Maison de Fujii

穏やかな沖縄で非日常を味わう 火入れを極めたコース料理 [メゾン ド フジイ/レストラン]

10種類以上の旬の野菜が美しく敷き詰められた、彩鮮やかなスペシャリテ。

南国ならではの開放的でリラックスムード溢れる飲食店が多い沖縄では稀な、ほど良い緊張感を味わうことができるレストランが、那覇市松山にある「メゾン ド フジイ」だ。横浜や軽井沢、そしてフランスのレストランで経験を培った藤井隆一シェフが「特別な幸福感を得ることのできるレストラン体験の入り口になってほしい」という願いを込めて提供するコース料理は、6600円とかなり手頃。しかし「グランメゾンで作っていた料理と変わらないものを提供している」とシェフが語るようにそのクオリティは確固たるもので、素材のポテンシャルを最大限に生かすため、ベースの火入れにこだわって調理された品々が客の舌を唸らせる。

臨場感のあるカウンターが8席あり、19:00からの一斉スタートでおまかせのコース料理が提供される。

旬の食材を最も美味しい状態で提供するというのが、この店の料理の基本スタイル。食材を活かす最善策を選ぶため、フレンチ料理をベースにしつつもカテゴリーにとらわれることなく、世界各国の料理の要素を取り入れている。皿の上に美しく誂えられた料理の数々は、味覚はもちろん視覚も同時に刺激する。その重なりが特別な時間を作るが、料理単体だけでなく店の空間や接客、その全てが一つになって心地よい緊張感を作り上げている。

キッチンを囲むカウンター8席からなるこの店は、シェフとソムリエが二人で営むにあたって最も効率的な形になっている。どの席からも調理の工程を見ることができる臨場感のあるスタイルで、コース料理の合間も高揚感が静まることはない。ワインかお茶のペアリングを選ぶことができて、まず初めにグラスから香りを楽しみ、料理とのマリアージュを味わった後はドリンクで余韻に浸る。このように計算し尽くされた時間が、穏やかな沖縄の中で異次元の非日常感を生み出しているのだ。

ペアリングの一杯。氷は濃く抽出したお茶でできていて、水出ししたお茶を注ぐと時間経過と共に味わいのグラデーションが生まれる。

料理に合わせた、中国茶を始め台湾や日本のお茶を、香りと共に楽しむことができる。

Maison de Fujii
沖縄県那覇市松山 2-20-13 ミネビル 202 070-5692-2134
@maison_de_fujii

Photo Yoshiyuki OngaInterview & Text Aya Sato

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