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Interview with STARCRAWLER

Interview with STARCRAWLER

ロックの停滞を突き破る若き衝動

 ロックは死んだ。そう言われた瞬間は音楽の歴史において、何度となくやってきた。そして、即時性が求められるSNSの時代にフィットするヒップホップ、R&Bやエレクトロニックミュージックが全盛の昨今、ロックは再び旗色が悪い季節を迎えている。しかし、強い向かい風が吹きすさぶなか、2018年にデビューアルバムをリリースしたLAの4人組バンド、スタークローラーは全世界をツアーで回りながら、ありったけの衝動を注ぎ込んだガレージロックサウンドと血糊が飛び散る激しくシアトリカルなパフォーマンスによって、ロック再生の起爆剤となる大きな衝撃をここ日本にももたらした。
 
「強烈な印象が残ってるライブ?お世辞じゃなく、初めて日本に行った時の名古屋だね。自分たちとしては、ファーストアルバムをリリースした直後で、まだそこまで知名度はないだろうから、沢山のオーディエンスが集まるとは思っていなかったんだけど、蓋を開けてみれば、フロアはパンパン。激しくモッシュしたり、ダイブしたり……はまだ分かるんだけど、ステージに上がってきて、走り回った挙げ句、壁にガンガン頭を叩きつけて、血まみれになった人を見た時はさすがに驚いたよ(笑)。世界各地を回ってきても、あそこまでイっちゃってるカオスな空間はそうそう体験出来るものじゃないね」(ティム・フランコ/ベース)

Left_Tim Franco(ティム・フランコ) Right_Austin Smith(オースティン・スミス)

 
 
 圧倒的なカリスマ性とアイコニックなスタイルを誇る紅一点のボーカリスト、アロウ・デ・ワイルドを擁する当時10代の彼らは、ただただ衝動性を追い求め続けたツアーの日々を通じて、大人になっていった。
「ツアー漬けの日々は、キツい瞬間もあるし、歳取ったら大変そうだなとは思うけど(笑)、基本的にはみんな楽しんでるよ。演奏はもちろん、最近はツアー先でのいいバンドとの出会いに刺激を受けてるかな。印象に残っているのは西海岸ツアーを一緒に回ったディスティラーズだね。経験豊富なバンドだから、初めは自分たちのライブをどう作っていくか、恐る恐るやっていたんだけど、優しい人たちだったから、すぐに仲良くなれたし、ライブのアプローチの仕方はもちろん、例えば、どういう風にオン・オフを切り替えたらいいのか、色んな局面における心構えをアドバイスしてくれて。そういう貴重な経験を通じて、バンドを始めた14、5歳頃と比べると、精神面で大きく成長していると思う」(オースティン・スミス/ドラム)

Arrow de Wilde(アロウ・デ・ワイルド)

 
 
 渦巻くエネルギーを糧に、精神面だけでなく、音楽的にも大きな成長を遂げつつある彼ら。そのリアルな姿を映し出しているセカンドアルバム『デヴァウアー・ユー』では、P.I.L.やザ・スリッツ、ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズといったロック・レジェンドからヤー・ヤー・ヤーズやアーケイド・ファイアといったコンテンポラリーなバンドまで、連綿と続くロックの歴史に長らく携わってきたイギリスのプロデューサー、ニック・ローネイを迎えた。
 
「長くツアーしていると、同じ曲を演奏し続けるのはさすがに飽きるんだよ。だから、車にガソリンが必要なように、俺たちには新しい曲、新しい作品が必要だった。そこでツアーとツアーの合間の空いた4か月を利用して一気にアルバムを作ってしまおうってことになったんだ。でも、見込みが甘かった(笑)。曲作りを終えた後、プロデューサーを迎えて、いざレコーディングとなったら、8日間しか残されてなかったんだ(笑)。しかも、今回はソングライティングよりサウンドの構築に重きを置いたので、その後のミックスの確認だったり、詰めの作業をツアー中にやる羽目になった。それが相当にキツくて、ストレスフルな作業だったんだけど、負荷がかかった分だけ、完成の手応えが返ってきたアルバムになったね」(ティム・フランコ)
 
 この作品では、ストゥージズばりのヘヴィなギターリフはそのままに、そのプロダクションはよりシンプルに、深みを増したことで、衝動性のその先にあるスタークローラーのオリジナリティがいよいよ明らかになりつつある。ガレージパンクにカントリーやポストパンク、グランジ/オルタナティブなど、そのハイブリッドな音楽性は若くして研ぎ澄まされたセンスと現代感覚に裏打ちされたものだ。

Henri Cash(ヘンリー・キャッシュ)

 
 
「俺はメタルとヒップホップから大きなインスピレーションを得ているし、ティムはソウルのマニアだったり、みんな色んな音楽を聴いているから、その影響が反映されるのは自然なことだよ。その影響がどういう形で表れるのか。このアルバムにはヒップホップの直接的な影響は感じられないだろうけど、アンダーグラウンドでのイノベーションを経て、今ようやくリスペクトされるようになったヒップホップも色んな音楽の影響を受けているし、例えば、エモラップの縦ノリやスクリームは、実はロックの影響が大きかったりする。それと同じように、アンダーグラウンドに潜伏したロックも色んな音楽の影響を受けた新しい世代のイノベーションによって、この先またリスナーに衝撃を与えることになるんじゃない?」(オースティン・スミス)

 
 
 

Photo Yuto Kudo
Interview & Text Yu Onoda

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