ASASHI BARBER TORANOMON
世界的ヘアスタイリストASASHI バーバーを虎ノ門にオープン
Silverをはじめとするメディア、広告、俳優など世界のファッションシーンの第一線で活躍し続けるヘアスタイリストASASHI。彼は、2019年までロンドンを拠点とし、セッションワークの傍らショーディッチにバーバーショップ“ASASHI BARBER”を構えていたが、ここ数年は東京をベースとしファッションの現場を中心に活動していた。だが、ASASHI曰く、「バーバーをまたやりたいとずっと思っていた」という思いが募り、東京に今年10月新しくお店をオープンするに至った。ヘアスタイリストとして活動するアサシが今なぜバーバーにこだわるのか?
「子どもの頃に通っていた床屋の匂いとか、ホットタオルの暖かさがずっと忘れられないんです。カットとスタイリングでその人を格好良くできるところが自分にとってはバーバーの魅力に感じています。東京でも、歩いているビジネスマンを観察していると、どうもオシャレさがないと感じてしまいます。その理由は髪型やスーツの着こなし方だったりすると思うのですが、男性は髪型だけでも変われば一気にオシャレに見えると思うんです。それに、男性の中には『自分のヘアスタイルはどうしたら良いのかわからない。いつもお任せしている』という方が結構多かったりします。ファッションの仕事をやっているからこそアドバイスできる、その人に似合うヘアスタイルをこのお店では提案していきたいと考えています。かといって、押しつけはしません。顔の形や頭の形を見て、その人のいいところを引き出した髪型を考えていきたい」。
お店を構えた場所は、ヘアサロンの多い青山、原宿、代官山のようなファッションエリアではなく、ビジネス街として認知される虎ノ門である。虎ノ門ヒルズを中心にビルが数多く立ち並び、近年再開発の激しいこのエリアの路地にポツリと建ったアジのある建造物の1階にASASHI BARBERはある。虎ノ門にお店を構えた理由をこう話す。
「東京でヘアのセッションワークをやりながら、ずっとお店を探していました。特に虎ノ門というエリアで探していたわけではありませんが、この物件が出てきて、実際に訪れてみたらこの建物や街並みにとても惹かれたんです。虎ノ門ってそれまであまり馴染みがなかったのですが実際に街を歩いてみると、ロンドンのリバプールストリートに近い感覚がありました。ビジネス街で新旧入り混じった感じが懐かしく、土日は人が少なく、平日は活気がある。その感じもすごく自分にとって気持ちが良いんです。ビジネス街として知られていますが、路地裏には良いビストロや喫茶店、飲み屋も多く、僕も早速お気に入りのお店がいくつも出来ました。ここに来た方にはいいお店を紹介するので、みんなが知らない虎ノ門の魅力も知ってもらいたい」。
4年前までロンドン、ショーディッチにあったASASHI BARBERは市松模様の床にモノトーンなインテリアが特徴的だったが、虎ノ門の方はウッドも多用したクラシカルな雰囲気の漂う大人のバーバーといった雰囲気だ。
「この物件を内見した時に天井の木造部分が気に入って。これは活かしたいと思ったんです。大人な街に合うよう、自分の好きなヴィンテージ家具を置きシンプルにインテリアを考えていきました。バーバーチェアも50年くらい前のタカラベルモントのものをオーバーホールし、革も全て新しく貼り替えて使っています。鏡周りの内装も、こうしたヴィンテージ家具と合うように設計してもらいました。今はまだお店が出来たばかりなので、家具やインテリアが整っていますがこれから使っていくうちに人や場所に馴染んでいくのが楽しみです」。
ヘアスタイリストとして撮影の仕事もあるために、今は不定期での営業で予約はメールのみ。だが、世界のファッション写真でヘアを手がけるASASHIに髪を切ってもらえるという経験は、いつもより新しくスマートな自分に出会うことができるチャンスではないだろうか。
ASASHI BARBER TORANOMON
東京都港区虎ノ門1-12-13
asashibarber@gmail.com
※予約はメールのみ
Photo Asuka Ito | Interview & Text Takayasu Yamada |