The Weight of Time Keiji Kaneko (Owner of BOUTIQUE and FOUNDOUR)
スタイルを持つ人に聞く 人生をともにしてきたレザー

Leather Buckle Belt
レザーの着こなし
金子恵治
これまで数えきれないほどのプロダクトに触れてきた金子恵治。膨大なワードローブのなかでも、彼が最も古い相棒と呼ぶのが、四半世紀近くをともに歩み続けてきた一本のレザーベルトであった。「エディフィスでバイヤーをしていた30代手前頃だったかと思います。モードな服とは少し距離を置いていましたが、唯一心酔して仕入れたのがこのキャロル・クリスチャン・ポエルのレザーベルトでした。自ら買い付けて、21年間愛用している最も古い相棒です。当時はまだ『アルチザン系』という言葉で括られる時代ではありませんでしたが、その素材への探求心はデザイナーの域を遥かに超えていたと思います。このベルトも、製品後に染め上げるオブジェクトダイという手法が取られていて、20年以上の歳月を経て、レザーの表情と真鍮のバックルがゆっくりと一体化していく。この独特の質感は偶然とは思えません。作り手のポエルが何十年後の姿を明確に意図して、素材の奥底まで踏み込んで設計したからこそ到達できた、唯一無二の佇まいなのだと感じています」。

エイジングを愛着へと変え、年齢とともに更新され続けるレザーとの時間。購入した瞬間がゴールなのではなく、自分の一部にするためのスタートだ。「環境や経年で変化し、味がでてくる。でも、そこが愛着になるんですよね。レザージャケットもそう、『やっと自分の形になってきた』という感覚を着込むことによって実感しますよね。なので購入は終わりではなく、そこが始まり。それが分かると服の選び方も変わってきます。このベルトはソリッドで切りっぱなしという、とてもシンプルな構造。だからこそ僕のスタイルの変化にその都度馴染んでくれます。20年経った時に『あの時の自分の目は間違っていなかった』と答え合わせができるんです。昔はネイビーのスーツにシュッとした革靴などを合わせていましたが、今はヴィンテージのデニムに肩肘張らずに取り入れる。年齢とともに使い方が更新され、自分の一部になっていく感覚です。タイムレスでありながら、自分と一緒に歩んでいくレザーのあり方が、やっぱりかっこいいなと思いますね」。
単なる経年変化という言葉では片付けられない、自分の一部へと馴染んでいく一体感。そんな対話をも楽しめるレザーは、移ろいゆく時代のなかで金子が彼自身であり続けるための確かな道標となっている。

金子恵治
セレクトショップ「L’ECHOPPE」の立ち上げを経て独立。2023年に北青山に「BOUTIQUE」をオープン。現在は自身のブランド「FOUNDOUR」のディレクションやファッションを中心に多方面で活動中。
| Photo Masato Kawamura | Interview & Text Samuel Pattison | Edit Yutaro Okamoto Samuel Pattison |












