The Places worth the effort 01 Carhartt WIP Store Kobe

神戸の歴史的建造物にある Carhartt WIPの特別な一店

去る2021年12月4日、Carhartt WIP Store Kobeが誕生した。2009年の原宿店オープンを皮切りに、北は札幌から南は福岡まで全国各地に精力的なショップ展開を行うカーハート。店舗ごとにオリジナルな空間作りをしており、ご当地名物のように旅先の店舗を訪れることを楽しみにする根強いファンも多い。2021年は岡山店や仙台店が立て続けにオープンしたことでも話題を呼んだが、神戸店は一連の店舗の集大成とも言える新たな可能性に満ちていた。

兵庫県神戸市は港町として栄え、明治初期からさまざまな西洋文化が船に乗って入ってきた。中でも三宮と呼ばれるエリアは今も西洋風の建物が立ち並ぶ繁華街で、かの有名な中華街もその一角。さまざまな文化が入り混じり、異国の地に来たようにすら感じる瞬間が神戸には溢れている。そんな賑わいあるエリアを抜け、少し歩いた港近くの落ち着いた海岸通りにCarhartt WIP Store Kobeは店を構えている。その最大の特徴は、明治43年に建てられた国の登録有形文化財の中に店があるということ。

“海岸ビルヂング”という名のこの建造物は、花崗岩や煉瓦を使った重厚でクラシックな佇まい。吹き抜けの階段を上がると天井にはステンドグラスが一面に飾られており、建築愛好家たちも足繁く訪れるスポットなのだ。そんな歴史的建造物に設けられたCarhartt WIP Store。国内初の試みであることはもちろん、世界中の同ブランドショップの中でも類を見ない。



シンプルに、だけどクールに。

入口は石段を少し上がった位置にあり、ちょうどその目線の高さにカーハートロゴのネオンサインが見えてくる。このネオンサインはCarhartt WIP Storeに必ず置かれており、店ごとの雰囲気に合わせて配色するオリジナルカラーの一点もの。それに加え、ここ数年で作られた店舗にはサンダーボルトのネオンサインも置かれており、店を訪れた人に鮮烈な印象を残すフックにもなっているのだ。店内に入ると外観の重厚さとは裏腹に、4.5メートル近くの高さが抜け感のある天井が印象的。持ち味をできるだけ贅沢に、しかし派手にはならないようにと考えられた空間は、「古くから残る建築、時間の積み重ねで生まれる木材、そしてCarhartt WIPの歴史」が融合し深みを増している。そうやって素材をどう工夫して活かすかも重要なポイント。店の奥の鏡張りが奥行きを生み出し、天井の高さと相まって教会のような印象さえある。そんなクリーンで洗練された空間は、ヨーロッパで誕生した上質なカジュアルラインとしてのCarhartt WIPのアイテム群とのバランス感も素晴らしい。

全国各地にあるCarhartt WIP Storeの多くは街の中心エリアにあり、さまざまな人がふとした瞬間にも立ち寄れるランドマーク的存在。それは、このブランドがどれだけ多くの人に愛されているかという証明でもある。その新たなスポットとして生まれた神戸店は、今までの店舗とは一線を画し、街中からは少し離れた海岸沿いエリア。だからこそ辿り着くまでの道中や時間をより一層ワクワクさせられるものだ。港は貿易の玄関口でもあるように、この神戸店から新たなカルチャーが生まれ、集まる人も増えることだろう。WEBでほぼ全ての買い物ができてしまう時代へのカウンターとして、わざわざ行きたいと思わせられる個性豊かな店作りを続けるCarhartt WIP Store。時間をかけてでも足を運ぶことで生まれるスタッフとのコミュニケーションが、それまでは気づいていなかったアイテムの魅力を教えてくれるのだ。そうしてCarhartt WIPの新たな一着を身に纏うことが、また街に出かけたいと思えるきっかけを作ってくれる。

Carhartt WIP Store Kobeがある1911年竣工の登録有形文化財“海岸ビルヂング”。吹き抜けの階段と天井一面に広がる鮮やかなステンドグラスから差し込む光が、花崗岩や煉瓦で作られた重厚な内装を照らしている。

神戸店を楽しんだあとは、すぐ近くの港の空気を吸いに行き、神戸といえばの夜景を楽しむのもいい。街中からは少し離れた場所にあるからこそ、ゆったりとした時間を味わえるのも魅力の一つだ。

◯Cahartt WIP
https://carhartt-wip.jp/

Photo Junpei IshikawaText Yutaro Okamoto

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