What the Ocean Brings Nick Mason (Founder of always do what you should do)

ニック・メイソンが語る 海との対話とクリエイションの源泉

ロンドンを拠点にストリートシーンで独自の存在感を放つブランド、オールウェイズ。その創設者であるニック・メイソンのライフスタイルとクリエイションの根底には、常に海とサーフィンの存在がある。彼にとって海とは、単なるアクティビティの場ではない。自然と向き合い、自身の思考を研ぎ澄ませるための特別な場所なのだ。彼は一体なぜそこまで海に惹かれるのだろうか。

遊び心あふれる色鮮やかなグラフィックの数々は、オールウェイズのチームが内側から放つポジティブなエネルギーそのものだ。サーフボードに映えるソリッドさはもちろんのこと、手にする人を笑顔にさせてしまうような不思議な温もりも伝わってくる。
波と自然が教えてくれる
人生の教訓

美しい海が広がるニュージーランド北部のマウント・マウンガヌイで幼少期を過ごしたニック。海のすぐそばで育った彼は、ごく自然な流れでサーフィンに惹かれていった。当時、彼にとっての憧れであった年上のヘッズたちが皆サーファーだったことも、そのきっかけのひとつだという。「サーフィンを始めたのは11歳くらいだったと思う。家族にサーファーはいなかったんだけど、親友のお父さんに連れて行ってもらったのが最初かな。僕が尊敬していた年上の人たちはみんなサーフィンをしていて、そのカルチャーに徐々に惹かれていったんだ。サーフィンは僕のファッションの選び方にも影響を与えたし、気づけば自分の生き方そのものを形作る存在になっていた。毎日海に通って、完全に夢中になっていたよ。まるで恋に落ちたかのような感覚だった」。海の上では、日常のノイズから解放され、自分自身と向き合うことができる。そこには都市での生活では得られない感覚と、自然に対して彼が抱いた深いリスペクトがあった。「海の上にいると、身につけているものや社会的なステータスなんてまったく意味を持たない。誰もが平等な環境なんだ。自然のなかに身を置くと、人はすごく謙虚になれる。波は決して完全にコントロールできないし、海にいると太陽が昇る時間や潮の満ち引き、そして風の変化だったり、そういう自然の動きに敏感になっていく。すると、勝手にすべてに感謝する気持ちが生まれるんだ。海のない都会にいても、『今、風向きが変わったな』って感じるようになるくらいにね」。

ロンドンの喧騒と
海の静けさ

ニックが現在暮らすロンドンでは、毎日のように海へ通うことは難しい。しかし、彼にとってその環境のギャップこそが、創造力を刺激する重要な要素になっているのだ。「海は間違いなく、僕の知的好奇心を刺激してくれる場所だね。スマホを見ることもできないし、誰にも邪魔されずに考え続けることができる。一日中考えても答えが出ないことでも、海に入って一度頭をリセットすると、不思議なくらいクリアになるんだ。僕はもともと楽天的な性格だから、海は前向きなアイディアを育てるのに最高な環境なんだ」。その一方で、ロンドンのような大都市には、海とは異なる刺激があると彼は語る。「都市には都市でしか味わえないエネルギーがあるよね。日々のなかで感じるプレッシャーや街の喧騒、そして慌ただしく行き交う人の雑踏だったり。そんな環境はある意味サバイバル的で、別のインスピレーションを与えてくれるんだ。これは雨と晴れ、陰と陽みたいな関係だと思っている。シティライフにおける目まぐるしさがあるからこそ、海の静けさの価値もわかる。街では人々が何を着て、どんな音楽を聴いているかを観察できるし、その両方を行き来することが自分にとってすごく健康的で、クリエイティビティにも大きな刺激を与えているよ」。

今や第3弾まで継続しているアディダスとのコラボレーションだが、このスーパースターをベースにしたモデルがその記念すべきファーストモデルだ。随所に散りばめられたオールウェイズらしい遊びの効いたそのデザインは、発売と同時に瞬く間に完売した。この一足をきっかけに、彼らが放つインクルーシブなバイブスに魅了された人も多いはず。
言葉の壁を越えて放たれる
ポジティブなエネルギー

ブランドの象徴ともいえる“@”マークと太陽を融合させたオールウェイズのロゴ。その背景には、専門的なデザイン教育を受けていない、ニックならではの直感的な発想があった。「僕はグラフィックデザイナーではないから、ロゴを作るときの考え方はすごくシンプルだった。サーフボードの先端に貼ったとき、最高にかっこいいステッカーになること。それだけだったんだ。太陽をモチーフにしたのは、結局すべての生き物が太陽のエネルギーで生きていると思ったからで、“@”マークは今や国や言語を超えた共通言語だよね。インターネットを通じて、僕たちはみんなつながっている。誰が見ても理解できるシンボルなんだ。そしてロゴの光が屈折しているようなデザインは、僕たちの内側から放たれるポジティブなエネルギーを表現している。日々の忙しさのなかで忘れがちだけど、本当に大切なのは人と人との繋がりなんだ。少し理想論のように聞こえるかもしれないけど、僕は本気でそう思っている。オールウェイズを見た人が少しでも温かい気持ちになってくれたら、それ以上に嬉しいことはないよ」。ニックにとって、サーフィンや海で過ごす時間は人生のバランスを整え、本当に大切なものを見失わないための指針のような存在なのだろう。世界がどれだけ複雑になっても、彼の持つ価値観はとてもシンプルだ。波を待ちながら太陽の光を浴び、街では風を感じながら側にいる仲間たちを大切にする。オールウェイズが放っているポジティブなエネルギーの源泉は、そんな誠実なライフスタイルそのものにあるのではないだろうか。

ニック・メイソン
ニュージーランド出身。ロンドンを拠点とするストリートブランド「always do what you should do」の創設者兼デザイナー。サーフィンやスケートボードカルチャーをバックボーンに持ちながら、コミュニティとポジティブなメッセージを軸にした独自のスタイルで、世界中のユースから支持を集めている。

Photo  Provided by Nick MasonInterview & Text  Samuel Pattison

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