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VOICE by DJ Harvey

VOICE by DJ Harvey

Harvey “DJ Harvey” Bassett is a legendary English DJ who’s career has spanned close to five decades and is sometimes called “the man closest to god.” He is well known for his 12 hour dance parties of disco, space rock, and house that leave attendees with a smile.
達成したい方向を向いて
ただ流れに身を任せるんだ

日本のメディアでは、“神に最も近い男”や“DJ界のキース・リチャーズ”など、大袈裟な形容と共に語られることが多いDJハーヴィー。1980年代半ばのロンドンでDJを始めた彼は、アメリカのディスコ、ハウス・カルチャーに触発されたUKハウスの礎を築き上げ、今日のダンスミュージックの世界では一般的となったリエディットの手法やレフトフィールドなディスコ、バレアリック復権の世界的な流れを生み出したその先見性は確かに神話的ですらある。しかし、2002年にロンドンからLAに移住し、世界中からリスペクトを集めるグローバルなステータスを確立してもなお、笑顔やユーモアに溢れ、肩の力を抜いた彼の自然体な生き方は全く変わることがない。
 
「一般的に日々、旅をしたり、空港やホテルで時間を過ごしたりすることは、必ずしも最も理想的なワークスタイルとはいえないけれど、私にとって、DJはとても自然で楽しいものであって、仕事ではないんだ。そのDJさえもコロナ下にある今、密の状態で大人数が集まるのはよろしくないから、半年くらいはやっていないしね。それ以外の電話で人とコミュニケーションを取るような仕事は、サーフィンの合間にビーチに立っていてもできるだろ?だから、今は一日おきにビーチでサーフィンをしたり、ぶらぶらしたりしているし、私にとってマリブの(ロングボードのサーフスポット)ファーストポイントが新しいオフィスみたいなもの。みんなと同じように、気が狂わないように一日を過ごそうとしているだけだよ。頭を垂れて、高潔で正直でいようとしているし、人生の中であまり摩擦を起こさないようにしている。人生における哲学やマントラを持っている訳ではないから、ただ流れに身を任せて、自分が達成したいと思っていることの大まかな方向に自分を向けるようにしているだけなんだ」。さらりとそう言ってのけるが、身を任せる流れを読むことにかけて、DJハーヴィーのセンスは超一流だ。
 
「どんな状況でもある特定のスタイルだけをプレイするDJもいるけど、自分の場合イビサでのサンセットパーティーやベルグハインでの月曜の朝のセットなど、その時々で自分のプレイは根本的に異なるアプローチになる。だから、自宅にある6万枚のレコードと10万枚のデジタル・タイトルのなかから、プレイするかもしれない100枚から500枚をプレイリストにまとめて、その夜その場でかける曲を選ぶんだ。ただ、事実を言うと、何をプレイするかは人が決めるんだよ。みんなは「ハーヴィー、君は何でも好きな曲をプレイしていてワイルドだね」って言うんだけど、私はみんなが好きな曲をプレイしているんだけど、みんなは自分がそれを望んでいることに気づいていないだけだと思っているんだよ。ある曲をプレイして、その曲に対するお客さんの反応で次の曲が決まる。お客さんの反応が良ければ、次の方向性が見えてくるし、エネルギーが足りないなと思ったら、また元気を出したり、休ませたりする。そうやってフロアとのエネルギーとインスピレーションの交換が上手くいくと、ポジティブなスパイラルになって、みんながいい気分でパーティを終えることが出来るんだ」。
 
そんな彼のDJや人柄に魅了されているのは、ハードコアな音楽ファンにとどまらない。ロングボード界の伝統的なスケーターのアレックス・オルソン、近年では、オフホワイトとルイ・ヴィトンのデザイナーを兼務するヴァージル・アブローとも親交を深めている。
「ヴァージル・アブローは、オフホワイトに置ける最初のプロジェクトの一つが、(イギリスのシンガーソングライター)PJHarveyのTシャツにプリントされた名前のPJの部分を消して、“DJ Harvey”に変えたものだったんだ。彼はDJでもあって、私のファンでもいてくれているんだけど、当時は「許可なくTシャツを作って、彼は何者なんだ?」と思ったよ(笑)。今は友達になって、時々連絡を取り合っているし、彼が手がけるようになったルイ・ヴィトンが原宿にオープンしたポップアップストアでプレイさせてもらったことは楽しい思い出だね。音楽のスタイルがあって、その音楽に合うファッションのスタイルがあるように、音楽とファッションは相性がいいと思うんだ。私は昔から常にファッションを熱心にフォローしてきたから、ルイ・ヴィトンをはじめ、昨年初めていっしょにコレクションと呼べるものを作ったワコマリアなど、沢山のブランドと関わることができて幸せだよ」。
 
 
DJハーヴィー
ディスコ、ハウス、バレアリックシーンの帝王として知られる、カルト的存在のDJ。ローリングストーン誌が選ぶ「地球上で最高のDJ10選」に選ばれるなど、技術のみならず影響力の高さは音楽のシーンだけにとどまらない。
 
 
 

Photo Hiroyuki Seo Interview Mikuto Murayama Text Yu Onoda

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