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Interview with
Ama Lou Musician
Interview about Life in Work

世界のクリエイターたちの
新しいワークスタイル

時代が変われば、それに伴って働き方が変わるのは世の常。オンラインが普及したことによって在宅勤務が可能になり、パソコンの画面で打ち合わせをするなんて一昔前であれば考えられなかったことだ。社会が少しずつ柔軟になることで、どんな場所で、どんな服で、どんな時間に、どのように働くかを考える必要も増してきた。クリエイティブに自分らしく働くためには、どういうワークスタイルにするべきか。ここでは、ファッションや音楽のシーンで活躍する世界中のクリエイターたちのワークスタイルに迫る。彼らのワークスタイルから新しい時代のヒントを感じ取って欲しい。

Interview with
Ama Lou Musician
Interview about Life in Work

世界のクリエイターたちの
新しいワークスタイル

時代が変われば、それに伴って働き方が変わるのは世の常。オンラインが普及したことによって在宅勤務が可能になり、パソコンの画面で打ち合わせをするなんて一昔前であれば考えられなかったことだ。社会が少しずつ柔軟になることで、どんな場所で、どんな服で、どんな時間に、どのように働くかを考える必要も増してきた。クリエイティブに自分らしく働くためには、どういうワークスタイルにするべきか。ここでは、ファッションや音楽のシーンで活躍する世界中のクリエイターたちのワークスタイルに迫る。彼らのワークスタイルから新しい時代のヒントを感じ取って欲しい。

“色”がすべてのクリエイション源
アマ・ルー
沈黙の中で真実を見つめ
自分自身と向き合う

ノース・ロンドン出身、現在22歳のシンガーソングライター、アマ・ルー。18歳という若さで自身初のシングルとなる「TBC」をリリースし、本格的に音楽活動を開始して以来、2017年のジョルジャ・スミスのツアーサポートを務めるなど英国の音楽シーンで瞬く間に実力を発揮し始めた。その評判は海を越え、ヒップホップシーンの頂点に君臨し続けるラッパーであるドレイクも、尊敬するシンガーの1人として名前を挙げていたほどだ。アマの代名詞といえば、並外れた歌唱力と流れるようなフローに乗せたパワフルな社会的メッセージであるが、特筆すべき点がもうひとつある。彼女のディレクション能力だ。それは2018年にリリースされた3曲構成のEP「DDD」の作品全体をシームレスに編曲し作成した、13分にわたるミュージックビデオからも見て取れる。80年代のクライムムービーやロードムービーから着想を得て製作された本編。LAの犯罪組織の一員として奔走するキャラクターの夜明け・昼・夕方の3つの時間帯を追った構成となっているのだが、その主演・監督、編曲に至るまですべてを彼女がディレクションしているのだ。「プロジェクトや自分の作品の大半は1人でやらなければならないと思っています。そうしないと私の頭の中を整理出来ないし、細かい調整もできない。1人で考えを整理するからこそ、尊敬している人や多くのファンに言葉で自分の考えを表現することができると思っています。私の頭は常にいろんなことを考えていてとても騒がしくなるから、静寂に包まれて静かにしていたいこともあるんです。静かな場所や静寂の中に座っていたり、部屋が静かであればエネルギーを吐き出すことができるし、人ごみや大きな車の音に打ちのめされることもありません。音は分散され湖のような静けさと化し、叫べば声も進み続ける。そんな何も跳ね返ってこない沈黙が好きなんです。沈黙はクリエイションにとって良い浄化となります。私たちが沈黙を避けているような気がするのは、考えたくないことと向き合わせられたり、真実を見なければならなくなったりするからですよね。でも真実を見つめたり、自分の考えと向き合って生きていくことは私のワークスタイル、引いては人生にとって必要不可欠なこと。自分の内心を整えることは、ピュアでオーセンティックな表現をするためにとても大切なことなんです」。

 
 

音を視覚化する
作曲プロセス

そんな1人で過ごすことが多いという彼女の職場兼スタジオ。色分けされたポストイットがずらりとボードに貼られている光景が印象的だ。この色分けという行為は、彼女の作曲プロセスに大きく関係しているポイントである。「私は作曲をはじめとした活動すべてにおいて、色がとても重要な要素としてあります。音楽は色として見えて、これをどうやって音楽的に表現しようかと考えていくんです。曲を作りたいと思ったり、曲が書けそうな気がしたり、誰かがビートを聞かせてくれてそのビートが好きになったりすると、突然色が見えてくる。それをすぐに視覚化して整理するために、様々な色のペンやポスト・イットを持っているんです。1パックのペンを買って自分が表現したい色が全て含まれていることはあり得ないから、私が感じる色に一番近いペンを使って曲のタイトルを書く。そしてボードに貼ってどう感じるか見てみる。ボードには感じた色ごとに曲が整理してあるんです。プロジェクトによって違う色を使い分けたり、タイトルの書き方もすべて違うフォントにしている。色はもちろん、タイトルは自分が感じているものと一致したフォントで書いています。どのように色調整をするかとか、どんな色の衣装を着るかとか、どの場所でどんな色を求めて撮るかは、私がクリエイションにおいて最も大切にしている部分なんです」。
 
 

時には立ち止まり
自然に身を委ねてみる

世界から注目されるクリエイターとして、日々多忙なスケジュールを過ごすアマ。多くの作業を1人でこなす中でも、ルーティンを定めることがクオリティの高いクリエイションを生み出す秘訣なのだと言う。「何かを作る上で、特にアルバム制作やプロジェクトのプロセスの時は、ルーティンを決めることが重要だと思う。思考の型にハマって3時間ドラムサンプルを探し続けることになっても、7時に散歩に行くことは決まっているからその時間に切り上げる。あるいは、決まった時間に食事を摂ることでも良いです。決められた日課を自分に課すことで、一度立ち止まって頭の中を整理できるから、私の作業にとても役立っています。そうしないと考えがグチャグチャになってしまうんです」。3年ほど前から生活と仕事の拠点をLAに移している彼女。LA独特の気候や雰囲気も、良いインスピレーションを与えてくれているそう。「音楽関係の仕事をしている多くの人たちや、一緒に仕事をしたいと思っていた人もここにいて、何度か遊びに来るうちに自分が求めているスピードや効率性、求めていたものがあると感じて『ここに引っ越そう』と思い立ったんです。私はとてもアウトドアなタイプで、自然は仕事や日々の生活の中でとても重要な役割を果たしています。太陽の下で日光浴や友人の馬の世話をしたり、ふとした瞬間で海に飛び込んでみたり。クリエイティブなアイディアを求めて行き詰まる時もあるけれど、そういう時は少し立ち止まって自然に身を委ねてみるのが一番だと思います。そうすれば自ずとアイディアが湧いてくるから」。

 
 

原点を忘れない
自身のファッション観

彼女が世に送り出す作品であるシングルやEPのジャケット、ミュージックビデオでのスタイリングはすべてアマ自身が行っており、彼女はファッションの観点から見ても特出したセンスを窺わせている。パーカーの上にザ・ノース・フェイスのベストを羽織るロンドンスタイルや、カラーリングが特徴的なスタイリッシュかつモダンなスタイルなど幅広いスタイリングの引き出しが魅力だ。そんな彼女の卓越したファッションセンスは、アメリカンヴォーグでアマの特集記事が組まれたことからもすでに世界的認知となってきている事かもしれない。「今までの話からも分かると思いますが、私にとってファッションにおいても色はとても大切な要素。服のシルエットや生地がどこから生まれてきたものなのかなど、歴史への理解もとても大切にしています。私は自分のワードローブにあるものすべて、どこで生産されたものなのか、手法や素材に至るまですべて把握しています。そうした服に対して愛情とこだわりを持つことは、母の教えなんです。母はファッション史やファッションデザインを勉強していたこともあり、よく子供の私と妹を生地屋さんに連れて行ってくれました。そこで生地やファッションのことを教えてくれたから、自分のファッション観には母の影響が大きいです」。彼女のスタイリングを見るとカラーリングや生地の組み合わせ以外にも、ゴールドのアクセサリーがポイントとなっていることが分かる。「私は南アメリカのガイアナ共和国にルーツがあります。ガイアナには家族の中でジュエリーをプレゼントしてそれを受け継いでいく文化があるんです。ゴールドジュエリーはガイアナ人の文化だから、私がつけているゴールドもすべてガイアナ産。ガイアナ産の金は黄色くてリッチでゴージャスで、私にとってとても特別なもの。いかなる時も私を原点に立ち返らせてくれる存在なんです」。
 
原点を忘れずに、行き詰まれば立ち止まり自分を見直してみる。彼女のワークスタイルの根幹にあるのは、自分自身に対して俯瞰的な視点を持つということ。常に自分と向き合い続けてきたからこそ、見つけ出した“色”がこれまで作り上げてきた作品たちである。果たして彼女はこれから私たちにどんな“色”を見せてくれるのだろう。彼女が誰もが知る世界的なスターになる日はそう遠くない。

アマ・ルーノース・ロンドン出身のシンガーソングライター。2019年にEP「Ama, Who?」をリリースし、メジャーデビューを果たした。同EPに収録の楽曲「NORTHSIDE」では 500万以上のストリーミング再生数を誇り、並居るR&Bシンガーの中でもひときわ注目を集めている。現在は次のプロジェクトを鋭意製作中とのこと。
WORK TOOLS

「私は日本のペンを使っているのですが、とても気に入っています。サクラのペンテルサインペンというペンなのですが、筆ペンのようでサインペンというまさに自分にとって完璧なペン(笑)。色もたくさんあるから自分のイメージに近い色を探しやすいんです。ノートはいつも決まって、ロルバーンのノートブックを持っています。スマホでメモを取ると通知とかがきて気が散るから、メモはなるべくこっちに取るようにしています。好きな歌詞を思いついて、その歌詞を書き留めて、それを曲に落とし込んでいく時に使います。手帳がいつもプロセスの出発点だとは限らないけど、手元に置いておきたいツールです。あと自分が直感的に感じた色をすぐに探すために、パントン・カラーのカラーパレットも使います。でもやはり自分にとってはボードがすべて。自分の頭の中をそのまま投影したものですから。ボードを整理することは自分の頭の中を整理することに直結していてとても大切です。私の製作活動においてはボードと机と椅子とペンがあれば、あとは何もいらないくらいですね」。

カラーパレットやポストイット、様々な色のペンが大量に置かれたデスク周りは、“色”をクリエイションの原点としているアマらしさが伺える。頭に浮かんだクリエイティブなアイディアを、クイックに書き起こすための配置となっている。

 
 
 

Photo Pavielle Garcia Interview Mikuto Murayama Text Shohei Kawamura

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