THE NORTH FACE maternity
ヌプシジャケットに連結できる マタニティブランケット
環境問題への意識が高まる現代において、かけがえのない自然の魅力について改めて意識することが増えたのではないだろうか。自然と触れ合うこと、五感で感じられるもの、人間らしいプリミティブなテーマを持ったモノやコトは、今の時代に欠かすことのできない心の贅沢と言える。そうした中で、自然環境に対して負荷が多いアパレル産業なだけに、多くのブランドやメーカーが問題意識を掲げて実践を行っている。環境に配慮した生地を使うことは当たり前になりつつある今、プリミティブなものと向き合う新しいアイディアやテクノロジーも進化をし続けているのだ。そうした先を行くコンセプトを持って作られるプロダクトをこの章では紹介。これからの時代におけるもの選びの1つの指針になれば。
連結できるブランケット
ザ・ノース・フェイス(以下:TNF)のマタニティは、2019年秋冬から始まった比較的新しいラインである。
日本国内では、男女比で言うと男性からのシェアが高い同ブランドであるが、女性向けにテーマを据えている。アウトドアのシーンは勿論、ファッションシーンにも多大な人気を誇る同ブランドのマタニティウエアということもあり、これまでにはなかった馴染み深いデザイン性や充実した機能性で人気を博している。そんなマタニティウエアはこれまで女性向けのものが中心であったが、今期、男性をターゲットにしたユニセックスアイテムが登場。開発について、TNFのマタニティウエアを担当する矢野真知子はこう話す。
「TNFがアウトドアの開発で培った高い機能性によって、妊婦さんのストレスを軽減できるようなウエアが作れるのではないかという考えから始まったマタニティのラインですが、マタニティの期間というと使えるのはかなり限られていて、安定期に入る5ヶ月頃から臨月までの半年間くらいなんです。ですが、TNFはロングライフという考えで、長く使える製品作りというコンセプトをブランド創設当初から続けています。限られた期間だけではなく、長く使ってもらえるものにしたいという思いがありました。全てのマタニティウエアは、産後も日常生活やアウトドアシーンなどで使えるアイテムになっています。現代において、産後の育児は女性だけのものではありません。赤ちゃんの抱っこは男性も勿論行う為に、男性も使えるアイテムを作る課題がありました」。
そうして誕生したのが、このジャケットに接続可能なブランケットである。今年、30周年を迎える、TNFを代表するアイコニックなダウンジャケット、“ヌプシジャケット”に接続ができるというものだ。「首まで暖かくて、子どもを抱っこした時に着られるダウンジャケットを作りたいとなった時に、TNFを好きな男性は、すでにダウンを持っている方が多いということに気づきました。そうなると、また新たに購入することはユーザーにとって負担となってしまいます。そんな中で、ヌプシジャケットに連結できるブランケットがあれば使いやすいのではないかと考えました」。元々、ヌプシジャケットを持っている人であれば、ブランケットを買うだけでそのまま着用でき、抱っこの必要がなくなったらそのままいつものジャケットとして使い続けることができる。新たにマタニティウエアとしてジャケット全てを買う必要がないというのは、とても現代のライフスタイルに合っていると思える。加えて、表地もリサイクルナイロンを使用し、内側のダウンもTNFで行っている“クリーンダウンプロジェクト”によるリサイクルのもの。軽くて、暖かく、何よりいつものファッションスタイルをそのままに楽しめる。子育てをお洒落に楽しくするようなアイディアプロダクトである。
今期はブランケットのほかにも、男性向けのアウターとしてこのストレージジャケットも登場。鞄を持ちたくないという男性のニーズの為に、ポケットを増やし収納力を持たせた。
Photo Riku Ikeya Styling Ryota Yamada | Hair & Make-up Yoko Hirakawa Model Nene Kyoji | Edit Takayasu Yamada |