Why Choose Leather Shoes? Interview with Seiji Fujimori

試行錯誤と経過のなかで 残るスタイル

YEAR: 2013~
PLACE: TOKYO

「ローファーだけど、どこかドレスな感じもある」と語る藤森。10年以上履き続けていくなかで、次第に足に馴染んでいき、ソールを何度も張り替えながら時間をともにしてきた。かかと部分の立体的なシェイプによる高いホールド感が特徴の一足で、誰が履いても自然に馴染むバランスに惹かれたという。

最初から何かを決め打ちするのではなく、新しいことへの挑戦や試行錯誤を繰り返すなかで、無意識に残るものこそが自身のスタイルだと語るフォトグラファーの藤森星児。これは彼の撮影スタイルと、ファッションにおけるもの選びや着こなしにも共通している。「写真を通じても、『自分のスタイルはこれだ』と最初から決めるタイプではありません。新しい撮り方や手法を試すことが好きで、少しでも面白そうと思ったらとにかく試してみる。その繰り返しのなかで無意識のうちに残ってくるものこそが、本当のスタイルなんじゃないのかなと思っています」。その考え方は、彼が長年履き続けてきたレザーシューズの数々にも通じている部分がある。はじめから完璧に自分に合う一足だけを探すのではなく、ときには違和感を覚えるものにも時間をかけて向き合うのだ。「レザーシューズも、最初に履いて硬いとか、ちょっと合わないなと思うことはあります。ただ、そこで合わないからとすぐにやめるのではなく、もう少し履いてみようと時間を与えるのです。革靴は履いていくうちに自分の足の形に馴染んできます。最初は少し違和感があったものが、思ってもみないくらいフィットしてくることもあるのです。それが残っていくと、一生ものになる可能性を秘めていると思いますね」。
写真においても、服や靴においても、藤森にとってスタイルとは最初から完成されたものではないのだ。履き込むことで足に馴染ませ、急がずに時間をかける。その経過の先に残り続けたものが、結果として自身のスタイルになっていくのである。ニューヨークで暮らした経験も、現在のスタイルに大きな影響を与えているという。流行の中心地ともいえる場所でありながら、藤森の印象に残ったのは、人々が必ずしもトレンドに左右されていなかったことだった。「みんなそれぞれ好きなものがあって、好きだから着ている。それがすごくシンプルで、自分も強く共感できました。今持っているものも何年も前に買ったものばかりですが、それをクローゼットからどう引っ張り出して、どう合わせるかで今っぽく見せるのが好きです。新しいアイテムで今を表現するというより、昔から持っているものを今どう着るかという方が自分には合っているのかもしれませんね」。手入れを重ね、足に馴染むまでの変化を楽しみながら、長年付き合い続けることができるレザーシューズ。その少しの不便さや時間の経過もまた、魅力の一部なのだろう。ゆっくりと自分のものにしていく試行錯誤のなかで、最後までその人に寄り添い続けるものこそが、スタイルをつくりあげてくれるのだ。

BRAND: JOHN LOBB
MODEL: LOPEZ

ジョン・ロブの代表的なローファーである”LOPEZ”。端正ながらもどこか緊張感のあるそのフォルムは、足元を飾るというより、スタイルの輪郭をそっと引き締めてくれそうだ。時代に左右されないこの一足は、履き込むほどにその人だけの表情へと変わっていくだろう。

藤森星児
ビジュアルアーツ専門学校で写真を学んだ後、映画や広告写真の照明技師としてキャリアをスタート。2006年にニューヨークへ渡り、自身の作品制作を本格的に開始する。照明技師として培った経験を背景に、ロケーションからスタジオワークまで、光を巧みに操る多彩な表現を展開している。

Photo  Naoto UsamiInterview & Text  Samuel Pattison

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