The Weight of Time Motofumi Kogi (POGGY)(Fashion Curator)

スタイルを持つ人に聞く 人生をともにしてきたレザー

PROLETA RE ART
Deerskin Leather Pants
今でこそ楽しめる大人のさじ加減
小木基史(POGGY)

ファッションキュレーターである小木基史 (POGGY)が用意してくれたのは、彼が厚い信頼を置くブランド、プロレタ・リ・アートのレザーパンツだ。「白いディアスキンに顔料プリントを施した一本で、昨年末に届いたばかりですが、すでに膝裏にはデニムのようなヒゲが出てきました。デザイナーのプロットさんによるフルオーダーで、パートナーのエリさんがリベットに錆び加工を施すなど、すべてが手作業。自分たちのアトリエにこもって形にされるものづくりには、作り手の思いがより宿っているように感じます。だからこそ、単なる服を超えたアートピースのような重みが伝わってくるのだと思いますね」。

若かりし頃お金を借りてまでも手に入れたショットから、今の自分へ。小木のレザーとの関わりは高校時代の衝動にまで遡る。「当時はマーロン・ブランド主演の映画『乱暴者』の世界に憧れて、無理してショットのライダースやレザーパンツを買っていました。味を出すために穿いたまま寝たり、お風呂に入ったり、先輩たちの真似をしてとにかく無茶をやっていましたね。でも一時期、レザーを着なくなったんです。背伸びをしている気がして、自分にはまだ似合わないなと。それが最近、また自然に着たいと思えるようになってきたんです。若い頃は、ダイヤモンドみたいに存在そのものが輝いていますよね。少しボロボロなものでも、若さという力がかっこよく見せてくれる。ですが、大人になってから傷や汚れのあるものを着こなすのは、実はすごく難しい。一歩間違えれば、だらしなく見えてしまう。ただ、洋服と向き合う時間を重ねてきた今、ようやく自分らしく着こなせる自信がついてきました。使い込んだレザーに、あえて対極にあるようなアイテムを合わせる。そんな大人のさじ加減を楽しめる気がしています。このパンツも、もっと穿き込んで味が足りないと思えば、また彼らのアトリエに持ち込んでスタッズを打ってもらったり、カスタムをしながら育てていきたいですね。流行を消費するのではなく、自分の人生をこの一本に投資し続けていく。それが僕にとってのレザーのタイムレスな在り方なのかもしれません」。

傷やシワを前向きに捉え、ともに物語を紡いでいく。一着のパンツに人生を投影する小木のストイックな姿勢こそが、変わりゆくトレンドの渦中で決して色褪せることのない輝きを放ち続けるのだろう。

​​小木基史(POGGY)
ファッションキュレーター。独自の視点でトラディショナルとストリートを融合させる、日本を代表するスタイルアイコン。直近ではジミーチュウのスタイルキュレーターに就任したことでも話題を呼び、その審美眼で文化の橋渡しを担う。

Photo  Masato KawamuraInterview & Text  Samuel PattisonEdit  Yutaro Okamoto  Samuel Pattison

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