TASCHEN Photo Book “ISSEY MIYAKE”

ファッションアイテムや、カルチャーに関連したプロダクトなど、Silverのエディターが今気になるモノを紹介する連載企画「Editor’s Eye」。

海外からの観光客が増え続ける東京は、以前にも増して多国籍な街となった。そんな街を歩いていると気付くのが国籍を問わずイッセイ ミヤケを着ている人が一定数いるということだ。そんな世界で愛されるブランドを作り上げた男の生涯をまとめた、教科書とも言える一冊が完成した。2016年に発売されていたものに、刊行後から2022年までの内容を加えた増補改訂版。表紙にはアーヴィング・ペンによるリズムプリーツを採用。平面から立体の洋服へと姿を変えるこの作品は、三宅の代名詞と言える。ページを捲る中で最も印象的だったのが、写真家 高木由利子氏がとらえた1999年春夏コレクション“A-POC Le Feu”だ。布を組み合わせるのではなく、1枚の布を衣服と捉える様子を雄大な自然と共に表現した写真は、創造的でありながら実用性も兼ね備える三宅のクリエイションを表していると言えるだろう。ほかにも小池一子氏によるエッセイなど見どころは挙げるとキリがない。この一冊を通して世界に衝撃を与えた三宅の仕事を知り、自分に活かせるヒントを探りたい。