buddy-like gear Vol.1
機能とスタイルを表す 相棒のようなギアたち
パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの「知れば知るほど必要なものは少なくなる」という言葉通り、選び抜かれたギアには各々の大切にしている機能と思想が宿る。今回はスタイルが色濃く出るバッグとシューズを中心に、10人のクリエイターの「相棒」とそのアイテム選びの理由に迫る。

小嶋智子
Mountain Shoes by VIVOBAREFOOT
Backpack by and wander ARC’TERYX HYPERLITE MOUNTAIN GEAR
ファッション業界随一の山好きとして知られるスタイリスト、小嶋智子。20歳の頃から国内外の様々な山を踏破してきた彼女が今、山のギアに求めるものは“軽さ”だという。「紹介しているギアに共通するのは軽量であること。アンドワンダーの軽量バックパックの虜になり、その後アークテリクス、ハイパーライトマウンテンギアと、容量に応じて様々なタイプを使い分けるようになりました。登山靴も以前は足を守る重厚なタイプが主流でしたが、今は素足に近い感覚で地面や岩の感触をダイレクトに捉えられるものを好んでいます。装備を削ぎ落とすほど、自然と一体になれる感覚が深まります。そして長く使い続けるウエアに欠かせないのが着心地の良さ。どれだけデザインが良くても体に馴染まないものは選ばないし、心地良いものは色違いを揃えるほど愛用する。相棒になるウエアの第一基準は、まとった瞬間の心地良さなんです」。取材を通して感じたのは、彼女が自然を“感じる”ことに重きを置いているということだ。仕事の合間を縫って山を訪れる理由についても語ってくれた。
「もともと閉鎖的な空間や人混みが苦手で、山へ行くことは複雑な都会生活を維持するためのリセット作業でもあるんです。自然の中に身を置くと、植物や動物が持つ本来の美しさが自然と目に入ってくる。装備を軽くして意識を自然に向ける。その積み重ねが繊細な美しさを捉える感度を磨いてくれて、それがそのまま仕事に活かされている気がします」。
小嶋智子
2011年より青木千加子氏に師事し、2015年に独立。女性誌から俳優のスタイリングまで幅広く活躍。ヴィンテージミックスや情緒的な世界観が多くの支持を集めている。国内を始め、ネパールをはじめとする国外の山へも足を伸ばす生粋の山好きとしても知られている。

大貫達正
Bag by L.L.Bean
Shoes by Patagonia × Danner
さまざまな企業やブランドのディレクションを手がけ、文化の伝承をコンセプトに活動する『サンタセッ』の主宰も務める大貫達正。フライフィッシングを始めたのは約2年前。自然と調和する感覚や楽しんだ後の充実した疲れに魅了され、月に2回は早朝から渓流へ向かうという。フライフィッシングは魚との駆け引きや技術を楽しむゲームフィッシングの代表と呼ばれる。釣りの過程をより楽しむため、愛用するアイテムには大貫ならではの基準があった。「いかに難しい条件のなかで狙って魚を釣るかが醍醐味なんです。天然繊維で作られたこのバッグは、破れやすいし、すぐ濡れてしまう。機能的とは言い難いですが、これを使っている時間はとても心地良い。僕は釣りのとき、服には自分なりの『ドレスコード』を設けています。リネンシャツを羽織り、ヴィンテージベスト、英国の老舗メーカーのロッドやリールを選び、自然の中でもとにかく美意識を大切にする。一方で、命に直結する足元や防水装備には最新の機能を取り入れます。このブーツにはソールのフェルト地にスタッズを打ち込み、より足場の悪い渓流でも滑らないようにしています。ヴィンテージアイテムが持つロマンに、現代の機能的なアイテムを自分の感性で組み合わせるのが好きなんです」。
使い込まれた風合いとともに、これからも釣りの記憶や経験を積み重ねていくバッグとブーツ。大貫の美意識と自然への適切な向き合い方を体現する、大切な相棒と言えるだろう。
大貫達正
小学生の頃からヴィンテージデニムに魅了され、以来様々なファッションアイテムを集め始める。現在は数々のブランドでディレクションを手がけながら、世界中を旅をして集めた本当に好きなものだけを紹介する場所として、ギャラリー『SANTASSÉ』を主宰している。
| Photo Kentaro Otsuka | Interview & Text Katsuya Kondo Jo Kasahara Ayuko Hashimoto Shido Nanri |












