In the UK International Gallery BEAMS

UKクラシックの ニューパンクな再解釈

「In the UK」。これは時代の流れを先取ったアイテムセレクトが厚く支持されるインターナショナルギャラリー ビームス(以下IG)が掲げた23AWのテーマだ。今期は伝統あるイギリスのブランドを多くセレクトしながら、そこにIGとしてのエッセンスを踏襲した別注アイテムをいくつか展開している。IGバイヤーの関根陽介にリコメンドアイテムを紹介してもらいながら、色褪せないイギリスの名作をエッジーでモダンに再解釈したスタイルで表現する。


Jacket ¥60500 by Barbour Shirt ¥18700 Pants (Under) ¥27500 Pants (Over) ¥37400 by International Gallery BEAMS Shoes ¥126500 by JOHN MOORE × International Gallery BEAMS (International Gallery BEAMS)
Barbour / Heritage+
バブアーが提案するニュースタイル

「イギリスを強く感じるアイテムとしてバブアーは外せないですね。ビームスの全レーベルの中でも、実はインターナショナルギャラリー ビームスが古くから取り扱っていたブランドでもあります。中でもこのヘリテージプラスは、意外にもインラインにはあまり見られない“ミリタリー”をテーマにしたラインです。ミリタリージャケットにバブアーのワックスコットンを組み合わせ、ユニセックスで着られるサイズ感になっていることが現代的でバランスが良いです。今回のようにモダンなスタイリングに合わせても良いですし、テーラードジャケットやスーツの上にバサっと羽織ってもかっこいい。10年後にも着続けられるようなタフで丁寧な作りがイギリスの老舗ブランドならではの魅力でもあります(関根)」。

John Moore
UKらしいパンク精神を感じる名作シューズ

「今シーズンはUKクラシックなアイテムを軸に集めていますが、足元にはパンク精神を感じさせるジョン・ムーアの靴を合わせるのがIGらしくていいなと思っています。80~90年代を率いたクリストファー・ネメスやアレキサンダー・マックイーン、ジョン・ガリアーノ、ソフィア・ココサラキなどと同じ並びとして挙げられるブランドですね。イギリスにあるアトリエでいくつかアイテムを見せてもらい、ジョン・ムーアの代名詞であるアッパーの切り替えが魅力的なコマンドソールの短靴を別注させてもらいました。もう一足には約20年前に廃盤になったチェルシーブーツを復刻してもらいました。インソールにはネームを刻印してもらうことができ、洋服屋として非常に光栄で感慨深い別注アイテムを作ることができました(関根)」。


Jacket ¥264000 by MARK POWELL Overalls ¥80300 Shirt ¥18700 Socks ¥3300 by International Gallery BEAMS Shoes ¥22000 by UGG (International Gallery BEAMS)
Mark Powell
90年代から色褪せないパターンの妙

「90年代にイギリスのサヴィル・ロウで勢いのあった“ニューテーラー”のムーブメントを今だからこそ楽しみたいと思いました。その代表格にあるのがマーク・パウエルです。このブランドは不良性が強いのがかっこいいなと思っていて、当時からミュージシャンやアウトサイダーな役者たちを中心に愛されてきました。デザイナーのマーク・パウエル本人は当時と変わらずご健在で、彼のパターンは今でもパワーを感じます。ノープリーツにノーベルト、ポケットや個性的なラペルなどディテールがどれも面白いです。だからそのパターンを活かしつつ、生地は差し色が特徴的なグレンプレイドなどで別注させてもらいました。インナーにはシャツはもちろんですが、カットソーなどを着て、足元にはコンバットブーツを合わせるなどして着崩すのもかっこいいと思います(関根)」。


Coat ¥74800 Coat ¥74800 by MONTGOMERY Shoes ¥234300 by GUIDI x International Gallery BEAMS Accessory ¥20900 by Malcolm Guerre x International Gallery BEAMS (International Gallery BEAMS)
Montgomery
進化を続ける老舗のダッフルコート

「モンゴメリーの歴史は古く、最古のダッフルコートメーカーの一つとして有名ですが、そんなモンゴメリーが最近リブランディングをしたことをご存知でしょうか。カバーコートのようなボディバランスに仕上がっていて、どのようなスタイリングにも気軽に羽織ることができるサイズ感やデザインに惹かれました。生地はメルトンながら軽くて艶感や上品さのあるスーパー140s パイルメルトンを贅沢に使っており、このふかふかとした肌触りはモンゴメリーのダッフルコートの醍醐味ですね。クラシックならではの温かみを改めて若い人たちにも体感してほしいなと思い、今季のメインアイテムとして準備しました(関根)」。


Cape ¥275000 by SETCHU Shirt ¥18700 Pants ¥28600 by International Gallery BEAMS Shoes ¥110000 by JOHN MOORE × International Gallery BEAMS (International Gallery BEAMS)
SETCHU
テーラリングの新たな可能性

「セッチュウはイギリスのテーラリングをベースにしつつ、カジュアルに着れるアイテムが魅力的です。デザイナーはイギリスの老舗テーラーであるハンツマンでパターンの修行を行い、その後は某メゾンブランドなどでも経験を積んできました。だからかっちりとしたテーラリングのパターンを軸に多種多様な要素をおり混ぜ再構築したコレクションが斬新です。“ORIGAMI”とよく表現されているデザインは、彼の革新的なパターンによってそれぞれのアイテムに表現されています。ルックに使われているこのダウンはそれを象徴していて、ポンチョやジャケットなど4型に変形する”らしさ”のあるアイテムです。そんな遊びとクオリティの両方がとてもレベルの高い次元で融合してるところがセッチュウの魅力です(関根)」。

歴史と革新を積み重ねてきたイギリスの服飾史。それはテーラリングをはじめとしたオーセンティックな技術が基盤にあるからこそだと言える。そんなファッションの原点に立ち返ったIG 23AWのセレクトアイテムについて、バイヤー関根にテーマを聞いた。「IGはビームスの様々なラインの中でクラシックを主体としファッションをリードするセクションとしてスタートした歴史を持っています。クラシックやテーラードを軸にしつつ、モードやストリートの要素をミックスするスタイルを提案してきたことが今のオリジナリティに繋がってます。昨今はパリをはじめとした各国のストリートの要素のあるブランドをセレクトしていましたが、今期は視点を変えてUKクラシックにシフトするタイミングだと感じていて、それはIGの歴史からしても自然な流れだと思います。
クラシックやトラッドのスタイルを見直す上では、イギリスのテーラーやファクトリーのものづくりは欠かせません。生地選びやパターン、縫製など洋服を形づくる要素の一つ一つの技術や文化が生まれた背景がイギリスにはあって、そういう文化を知ることはとても大切ですし、実際に手に取ることでその魅力を体感できます。だからこそ、最上級と呼べるイギリスのアイテムを改めて揃え、若い人にこそ知ってほしいと思ったんです。ファッションのベースに立ち返りつつ、モードやストリート、パンク、ユースといった要素を加えてIGらしいスタイルを改めて楽しんでほしいです。
テーマである『In The UK』に向けた動き出しは、実は昨年の22AWごろから始めていました。目指したイメージとしては、自身が影響を受けた90年代から2000年代にかけてパンクマインドを持つデザイナー達の当時のムードです。ただ当時はコロナ禍で海外でのバイイングができなかったため、それをIGオリジナルアイテムなどで表現しはじめました。その後、23AWのタイミングで実際にロンドンに入ることができオーセンティックなUKブランドとのコラボレーションや仕入れが実現したことで、IGとして目指したUKの世界観が今季にて花開くタイミングになりました(関根)」。

関根陽介
International Gallery BEAMS メンズバイヤー。BEAMS入社後、「International Gallery BEAMS」での販売員やショップマネージャーを経て、現職。バイイングのみならず、オリジナルアイテムの企画やデザインなども行っている。いち早く新鋭ブランドを見抜き、世界各国のデザイナーやクリエイターを日本へ紹介している。音楽やアートを含めたカルチャーへの造詣も深く、要所に古着や自身のルーツとなるアイテムを織り交ぜたスタイリングでも注目を集める。

Instagram:@yosuke_sekine

Photo (Model) Kenta Sawada
Styling Takayuki Tanaka
Hair Mirai Uejo
Photo (Interview) Yota Hoshi
Edit Yutaro Okamoto Katsuya Kondo

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