Paul Smith & Barbour Coat

ファッションアイテムや、カルチャーに関連したプロダクトなど、Silverのエディターが今気になるモノを紹介する連載企画「Editor’s Eye」。

幼い頃から、父が羽織っていた90年代のポール・スミスのジャケット。いつになったら譲り受けられるのかと目を光らせ続けている。いまだその願いは叶っていないが、それゆえにポール・スミスというブランドには、昔から個人的な親近感を抱いており、今回英国を代表するもうひとつの象徴であるバブアーと再び手を組むと耳にしたとき、英国をルーツに持つ自分は思わず胸が高鳴った。今回のワックスドコットンには、通常のバブアーでは見られない鮮やかなカラーリングやパッチワークで彩られ、そこにポール・スミスならではの動物のモチーフが遊び心のように顔を覗かせる。その組み合わせは、懐かしい英国の牧歌的な香りを漂わせながらも、都会のストリートに違和感なく溶け込み、日常の服装にユーモアとストーリー性を添えてくれる。このコレクションは単なるコラボレーションを超え、英国スタイルの深みと豊かさを改めて実感させてくれるタイムレスさを備えている。まるで着込むほどにキャラクターが増したあの父のジャケットのように、時間とともに愛着を育んでいけるに違いない。