Shota Matsuda (CAREERING) × Daisuke Obana (N.HOOLYWOOD)
松田翔太と尾花大輔が語る 遊び心ある大人のコラボアイテム
松田翔太と尾花大輔。Silverにも馴染み深い2人がコラボレーションアイテムを完成させた。ともに表現者として活躍し、15年を超える付き合いだという2人。デザイン性に優れた上質なものでありながら、彼ららしい遊び心あるオリジナリティあふれるアイテムは、どのように生まれたのか。その背景について、出会いから語ってもらった。
――そもそもお二人の付き合いはいつからになりますか?
尾花:もう出会った時の記憶がないくらい。僕にとって初めて出会った役者さんかもしれないですね。
松田:僕が本当に若手の時に、N.ハリウッドの展示会でお会いしたのが最初だったと思います。僕は昔からスーツを制服の代わりのように着続けているんですが、シャツの襟を締めて着るのが大好きなんです。当時Nハリのシャツは一番上が締めやすいように、首のサイドに切りこみを入れた構築的なデザインがされてて。
尾花:おぉ、それ知ってるのやばいね。
松田:襟をネクタイでキュッと締められるんです。それが欲しくて買いまくりました。多分全カラー買ったんじゃないかな。
尾花:本当最初の頃だよね。自分でもあのデザインは気に入っています。ボタンダウンシャツがあまり好きではないんですよね。なんかカジュアルだし、トラッドすぎるっていうかさ。久々に復刻しようかな。
松田:また欲しいです。出会ったのはもう15年以上前ですかね。お付き合いを重ねるうちに徐々に柔らかい人柄が見えてきて。僕は昔から先輩と遊ぶのが好きだったんですが、数ある先輩の中でも尾花さんは特にいい人だな、っていうイメージです(笑)。
――元々は松田さんがN.ハリウッドのファンだったんですね。そんな付き合いの長いお二人がいっしょにアイテムを作られたきっかけはなんだったんですか?
松田:そもそもキャリアリングというブランドは僕が藤原ヒロシさんとはじめたものですが、基本的に商売をしようというのは前提ではなく、ヒロシさんとお茶や食事ができる理由を作りたかったっていうのがスタートなんです。普通に会うより、テーマを持って話した方が楽しいよねっていう。そうやって僕がクリエイティブディレクターとしてブランドをスタートさせたんですが、僕は好みがはっきりしていて、そんなにいろいろなものを作りたいタイプではないので、自分が好きなリングのピアスを作ったら、作りたいものがなくなってしまったんですよね。それでいろいろな好きな先輩とコラボレーションをさせてもらってきたんです。そんな感じでやっていく中で、尾花さんとも作りたいと思っていたんですが、タイミングもあってようやくできた、という感じですね。
尾花:そうだよね。お話いただいたのも結構前だしね。「そもそもオレはピアスしてないけど大丈夫かな」って思っていました。翔太のプロデュース力、ディレクション力が凄いんです。普通は「オレはピアス付けないから」って言ったら終わっちゃう話なんだけど、違うアイディアがどんどん出てくる。最終的にディレクションに巻かれるかのように「いいね、じゃあピンでやろう」ってなった。コラボレーションはいっぱいやってきたけど、あまりないパターンでした。
――安全ピンのアイディアはどのように生まれたんですか?
松田:最初にお話ししたのは実は一年以上前なんですよね。お話を重ねて段々形が見えてきて。僕はやっぱりN.ハリウッドの洋服の雰囲気と関係性のあるものを作りたかったので、安全ピンになったんです。安全ピンだとジュエリーっぽいし、ピアスをしてなくても、洋服との関係性があるアイテムだし、いいんじゃないかと思ったんです。最初手描きのデザインを送って頂いて。そうやって二人のアイディアを混ぜながらやっていった。それが一番楽しいですよね。
尾花:コラボレーションって一方通行になると面白くない。例えばシューズブランド×デザイナーというようなコラボだったら一方通行でもいいと思うんだけど、人とやる時って、本当に重ねて話さないといいものができないですよね。今回はN.ハリウッドとキャリアリングのコラボだけど、それってつまりは僕と翔太、人×人のコラボだから。でも今回やる上で、キャリアリングはピアスブランドだとブレずにはっきりしていたのでやりやすかったな。これがジュエリーブランドだと、幅が広がってしまって何を作っていいのかわからなかったと思う。
松田:打ち合わせでお話するのが楽しくて。関係が深まっていくのが楽しかったです。
尾花:サンプルが上がった後のタイミングくらいでどこかの夜会(パーティ)で翔太に偶然会ったときに「サンプル見ましたか?あれよくないっすか?」って言われて。それで「あ、いいんだ」と思ったんです。僕はピアス付けないから、いいのかどうかがわからない。僕はいいかどうかの基準がわからないものは基本作らないから、レディースもやらないんだけど、ピアスを付けてる翔太がいいって言うんだったら、いいものなんだって腑に落ちた。そこからさらに話し合い、調整を重ねてできていったという感じでした。
松田:キャリアリングとしてもこれまでシルバーとゴールドしか扱ってなかったんですが、今回初めてステンレスを扱えたので、新しいことが出来て楽しかったな。最初は安全ピンの丸いバネの部分もついたデザインになってたんですが、尾花さんが「それはやめよう、もう少し削ぎ落とそうよ」ということになって。構造上うまくできるか不安だったんですが、うまくいきました。清潔感と繊細さもある見たことのない安全ピンができましたね。
尾花:安全ピンもいいんだけど、ピアスは僕的にはモノとしてかっこいいなと思っています。イヤーカフみたいに引っ掛けることも出来るし。これを機会に付けようかなって思いました。穴は開けないけどね。
松田:そのまま金の部分を耳に入れると、耳にピンが刺さってるように見えますし、引っ掛けてブラーンとたらしてもいい。どうやって使ってもらってもいいんです。
尾花:ピアス付けてないオレが言うのもなんだけど色んな付け方があるよね。安全ピンだけどパンクっぽくなったら嫌だな、とは思っていました。
松田:尾花さん、ずっと言ってましたよね、反骨心が出ないような感じというか。
――ピアスだけではなくTシャツも展開されますね?
松田:せっかくならTシャツもと思ったんです。そのTシャツを見ると尾花さんと作ったこの時期を思い出せるように、と思って。
尾花:僕はプリントTシャツとかあまり着ないし、彼も見ての通り、ロゴTみたいなイメージはないから。凄いソリッドな安全ピンを付けられる専用Tシャツを作ろうと思って、僕がデザインしたんです。
――今回のアイテムはどんなファッションに付けたいですか?
松田:そうですね。僕は安全ピン欲しいなって思ってますね。なんでもないTシャツやニットに、ちょっとつけたらかっこいいかな。タイピンみたいな感じもいいですね。あと、鍵を付けてもいいですよね。
尾花:オレも昔工場とかのデカい安全ピンに色んな部屋の鍵をつけてたので、そのイメージはあるかな。やっぱデカすぎると付けないのよ。自社でも何年も前に安全ピンを作ったことあるんだけど、5個ぐらいしか売れなかった(笑)。僕はピアスをいきなり突拍子もなく耳に付けるかもしれないですね。みんなびっくりするかもしれないけど、考えないで、いきなりつけていって慣れさせていかないとファッションって。
――改めて今回のコラボレーションはお2人にとってどのようなものでしたか?
松田:「遊びの延長を真面目にやった」という感じでした。そもそもこのプロジェクト自体も尾花さんとお酒が飲みたいっていうところから始まったから。本当に楽しかった。ピアスもそういう感じだと思うんです。なくてもいいけど、つけたら気分も上がる。そういう感じでものづくりをしています。
尾花:昔から知ってて、どこかの夜会ではしょっちゅう会う人に改めて「飯食いに行かない?」って誘うのってなかなかやりづらいですよね。照れくさいまでもないけど、タイミングが見えない。だからこういう仕事の延長、遊びの延長で楽しみを一緒に共有しながら作れたというのは、本当によかったですよね。
CAREERING
https://careering.jp
N.HOOLYWOOD
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Photo Kei Sakakura | Interview & Text Satoru Komura |