Silver No.28 Fashion Story Watch Description
10本の腕時計とスタイル Styling by Tsuyoshi Noguchi
Oyster Perpetual Ref.1002/8 (1969)
by Rolex
ロレックスの基本型とも言えるミニマルな美しさ
1950年代後半~1970年にかけて製造されたRef.1002はオイスターパーペチュアルの基本型と言われており、自動巻き、100m防水などロレックスらしい機能は備えつつ、シンプルでタイムレスなデザインで近年注目を集めている。その中でも1960年代初頭~中期のごく短期間のみ生産されたブラックミラー+ギルトプリントの組み合わせは、その希少性とデザインから高い価値を誇る。ちなみに戦後日本のキーパーソンの一人、白州次郎が愛用していた腕時計はRef.1002の兄弟モデルに当たるRef.1003だった。
Hour Grass Ref. 2461 (1952)
by Patek Philippe
熟練の職人技が光るラグジュアリーウォッチ
最も権威のある世界最高峰の時計ブランドのひとつとされるパテックフィリップ。純度の高い光沢感が特徴の最高級素材、プラチナ950を使用した優雅なケースは手首からラグジュアリーな輝きを放つ。レクタングルの直線的で洗練されたフレームと11個のダイヤモンドが配置されたインデックスはギラつきすぎない絶妙なバランス感。見た目だけでなく、搭載されているムーブメントは同社を代表する角型時計のために設計された専用のもので、開発以降さまざまな腕時計に搭載された。1934年から33年間作り続けられた、まさに技術力の結晶といえる1本だ。
KHAKI FIELD (1972)
by HAMILTON
アメリカ軍を陰で支えた傑作ミリタリーウォッチ
ハミルトンは第一次世界大戦からアメリカ軍に時計を供給している老舗ブランドであり、カーキフィールドはその中でも1960年代後半~1970年代のベトナム戦争時に米軍支給品として製造されたモデル。隊員同士の正確な時間の同期を可能にするため、竜頭を引くと秒針が止まる「ストップセコンド」装置や夜光塗料(トリチウム)の搭載など軍支給品ならではの仕様を備えている。現在は同社から「KHAKI FIELD Mechanical」として忠実に再現した復刻モデルが販売されるなど、時を超えて長く愛されている名品となっている。
Must Tank Vermeil LM (1970)
by Cartier
歴史もデザインも申し分ないドレスウォッチの代表格
老舗高級ジュエラーでありながら、腕時計としても歴史のあるカルティエを代表するモデルのタンク。ドレスはもちろん、カジュアルな装いにまで受け入れられ、老若男女に愛される名作である。その中でもこちらは、ヴェルメイユと呼ばれるシルバーの上に厚く金を貼る加工技術が用いられておりクラシカルかつ品格のある1本となっている。同モデルの中でも希少性の高いガーネットダイヤルは、ファッションスタイルの中でも差し色として重宝するほか、美しい赤の色味を腕元で眺めると情熱的な気持ちになるはずだ。
Constellation GF (1970)
by OMEGA
ジェラルド・ジェンダによるシンプルなデザインが秀逸
腕時計界における最も重要なデザイナーとして知られるジェラルド・ジェンダがケースデザインを手掛けた、“Cライン(ジェンタケース)”が特徴的なこちら。その中でも珍しいGF(ゴールドフィルド)仕様。コンスタレーションとは“星座”を意味し、6時位置には星マークが配され、裏蓋には8つの星と天文台のレリーフが配されている。これはこのモデルが発表された当時、優れた精度がコンクールで認められ、8つの記録を受賞したことに由来されていて、ヴィンテージながらも実用性も兼ね備えている。
Chronometre Royal Ref.6075 (1960)
by Vacheron Constantin
世界最古の歴史と伝統をシームレスに楽しむ
数多くの高級腕時計ブランドが誕生したスイスにおいて、記録に残っている最も古い時計ブランドの一つとされるのが、1755年に誕生したヴァシュロン・コンスタンタンである。同社のトレードマークであるマルタ十字を時計の取り付け部分に採用している遊び心を持ち合わせたこの1本は、文字盤が2トーンで仕上げられており、竜頭にもハスの花が描かれた珍しいモデル。ブラックのベルトにゴールドのケースはスーツからカジュアルまでシームレスに着用でき、文字盤を見た時の特別な高揚感は別格だ。
Pocket Watch Triple Sign (1900s)
by Tiffany & Co.
100年以上の時を刻む当時の気品を受け継ぐ懐中時計
20世紀初頭まで高級時計のディーラー・リテーラーとしても活躍していたティファニーが手がける懐中時計。筆記体表記のティファニーロゴや装飾的なロココ調のルイ針など、現代では実用品としての側面が強い腕時計に対して、嗜好品として愉しまれていたことがよくわかる。エナメル文字盤、18KYGケース、ムーブメントそれぞれに刻印のある、通称トリプルサインと呼ばれる真正性を示す人気の高いディテールを備え、裏ぶたには最初のオーナー名のモノグラムが配されるなど当時実際に使用されていた息遣いを感じることができる。
Rectangular Ref.1493 (1945)
by Patek Philippe
機能的な曲線美を持つアールデコデザインの長方形
アールデコデザインをモチーフに作成されたという、18Kのピンクゴールドで作られたこの長方形のケースは、側面から見るとやや湾曲したデザインが腕にフィットするように作成されており、見た目だけでなく機能面でも美しい。スクエアピラミッド型とローマ数字が組み合わさって表現されている文字盤の外周に配置されたミニッツレイウェイトラック(鉄道の線路)と呼ばれる分を表すメモリは、当時のパテックフィリップならではのデザインだ。角形ムーブメントの最上級とも言われるCal.9-90を搭載しており、40年代を代表する名機といえる。
Oyster Perpetual Submariner Ref.6205 (1954)
by Rolex
後世に続くサブマリーナー初期の雰囲気あるモデル
1953年に登場し、本格防水時計の雄として現代でも高い人気を集めるロレックスのダイバーズウォッチ、サブマリーナー。このモデルは、デビュー翌年の1954年に製造され、作られたのはたったの810本。サブマリーナーのファーストモデルであるRef.6204が2881本製造されていることから、とても希少価値が高いことがわかる。また、後世にも続くメルセデス針が採用されたのもこのRef.6205から。ケースはリューズガードもなくダイヤルに経年変化が見られアンティークテイストを感じられる。
Chronograph (1940’s)
by Tiffany & Co. / LONGINES
コラボにより実現した高度な品質と装飾性
1832年創業のスイスの老舗時計メーカー、ロンジン社とティファニーのコラボレーションモデル。当時クロノグラフ製造のマニュファクチュールとして群を抜いた技術を持っていたロンジン。高品質な時計作りだけでなく、装身具としての美しさも追求したメーカーとして知られている。そんなデザインへの探究心がティファニーと身を結んだ本作。美しい盤面に加え、名品キャリバーとして名高い13ZNを搭載するなど機能性とデザイン性を兼ね備えた名作と呼ぶにふさわしい1本に仕上がっている。
Chronomat (1940) by Breitling
男心をくすぐる歴史あるパイロットウォッチ
クロノグラフの進化に大きな役割を果たした、パイロットウォッチの代表格であるブライトリング。イタリアのエリートパイロットのために生まれた名作“クロノマット”の初代モデルがこれだ。このモデルの意匠でもある回転ベゼルの独特の形状がケースに個性を与えている。18金ローズゴールドのケースで、ブラックダイヤルは希少性が高く、複雑なデザインだが均等の取れたプロポーション。ムーブメントには傑作として名高いヴィーナス社のキャリバー175が採用された特別な1本だ.
PULSAR P2 (1973)
by HAMILTON
スターに愛されたフューチャリズムを象徴する腕時計
1972年にハミルトンが世界初の市販デジタル腕時計として発売したハミルトン パルサー P1。自動車一台分という高額ながら、近未来を思わせるデザインは大きな話題を呼んだ。その翌年に発売されたのが、このハミルトン パルサー P2。70年代にはミック・ジャガーやエルトン・ジョンといったセレブリティに加え、3代目007でロジャー・ムーアも作中で着用し、デジタル時計大衆化の先駆けとなった。また、2002年公開の『メン・イン・ブラック2』でもトミー・リー・ジョーンズが作中で着用し、再度人気が高まるなど、アメリカのSF映画を象徴する腕時計だ。
Leopard 8 (1970s)
by Citizen
ジュエリーのような個性的な国産ウォッチ
レトロフューチャー感が強いこちらは、優れた技術力を持つ日本を代表するシチズンによるもの。1970年代に流行した傷がつきづらい超硬ケースを採用した独特なデザインが特徴的である。グラデーションのあるダイヤルに加え、デイデイトや立体的なバーインデックス、風防は3面カットガラスを使用するなど、個性的なディテールを詰め込んだ唯一無二の1本。ブレスレットも相まってジュエリーのような雰囲気をまとっている。
Calatrava Ref.3919/003 (1988)
by Patek Philippe
ドレスウォッチの規範となる完璧なバランス
パテック・フィリップの定番ドレスウォッチであり、「機能がフォルムを決定する」というバウハウス哲学に強く影響を受け製造された1本。無駄を一切排除したデザインながらインデックスの立体感やドフィーヌ針など、全てが完璧なバランスで配されている。レザーブレスレット仕様が多いカラトラバだが、今回使用しているのは貴重なブレスレットモデル。ラグを用いずブレスレットを直接ケースに繋ぐことでジュエリーのようなデザインへと昇華している。実用時計ではまず見られることのないこの仕様は、まさに着飾るための腕時計と言える。
Military Chronograph (1970s)
by HAMILTON
軍用に支給された無骨なデザインが特徴
1970年代に英国海軍のパイロット用腕時計として納入されたクロノグラフ。ハミルトン製であるのだが、ダイヤルにはレタリングもされておらず、6時位置にはイギリスの官有物である証のブロードアローが配されているというシンプルなデザインが軍物ならでは。軍用時計らしいブラックダイヤルも無骨な印象を与えている。また、左右で非対称な形状のケースとなっているのも特徴で、向かって右側が膨らんでいる。これは竜頭を誤って操作しないためのもの。道具的な魅力のある1本。
Photo Taro Mizutani Styling Tsuyoshi Noguchi Hair TAKU | Model Andrei Alessandra Dean Fabien Ahmed Rhys Richard Harry Louis Alina Matvii Josef Vlad Paloma Michael Georgii | Edit Takuya Chiba Takayasu Yamada Katsuya Kondo Jo Kasahara |