Tokyo Things
ソロイストやワコマリア 東京を象徴するアイテム たち
常に新たなアイテムが生み出される東京。国内だけでなく世界中からも情報や人が集まってくる街だからこそ、斬新なクリエイティブアイデアが生まれやすい環境なのかもしれない。そこでこの企画では、象徴的なアイテムをピックアップし、今の、そしてこれからの東京のクリエイションについて考えていきたい。
T-shirt
反骨心とエレガンス
独創的な再解釈による東京らしさ
TheSoloist.の名前の通り孤高の精神を持ち合わせながら、常に洋服の新たな可能性を追求するブランドであるタカヒロミヤシタザソロイスト.。独創的でアートピースとも解釈できるデザインは世界からも高く評価されている。今シーズンの象徴的なピースは空間主義を落とし込んだコレクション群で、ステイプルなどのマテリアル使いがとても特徴的。それはTシャツというプレーンなアイテムにも投影され、まるでクチュールのような高いデザイン性を持ち合わせたアイテムへと昇華させている。また、映画「NETFLIX/世界征服の野望」とのコラボレーションアイテムもリリースしているのだが、Tシャツのフロントとバックの全面にロゴをあしらったアヴァンギャルドなデザインは目を見張るものがある。どちらもTシャツという完成されたプロダクトに対して独自の価値観を投影し、エレガンスなコレクションピースとして再解釈。タカヒロミヤシタザソロイスト.の常識にとらわれない反骨心とそれにより生み出される上質なプロダクトは、まさしく東京を代表するブランドと言われる所以だろう。
気鋭グラフィックアーティストが
東京のナイトシーンを切り取る
今号のカバーも担当している、気鋭グラフィックアーティストのYOSHIROTTEN。デジタルとアナログの両方の手法を駆使したフューチャリスティックなグラフィックは唯一無二で、“ドリスヴァンノッテン”にもグラフィックを提供するなど世界からも注目されている。そんなYOSHIROTTENとG-SHOCKのコラボレーションモデルが登場。テーマはずばり“MUSIC NIGHT TOKYO”。薄暗い雑居ビルへと入り込むとオレンジやグリーンのレーザーが飛び交う中で流れる音楽、そこに集まる人々、そんな東京の夜の音楽シーンをイメージしデザインに落とし込んでいる。ベースモデルには元祖スクエアモデルDW-5600とG-SHOCK初のアナログ・デジタルコンビネーションモデルAW-500を採用し、それぞれダークグレーとライトグレーの2色展開。フェイス部分には光線や無数の点でレーザーやミラーボールの光を再現していたりと、フェイス全体で東京のナイトシーンが再現されている。BLOODY ANGLE やMITSUKIなど東京でも有数のナイトスポットを実際に手掛けているYOSHIROTTENだからこそ、より深みを帯びたプロダクトとなっている。
MIXカルチャーの街ならではな
パンチ力抜群の国産アロハ
国内外のさまざまなカルチャーを昇華し、独自のスタイルへと進化させてきたMIXカルチャーの街、東京。そんな街を体現するような珠玉のプロダクトを紹介したい。ピックアップするのは、国産にこだわり、リアルでハイクオリティなものづくりを続ける東京代表ワコマリアのアロハシャツ。毎シーズンさまざまな相手とタッグを組み、インパクトあるデザインで人気を集めてきたこのブランドの代名詞、今季はバスキアにビギー、ジム・ジャームッシュ、タトゥスタジオ56、そしてティム・リーハイと多種多様なコラボレーションで展開。それぞれの世界観がストレートに表現された存在感たっぷりのシャツは、実にワコマリアらしく、そして東京らしい。グラフィティ・アート、HIPHOP、タトゥにアメリカンムービーなどストリートから生まれたカルチャーの匂いのする濃いプロダクトは、2021年の東京の街をリアルに、鮮やかに彩ってくれるはずだ。
現代に進化した伝統的アイテム
東京ならではのモダンな雪駄
世界のドレスシューズをモチーフに、現代的にアレンジしたプロダクトで注目を集めるフットザコーチャーと、レザーを使用して新たなクラシックを生み出すエンダースキーマ。クラフトマンシップの宿った上質なプロダクトで世界的評価を受ける東京生まれの2ブランドが、時同じくして、雪駄を現代流に進化させた。フットザコーチャーの1足はブラックのクールな配色に、ボリューミーな厚底のシャークソールが印象的。一方のエンダースキーマは、馬革と牛革のヌメ革を使用し、職人による鋲打ちや意匠がポイントだ。先人たちへのリスペクトを込め、日本の伝統を見つめ直して作られた両作は、東京のブランドならではのストーリーあるアイテムと言えるだろう。
Photo Taijun Hiramoto | Text Takuya Chiba Satoru Komura Takayasu | Yamada Shohei Kawamura Yutaro Okamoto |