなくてはいけません」。

51年目を迎え、時代が求める機能と革新的なデザインを求め続けるC.P. COMPANYはまだ見ぬニュークラシックをこれからも作っていくに違いない。

Interview & Text Takayasu Yamada

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