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Interview with
Oh Hyuk Musician Interview about Life in Work

世界のクリエイターたちの
新しいワークスタイル

時代が変われば、それに伴って働き方が変わるのは世の常。オンラインが普及したことによって在宅勤務が可能になり、パソコンの画面で打ち合わせをするなんて一昔前であれば考えられなかったことだ。社会が少しずつ柔軟になることで、どんな場所で、どんな服で、どんな時間に、どのように働くかを考える必要も増してきた。クリエイティブに自分らしく働くためには、どういうワークスタイルにするべきか。ここでは、ファッションや音楽のシーンで活躍する世界中のクリエイターたちのワークスタイルに迫る。彼らのワークスタイルから新しい時代のヒントを感じ取って欲しい。

Interview with
Oh Hyuk Musician Interview about Life in Work

世界のクリエイターたちの
新しいワークスタイル

時代が変われば、それに伴って働き方が変わるのは世の常。オンラインが普及したことによって在宅勤務が可能になり、パソコンの画面で打ち合わせをするなんて一昔前であれば考えられなかったことだ。社会が少しずつ柔軟になることで、どんな場所で、どんな服で、どんな時間に、どのように働くかを考える必要も増してきた。クリエイティブに自分らしく働くためには、どういうワークスタイルにするべきか。ここでは、ファッションや音楽のシーンで活躍する世界中のクリエイターたちのワークスタイルに迫る。彼らのワークスタイルから新しい時代のヒントを感じ取って欲しい。

発想を形にするために必要な自分だけの調和の取れた環境
オ・ヒョク
心地良さを感じる自宅での作業

ヒョゴ(HYUKOH)。韓国新世代の声を代弁するユースとしてシーンに登場したのが2014年。デビューからわずか1年で韓国内でバンドの人気は爆発。その勢いはアッという間にアジアから世界へ伝播し、2017年リリースの1stフルアルバム『23』を引っ提げてワールドツアーを敢行。東京では赤坂ブリッツでの公演となったが、こんなにも韓国のバンドが日本の若者に強く支持されているのかと驚かされた記憶がある。そのときにバンドをインタビューしたが、フロントマンであるオ・ヒョクは質問に対してゆっくりと言葉を選びながら、少し下に視線を向けて慎重に話を進めていた。その奥ゆかしい姿が印象的だった。あれから3年が経ち、26歳になるオ・ヒョクは、もはや新進気鋭のミュージシャンではなく、音楽やファッションなど様々な方面でクリエイションを発揮するアーティストとして世界にその存在感を示している。ヒョゴは今年の1月に新作EP『through love』を発表し、2月に再びジャパンツアーを行った。「HYUKOH 2020 WORLD TOUR」と銘打たれた世界42都市を巡るバンド史上最大規模のツアーのトップとして日本公演が開催されたのだが、そこで、コロナだ。以降のスケジュールはすべてキャンセルとなり、ミュージシャンとして表立った活動ができない期間が訪れることになった。
 
「パンデミックがなければ今もツアーをやっていたと思います。ジャパンツアーを最後に強制的に休養期間に入ることになったのですが、最初の頃は不安感が強く、今まで準備してきたものが宙に浮いたまま崩壊していくような感じだったんです」と3月からの心境を語るオ・ヒョク。だが、ヒョゴとしてリリースとツアーの日々を送り続けてきた彼にとって、多くのミュージシャンがそうであるように、思考的な好転反応があった。「デビューからノンストップで活動し続けていた私にとって、自分のための時間を持つのは今回が初めての経験だったんです。そこで気づいたのは自分が消耗しきっていたということ。私は自分の考えに囚われがちで、何もかも放り出して休息モードに入ることができないタイプなのですが、せっかくの機会なので頑張ってリラックスしてみようと考えたんです。でも、そんな休養期間にも飽きてしまって、最近はまた仕事を自宅ではじめました。仕事の合間に近所を散歩したり愛犬との時間を楽しんだり自炊をしたりしつつ、リビングで時間を過ごす日々は実に気持ちが良いですね」。

 
 

調和が取れた生活空間=仕事場

リビングにはオ・ヒョクの趣味とする“家具集め”によってコレクションされたプロダクトが集まっている。「自分が過ごしたり仕事場としている場所に好きなものや家具を置いておくと、間接的に影響を受けるんです。家具を集めはじめたのは4、5年前からですが、旅行や仕事で訪れた街でインテリアショップを巡って家具やオブジェを集めてきました。格別に好きなものや作品を集めているわけではなく、バランスの調和を重視して置いているんです」。これまで家にいる時間など、ほんの僅かしかなかったであろうオ・ヒョク。ヒョゴはソウルだけではなく、ベルリンやイギリスなど海外スタジオでもレコーディングや制作を行っているが、作業場として選ぶのは「(その国に制作に適した)スタジオがあるから」というシンプルな理由から。その理由は制作を行う際に予めしっかりと作業工程を考えてからスタジオに向かうからであり、オ・ヒョクの場合、クリエイティブのプロセスに場所が影響することはない。そういった意味で、現在自宅で創作活動を行っているということは、今までと変わらない彼のワークスタイルなのかもしれない。
 

 
 

オ・ヒョクの仕事に必要な道具は何か。

「選ぶとしたら、1953年製のフェンダー・テレキャスターでしょうか。私がもっとも大切にしているモノの1つです。特にモノに対して深い愛情を持つタイプではないんですけどね。あとはLGのテレビですね。技術の進歩に感銘を受けました」。このLGのテレビというのは、極薄の有機ELテレビで壁掛け型ではなく、パネル背面にあるマグネットを貼り付けて設置するタイプのモデルを指す。オ・ヒョクが仕事道具にテレビを挙げたのには理由がある。映画やビデオから創作に関するインスピレーションを受けることが多いというのは、これまでに各メディアで彼自身が語ってきたことだ。だから自宅のテレビの性能が重要なのだ、という意味だ。「映画が好きで様々な影響を受けてましたが、最近は向き合い方が変わってきましたね。以前は楽曲に、映画で観た天気、気温、照明などのディテールを反映させたり、そのイメージをビジュアルに反映させたりしていました。映画を観終わった後に残る、映像の名残のようなものを脳裏に思い浮かべたりしていたんです。でも、最近では創作に対して直接的なインスピレーションを映画から得るというよりは、その映画を観終えた後に残る感情の方を重視するようになったんです。私はフランシス・フォード・コッポラやソフィア・コッポラのファンですが、最近ではコーエン兄弟やガス・ヴァン・サントの作品をよく観ます。彼らの色彩感覚、映画に込められた色相、そして映像演出全体に感動しています」。
 
目下、最新作となる『through love』について「ずっとサイケデリックな音楽を作りたいと考えていて、サイケデリアとは何かを自分たちなりに解釈した結果がこの作品なんです。不要なものをすべて取り除くことに注力し、できるだけシンプルなものにして、その中にバランスを見出すことを考えていました」と話すオ・ヒョク。この考えには、前述の自宅リビングに置かれているものや好きな映画作品から受け取るインスピレーションについての話と重なってくる。

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