Season Inspiration. 6

テーラードを日常に取り入れ いつもの日々をより豊かに

日常の中に自分だけのハレの日を作って、何気ない日々でもテーラードやスーツを着ることで、いつもの日々がより豊かに、そして特別に感じることができるのではないだろうか。ここではそんな日常にテーラードのスタイルを取り入れる際のヒントを、スタイリングと日本を代表するファッションアイコンである小木“Poggy”基史へのインタビューから見つけてみてほしい。

クリーンでミニマル、洗練されたシルエットを特徴とするTHE ROWであるが、特に今季はスーツのスタイリング提案に注目したい。ダブルの上からシングルジャケットを羽織るという挑戦的なアプローチだが、全体の世界観を崩さずに見事に調和している上、静かに存在感を放つスタイルに。華美に見せることだけが着飾るということではなく、アイテムの着方のひとつひとつが着る人の個性を引き出してくれるということを改めて認識させてくれる。
Coat ¥1648900 Jacket ¥520300 Inner Jacket ¥632500 Shirt ¥152900 Pants ¥258500 Shoes ¥218900
by THE ROW (THE ROW JAPAN)

肩にやや丸みをもたせたボックスシルエットのデザインが特徴のジャケットに、大きくあしらわれたレトロな印象の襟と、ワンポイントの鮮やかなモヘアウールが個性を演出。テーラリングとインフォーマルさの狭間の洗練されたコンビネーションが、スーツスタイルの新たな可能性を提示してくれる。
Jacket ¥583000 Shirt ¥154000 Pants ¥187000 Tie ¥29700 by PRADA (PRADA CLIENT SERVICE) All prices are estimated
小木“Poggy”基史が考える
テーラードとの向き合い方


Left
時計はミッキーマウスシリーズでも知られる時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタが手がけたロレックスのチェリーニ・キングマイダス。古さを感じさせないソリッドでモダンな佇まいが、アメリカらしい少し野暮ったいテイストとのミックス感によって相乗効果を生み出す。
Right
ジャケットの下に着るのは、リーバイス557XXのデニムベスト。ジャケットを脱いだ時のスタイリングを楽しめるのもスーツの魅力の一つだと語る小木。その言葉通り、デニムベストにもピンやバッジなどでカスタマイズしコーディネートとしてのハズしや遊びの余白を作っている。
ステータスでなくファッションとして
普段の生活の中でこそ楽しむもの

「僕にとってスーツは、もはや日常着に近い感覚なんです。普段から背伸びせずにどうやったらスーツを楽しめるかみたいなことは常に考えていますね。元々は僕もいわゆるパーティーがある時だとか、何かイベントがある日にスーツを着るという感じだったのですが、バイヤーをやり始めるようになって考え方が変わりました。1 日でイタリアのドレス系のブランドと、アメリカのストリート系のブランドの両方の展示会に 行くようなことが多くて、夜はクラブに行かなきゃいけない。全ての場に馴染む格好みたいなのが自分にとってはスーツを取り入れるコーディネートでした。そんなスーツのスタイルを考える上で重要だと思っているのが、ミックス感です。僕は日本のセレクトショップがずっとおこなってきた ミックスの価値観が改めてすごいなと思っていて。さまざまな国のトラッドスタイルを理解した上で、カテゴリーや年代、カルチャー、時には値段も含めてトータルコーディネートを考えていく。海外の方には自然に着こなしている格好良さがあるように、日本人は巧みに考えたミックス感からくる格好良さがあるのではないでしょうか。また、ジャケットを脱いだ時のスタイルを楽しむことができるのもスーツの魅力だと考えています。最近はアメカジがまた自分の中で盛り上がっているので、ジャケットの下にデニムジャケットを合わせることが多いです。スーツはシカゴのテーラー、オックスフォードクローズのもので、昔のアメリカ映画で見たようなシルエットが特徴。そういうのにJ.M.WESTONの シューズやロレックスの時計など、少しヨーロッパの匂いを取り入れるミックス感が丁度いい。すべてアメリカでまとめてしまうと、東京という街に合わなくなってしまうと思うんです。海外ではステータスとしてスーツを着ることも多いですが、僕はステータスではなくてあくまでもファッションとして着ている。それくらいの気軽さがあるからこそ、日常で楽しめるのだと僕は考えています」。

小木“Poggy”基史
世界のファッション、カルチャーシーンを股に掛け活躍する日本を代表するスタイルアイコン。最近では、渋谷パルコ内の2G TOKYOや、ワイルドサイド ヨウジヤマモトなどのキュレーションを手掛けている。

Photo Yusuke YamataniEdit Shohei Kawamura

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