RENEMIA

余白のある空間で他文化との縁を繋ぐ [レネミア/ギャラリー]

木の花器は西石垣友里子 作。偶然知り合った人から災害などで倒れた庭の木を譲り受け、作品にしている。

デザイナーの金城博之とイラストレーターのミレイが夫妻で営む「レネミア」は、にぎやかな国際通りから一本外れた牧志公園の向かい側に位置している。街中では珍しい原風景のような緑と、洗練された外観に思わず足を止める観光客も多い。アートギャラリーとショップ、そしてカフェが併設しているこのレネミアは、旅を愛する店主の経験をもとに作られた。「直感で惹かれて偶然入った店が思い出に残ることや、そこで買ったものをずっと大事にすることが多い。そういう旅のあり方が好きなんです。ふらっと店内に入った人が心安らぐ時間を過ごせる店にしたいですね」。さまざまな目的を持った者、目的を持たずそこに辿り着いた者、そのすべてに間口を大きく広げていて、誰もがそこでゆったりとした時間を過ごせるニュートラルな空間だ。

島国という地理的な特性や辿ってきた歴史から、他県とは一線を画してきた沖縄県独自の文化。金城はそれを狭いものとして捉えるのではなく、外に向けたアンテナで他文化を吸収し沖縄のものと巧みに調和させることで、レネミアの店内に異国感に近い心地よい非日常感を演出している。店づくりにおいては、沖縄出身の空間デザイナー真喜志奈美がデザインを手がけた店内に、北欧のスツールが自然に馴染んでいる。商品棚にならぶセレクトされた商品にもその価値観は一貫していて、由緒あるやちむんや琉球漆器と沖縄の現代作家の作品、そしてリトアニアで生まれた服までもが一体感を持ち何の違和感もなく整った様子で並べられていた。その自由さと懐の深さが、訪れる者を安心させるのではないだろうか。

カフェカウンターの奥に並ぶのは金城が集めた彫刻や器たち。

カフェではコーヒーやハーブティーなどの飲み物と、それらによく合う手作りの焼き菓子が揃う。アートや民芸品からインスピレーションを得た後に、一息ついて存分に心を解きほぐすことができるのは嬉しい。そんな風に集った人々がリラックスすることで自然に会話が生まれ、人と人が繋がる。ショップを目的に店を訪れたアーティストが、後日ギャラリーで展示を行うことも少なくないのだという。

一度は沖縄を離れたものの、やはり生まれ故郷の豊かな風土や独自の文化の価値を再認識し、敢えて観光の中心地で店を開いたという金城が大事にするもの。それはきっと、余白のある空間だからこそ紡ぎ出される縁なのだろう。

光がよく入るガラス張りの外壁。店の入り口は植物に囲まれている。

RENEMIA
沖縄県那覇市牧志 2-7-15
098-866-2501
@renemia_life

Photo Keiko NomuraInterview & Text Aya Sato

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