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NO GEOGRAPHY
Chemical Brothers

NO GEOGRAPHY
Chemical Brothers

Chemical Brothers
No Geography
9th album
Released 12 April 2019
Length 47:00
Label Astralwerks

変わらないスタイルへの美学

ケミカル・ブラザーズのニューアルバム 『No Geography』がついに今年4月12日にリリースされた。2015年に発表した前作からおよそ4年ぶりのリリースとなる。日頃オフィスで流れるラジオ番組からはシングルとして先行リリースされていた「MAH」をはじめ、「Free Yourself」をはじめ彼らの楽曲がひっきりなしに流れていた。このレコードを手に入れる頃にはほとんどの曲を覚えてしまっていたほどだ。今回リリースされた『No Geography』は、分断なき世界 の”自由”をテーマにうねるアシッドハウス~ブレイクビーツなどのレイヴサウンド的要素が多く盛り込まれた彼らのルーツを感じる内容となっている。

 

トム・ローランズとエド・シモンズの2人によるイギリスを代表する音楽ユニット、ケミカル・ブラザーズ。1992年の結成以降テクノ・エレクトロ・ブレイクビーツといったクラブミュージックを基盤に、ロックを落とし込んだサウンドは「デジタルロック」という新たな音楽ジャンルを築き上げ、世界のダンス・ミュージックに大きな影響を与えた。これまでの楽曲制作の中でゲストとして参加したミュージシャンも数知れず、 オアシスのノエル・ギャラガー、ア・トライブ・コールド・クエストのQ-Tip、ニュー・ オーダーのバーナード・サムナーをはじめ幅広いジャンルから迎えたゲストとともに独自の音楽スタイルを炸裂させてきた。今作のオープニングナンバー「Eve of Destruction」 Length 47:00 Label Astralwerksには日本のヒップホップデュオ、ゆるふわギャングのNENEが参加しており、ケミカルブラザーズの楽曲に日本人アーティストが参加したのはこれが初となった。

 

前作のリリースから今作の制作までの間、ライブやDJの活動を精力的に行なっていたという彼ら。公演では今回のアルバムにも収録されている「Free Yourself」や「Got to Keep On」、「MAH」などを披露し、その時のオーディエンスの反応を観察してはスタジオで再編集するといった作業をひたすら行なっていたという。高いライブパフォーマンス力で知られる彼らだが、彼らにとってライブやDJでの活動は現場の空気を知る良い刺激になっているはずだ。その結果、今作も「ライブで楽しんでもらえるような曲が作りたい」 という彼らのスピリッツが自ずと強く反映された作品に仕上がっている。驚くべきは彼らが今回のアルバム制作にあたりなんと20年前の機材を引っ張り出し、かつてのスタジオを自ら再現していたということ。当然ながら昔の機材のスペックは現代の最新機器には到底及ばない。しかし彼らが昔の機材を再び触ったことによって、初期衝動的で荒削りなアシッドサウンドがまた彼らの作品に戻ってきた。

20年前といえばちょうどアルバム『Surrender』がリリースされた時期。ある意味新しい試みによって生み出されたこのアルバムは、彼らがこれまでのキャリアの中で行き着いた変わらないスタイルへの美学を提唱している。過去を振り返りつつも大きく前進した今作品は、ヘッドライナーに決定している今年のフジロックへの期待も一層高めてくれる。

 

ケミカル・ブラザーズ
1992年にトム・ローランズとエド・シモンズによって結成されたイギリスを代表する音楽ユニット。キャリア20年以上の現在も世界のダンス・ミュージックシーンの最前線を駆け抜けている。

 

Photo Taijun Hiramoto
Select & Text Mayu Kakihata
www.amazon.co.jp/No-Geography- 12-inch-Analog/dp/B07N3S5PMJ/ ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=

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