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CEELO GREEN IS
THOMAS CALLAWAY Ceelo Green is Thomas Callaway 
7th album Released 7th August 2020
Length 40:00 Easy Eye Sound

CEELO GREEN IS
THOMAS CALLAWAY Ceelo Green is Thomas Callaway 
7th album Released 7th August 2020
Length 40:00 Easy Eye Sound


 

自身のルーツに踏み込んだ
トーマス・キャラウェイという姿

日が落ちて鈴虫やコオロギの声が聞こえてくるようになると、夏の終わりと共に秋の到来を感じる。今年、私たちはこれまでにない夏を体験した。例年のように遠出の遊びに出向くことはなかったが、こんな風にゆったりとした夏も案外新鮮で、そう悪いものではなかったように思う。気がついた頃には2020年も後半戦で、今年もあっという間に終わってしまうのかと、夏の余韻に浸りながら少し感傷的な気分になる。秋になると私たちの感受性は一層高まり、本や音楽をはじめ、芸術鑑賞はいつも以上に大きな刺激となって豊かな心を育ててくれる。
 

そんな秋の一枚として是非チェックして欲しいのが、先月にリリースされたシーロー・グリーンの新作『シーロー・グリーン・イズ・トーマス・キャラウェイ』。ほろ苦くもハートフルな魅力に溢れたこのアルバムは、人肌恋しい心をそっと温めてくれる。シーローグリーンはアメリカのミュージシャン。ダーティーサウス(アメリカ南部発祥とするラップミュージック)を代表するヒップホップグループ、グッディー・モブのメンバーとして1995年から活動したのち、2002年に脱退。その後はソロデビューを果たし、2004年にはデンジャーマウスと共にナールズ・バークレイを結成。2006年にリリースした楽曲「クレイジー」の全英大ヒットでさらなる注目を集め、ヒップホップ〜R&Bのみならず、あらゆる音楽シーンからリスペクトされる存在となっている。
 

約5年ぶりのソロ最新作となった本作は、ザ・ブラック・キーズのダン・オーバックをプロデューサーに迎え、制作された。ザ・ブラック・キーズは2001年にアメリカ、オハイオ州で結成されたガレージ〜ローファイ的な音楽性が特徴のロックバンド。ヒップホップ〜R&Bの印象が強いシーロー・グリーンと、現代のロック界を牽引するダン・オーバックという異色の二人が作り上げたこのアルバムは、それぞれが作り出す音楽の根底にあるスピリットが通じ合った共同作と言える。レコードを手にした時、このどことなく70年代のソウル〜レア・グルーヴムードなジャケにもグッときた。その期待に応えるように、収録された楽曲からは、スティーヴィー・ワンダーやダニー・ハサウェイ、リオン・ウェア的なソウルの重鎮たちの姿を見るような深みと甘み、そして説得力が感じられ、まさにソウルとしか言いようのない極上の一枚に仕上がっている。また、本作のタイトルにはトーマス・キャラウェイ、すなわちシーロー・グリーンの本名が使われているのだが、その点に今回のアルバムの本質とも言える大きな意味が込められているように感じる。“ソウル・マシーン”と自らを称するシーロー・グリーンであるが、本作ではソウルに身を捧げたシンガーソングライターとしての実力が最大限に引き出されている。彼自身のルーツの一つであるゴスペルの要素も感じられるこの作品は、彼にとってシーロー・グリーンというアーティストの素の姿を映し出しているのかもしれない。
 

ここ最近の本企画はアナログのリリースが間に合わず、手元にレコードが無い状態での執筆が続いていた。今回久しぶりにアナログの音を聴きながらあれこれ考えることができたのだが、改めてレコードに針を落とす意味を感じたアルバムでもあった。大抵の場合、ソウルといえばブラックミュージックのカテゴリという認識なのだが、本作では白人であるダン・オーバックとのタッグもあってか、人種の壁を感じさせないあらゆる人々にアプローチした現代の“ソウル”が提唱されているように感じた。誰の心にも優しく響くこの新たな名盤と共に、秋の夜長をしっとり過ごしてみてはいかがだろうか。
 
 

シーロー・グリーン
アメリカのミュージシャン。ヒップホップグループ、グッディ・モブの元メンバーとしても知られ、現在はソロ活動を中心に活躍中。シンガー〜ラッパー〜プロデューサーなど、その才能は多岐に渡り、あらゆる音楽シーンから支持を得ている。

 
 
 

Select & Text Mayu Kakihata

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