Loading...

COLLAPSED IN SUNBEAMS ARLO PARKS 1st album
Released 29th January 2021
Length 39:57 Transgressive

COLLAPSED IN SUNBEAMS ARLO PARKS 1st album
Released 29th January 2021
Length 39:57 Transgressive

優しいエネルギーに満ち溢れた
みずみずしいデビューアルバム

寒さも和らぎ暖かい春はもう目の前。お世話になったコートやセーターも出番を終えて、眠っていたお気に入りのバンドTシャツに再会する時期。気がつけば冬を共にしたハートウォーミングなアルバムの上には、最近買ったばかりの新しいレコードたちが何枚も積み重なっていた。衣替えをするように、音楽も季節によって変わるもので、春はいつだってフレッシュな気分で新たな出会いを探したい。アーロ・パークスのデビューアルバムとなった『Collapsed In Sunbeams』はそんな春の訪れを感じさせる旬なアルバムのひとつだ。
 
アーロ・パークスは2000年生まれ、ナイジェリア、チャド、フランスの血を引くロンドン出身のシンガー・ソングライター、詩人。2018年にリリースしたデビュー・シングル「Cola」をきっかけに注目を集め、BBCによるSound of 2020にノミネート、その後にリリースした「Eugene」がBBC Radio 1のプレイリストに選出、イギリスとヨーロッパで行われたツアーもソールド・アウトという今最も勢いのある若手のひとりだ。さらに昨年は、グッチが制作するショート・フィルムへの出演、2021年のミラノ・ファッションウィークにディオールのゲストとして出席するなど、音楽業界のみならずファッション・アイコンとしても注目を集める存在となっている。
 
今年の一月末にデビュー・アルバムとしてリリースされた本作には、シングルリリースでも人気を集めた「Eugene」、「Black Dog」、「Hurt」、「GreenEyes」を含む全12曲が収録され、初のアルバムにふさわしい魅力満載の内容となっている。子供時代から小説を書き、ジャーナルを作り、スポークン・ワードに関心を寄せるなど、知性派な探究心を持っていたアーロ・パークス。アレン・キンズバーグやジム・モリスンをはじめ、近代作家ではナイラ・ワヒード、ハニフ・アブドゥラキブ、イアン・S・トーマスなどの詩を愛読し、それらの作品が彼女のクリエイティブに影響を与えていることは作品を通しても感じ取ることができる。詩の朗読から始まる冒頭のタイトルナンバー「Collapsed In Sunbeams」はアルバム全体にストーリー性を持たせ、上品なリズム感が心地のいい歌詞、「Hope」や「Bluish」、「Portra400」などに時折差し込まれるラップよりもポエトリー・リーディングに近いアプローチは、彼女の「言葉」に対する敬意を感じるとともに「話す」「読む」といった感覚を音楽作品として表現されているようである。知的な美意識と、気だるくもピュアな歌声が作り出すノスタルジックな世界観が投影されたこのアルバムは、目まぐるしい日常の変化に疲れた私たちを照らす陽の光のような優しいエネルギーに溢れている。華々しいデビューアルバムを飾ったアーロ・パークスの今後の活躍にますます期待したい。
 
新しいレコードに針を落とす瞬間はいつだってワクワクする。春になると爽やかなソフトロックのレコードが欲しくなったり、夏は気持ちのいいAORやフリーソウルを集めたプレイリストを準備してドライブへ出かけるのも楽しい行事。秋はビル・エヴァンスなんか聴いてみたり、冬に聴くサイモン&ガーファンクルが格別に感じたり、そんな風に音楽と過ごす1年はあっという間で、よく聴くアルバムはお気に入りの棚に集めて、それをシーズンによって入れ替えるのが私のちょっとした習慣になっている。春は始まりの季節。みずみずしい魅力に満ちたこの作品とともに自分なりの「Daily Chic」について考える時間を過ごしてもらえると嬉しい。
 
 
Arlo Parks
2000年8月9日生まれ。ナイジェリア、チャド、フランスの血を引く、東ロンドン出身のシンガー・ソングライター、詩人。2018年に「Cola」シングルリリースでデビューし、高い評価を得る。現在では音楽のみならずファッションのシーンからも注目される存在になっている。
 
 
 

Photo Taijun Hiramoto Select & Text Mayu Kakihata https://tower.jp/item/5119902/ Collapsed-In-Sunbeams

Related article