storytelling BRAIN DEAD
遊び心溢れる ブレインデッドのパンクスタイル
Baseball Jacket:「ヴィンテージのベースボールジャケットがとにかく大好きなんだ。そんなベースボールジャケットにコンセプチュアルなグラフィックの刺繍を施すことで、僕たちならではのアートなプロダクトを表現しているよ(Kyle Ng)」。
Skirt:「ウィメンズのコレクションは女性に特化した洋服作りをしたいと思っている。遊び心が溢れるほかにはないものを作りたいんだ。このグラフィックは、Ema Gasperというアーティストに手がけてもらった。毎シーズン、インディペンデントなアーティストをフックアップして一緒にアイテムを作っているよ(Kyle Ng)」。
Pajama:「家でも外でも着られるパジャマは、最もカジュアルなアイテムと言えるのにどことなくフォーマルな感じもして好きなんだ。このグラフィックは、ブレインデッドでも過去に何度か仕事をしたLeomi Sadlerというアーティストが担当してくれた(Kyle Ng)」。
Shirt:「このシャツの特徴的なテクスチャーは、ヴィンテージのアイテムから着想を得て作ったんだ。グラフィックがこの伸縮性のある生地にプリントされることによって拡大されたり、縮小されるアイディアが面白くて作ったよ(Kyle Ng)」。
Jacket:「クレイジーな蛇をエイリアンが掴んでいるというグラフィックをウエスタン調の刺繍を使って、カリフォルニアの雰囲気に落とし込んだジャケット。オールドスタイルな感じを遊び心を持って表現したんだ(Kyle Ng)」。
Photo Dai Yamashiro Styling Riku Oshima Hair & Make-up Yusuke Morioka | Model Harry Cassady Tigran Nils Description Kyle Ng Translation Seiko Arimori | Edit Takayasu Yamada Katsuya Kondo |
(BRAIN DEAD)
ファッションではなくカルチャーと
ライフスタイルを提案したい
ブレインデッドが世に出すプロダクトは、彼らが得意とするグラフィックやユニークなデザインによって唯一無二の存在感が漂う。ストリート的なアプローチのアパレルブランドだと認知している人も多いと思うが、単なるブランドとは一線を画す。アパレルブランドというよりもディレクターのカイル・ウンや共同創業者であるエド・デイヴィス率いるクリエイティブ集団といった方がピンとくる。そんなブレインデッドのFallやWinterのコレクションを見ても、スキーメーカー“K2”やカードゲーム“マジック:ザ・ギャザリング”とコラボレーションをしたアイテムを製作していたり、プロダクト外の展開でいうと映画館の運営やプロレスイベントの開催など独創的な世界観で注目を集め続けている稀有な存在だ。ブレインデッドがこれほどまでに多岐に渡る活動でブランドを表現し、遊び心のあるプロダクトを多く手がけている背景には、カイルの「自分が影響を受けたカルチャーを次世代や周りに広めていきたい」という想いが根底にあるから。本誌の今号のテーマは“Respect for Heritage”であるが、ブレインデッドにとってヘリテージとは、次世代に受け継ぎたいカルチャーそのもの。
「僕にとって洋服だけのブランドってつまらない。最新のファッションを求めて、みんな同じようなものを取り合っているだけだからね。僕が目指したいのは、ディズニーランドのように多様な事柄を多くの人々に語りかけるような世界。音楽が好きな人もいれば、映画が好きな人、プロレスが好きな人でもブレインデッドを通して繋がることができる。共有できるカルチャーを通して自分もブランドの一員なんだと思ってもらえるようなあり方が理想だよ。多くのブランドはファッションをベースにしたものが多いと思うけど、僕たちはファッションカンパニーではない。僕らはカルチャーとライフスタイルのブランドとして興味のあることにはすべてに挑戦をしていきたい。僕たちが作っているプロダクトはすべてが僕たちのライフスタイルの一部なんだ」。
カイルがそう話すように、ファッションではなく自分達が純粋に面白いと思えるカルチャーをブランドとして表現しているとすれば、ブレインデッドの幅広い活動やウエアのデザインに理解ができる。ブレインデッドを象徴するグラフィックは、チーム内のアート担当やフリーランスのアーティストによってデザインしているが、その多くはカイルがインスピレーションを受けたありとあらゆる文化的なものを参考に生み出されているという。「僕たちが作る多くのアイテムは、アメリカの歴史的な文化や初期のアウトドアウエアから影響を受けたデザイン、ヒッピームーブメントを投影したものが多い。ハンドメイドも好きで、ヴィンテージウエアにあるような手作業でカスタマイズしたものとかね。僕はブレインデッドで作るアパレルをファッションとしてではなく、自分を表現する為のスタイルとして楽しんでほしい。映画や音楽のように経験の1つとして楽しんでもらいたいと思っている」。
今シーズンもレトロアウトドア感のあるウエアは多く登場しているが、カイルが今最も関心がある事柄もアウトドアである。
「人々がもっと活動的になって、アウトドアのアクティビティにもっと時間を費やす為にはどうしたら良いかと最近はよく考えているよ。アウトドアって最も自由なものであるはずなのにお金がかかるものになっている。そういうこともあって、最近、ALLRISEというクライミングのために非営利団体を作った。ALL RISEではクライミングをみんなで楽しむイベントを通して、集まった寄付でクライミングやアウトドアの発展に繋げているよ」。
アパレルだけの範疇に留まらず、様々な活動を通して人々が何かを楽しめる場所作りや社会をより良くする為の行動に情熱を持って進み続けるカイルとブレインデッド。来年はどういった新しい表現や活動を見せてくれるのか。その一挙手一投足にこれからも目が離せない。
BRAIN DEAD STUDIOS 03-3401-4010
カイル・ウン
2014年エド・デイヴィスとともにクリエイティブブランド、ブレインデッドを創設。自身が愛するコミックやポストパンク、映画など多数のカルチャーを自身のフィルターを通した幅広い表現に世界中からファンは多い。
Photo BRAIN DEAD | Interview & Text Takayasu Yamada | Translate Seiko Arimori |