Season Inspiration. 6
テーラードを日常に取り入れ いつもの日々をより豊かに
日常の中に自分だけのハレの日を作って、何気ない日々でもテーラードやスーツを着ることで、いつもの日々がより豊かに、そして特別に感じることができるのではないだろうか。ここではそんな日常にテーラードのスタイルを取り入れる際のヒントを、スタイリングと日本を代表するファッションアイコンである小木“Poggy”基史へのインタビューから見つけてみてほしい。
テーラードとの向き合い方
ステータスでなくファッションとして
普段の生活の中でこそ楽しむもの
「僕にとってスーツは、もはや日常着に近い感覚なんです。普段から背伸びせずにどうやったらスーツを楽しめるかみたいなことは常に考えていますね。元々は僕もいわゆるパーティーがある時だとか、何かイベントがある日にスーツを着るという感じだったのですが、バイヤーをやり始めるようになって考え方が変わりました。1 日でイタリアのドレス系のブランドと、アメリカのストリート系のブランドの両方の展示会に 行くようなことが多くて、夜はクラブに行かなきゃいけない。全ての場に馴染む格好みたいなのが自分にとってはスーツを取り入れるコーディネートでした。そんなスーツのスタイルを考える上で重要だと思っているのが、ミックス感です。僕は日本のセレクトショップがずっとおこなってきた ミックスの価値観が改めてすごいなと思っていて。さまざまな国のトラッドスタイルを理解した上で、カテゴリーや年代、カルチャー、時には値段も含めてトータルコーディネートを考えていく。海外の方には自然に着こなしている格好良さがあるように、日本人は巧みに考えたミックス感からくる格好良さがあるのではないでしょうか。また、ジャケットを脱いだ時のスタイルを楽しむことができるのもスーツの魅力だと考えています。最近はアメカジがまた自分の中で盛り上がっているので、ジャケットの下にデニムジャケットを合わせることが多いです。スーツはシカゴのテーラー、オックスフォードクローズのもので、昔のアメリカ映画で見たようなシルエットが特徴。そういうのにJ.M.WESTONの シューズやロレックスの時計など、少しヨーロッパの匂いを取り入れるミックス感が丁度いい。すべてアメリカでまとめてしまうと、東京という街に合わなくなってしまうと思うんです。海外ではステータスとしてスーツを着ることも多いですが、僕はステータスではなくてあくまでもファッションとして着ている。それくらいの気軽さがあるからこそ、日常で楽しめるのだと僕は考えています」。
小木“Poggy”基史
世界のファッション、カルチャーシーンを股に掛け活躍する日本を代表するスタイルアイコン。最近では、渋谷パルコ内の2G TOKYOや、ワイルドサイド ヨウジヤマモトなどのキュレーションを手掛けている。
Photo Yusuke Yamatani | Edit Shohei Kawamura |