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WHITEHOUSE COX

WHITEHOUSE COX


長きにわたって職人たちが働いていけることの根底にはホワイトハウスコックス社の理念が大いに関係がある。社長のスティーブン・コックスには、いいものを作り続ける、長くビジネスを続けるという信条があり、そのための環境を作ってきた誇りがある。「従業員が満足して、誇りを持って仕事をしているということは、ホワイトハウスコックスにとって非常に重要なことなんです。例えば、見習いの若者が工場にやってきて、工場での作業・仕事・環境に不満がある。楽しそうに仕事をしていないという状況であれば、例えその人にたくさんの投資をして育てたとしても辞めることを勧めるんです。彼らが数年、数十年と続けたいと思えないのであれば、それは彼らにとって苦痛でしかないですから。また、途中で他の会社に転職した従業員が、やっぱり我が社に戻ってきたいとあれば、わだかまりなく喜んで受け入れるようにもしているんです。そうした積み重ねから、いま工場には十年、数十年と勤めてくれている従業員がたくさんいます。それこそが我が社のクオリティであり、誇りです」。


その従業員、人たちの情熱、もの作りへのプライド=ホワイトハウスコックスプライドこそが、このメーカーの一番の強さだ。

「使ってくれている顧客たちの信頼を得るために、最高の品質のプロダクトを製造し続けることに細心の注意を注いでいます。ホワイトハウスコックスの製品は比較的高価かもしれませんが、それだけの価値があるものであるという自負もあります。価格に見合った製品=10年後も使い続けるのことのできるもの、それが我々のクオリティです。そして我が社は皮製品をつくることにだけに特化しています。その他のものは一切作りません。ファッションブランドのように、あらゆるアイテムに関わるようなことをしないことで、皮製品というジャンルでの最高峰であることを目指しています。そして革製品の中で最高品質のものを生み出しているという誇りもあります。ホワイトハウスコックスは、皮製品に特化することでブランドの個性と価値、クオリティを守ることができていると思っています。

自分が生活の中で使うものも、そんなブランドが多いです。例えば、モンブランのペンや日本の職人が作る包丁などです。以前ホワイトハウスコックスのベルトを発注していたラルフローレンも、その後様々なメーカーにベルトを発注したのちホワイトハウスコックスのベルトが最高だ、ということで現在発注の段取りが進んでいることは、非常に嬉しいし誇らしいことだと思っています。

自分が満足出来ない製品が工場を出て販売されることは絶対にない、と言い切る自信があります。すべてのアイテムはたくさんの従業員の目によって注意深く点検されています。何度もチェックの工程がありますし、もちろん自分自身で製品のチェックも行っています。すべてのアイテムを完璧な状態で納品できるように、いつも目指しています。機械生産ではできないオールハンドメイドの素晴らしさ、味わい。それをホワイトハウスコックスは実現できていると思っていますし、これからも続けていきます。

そしてホワイトハウスコックスではロゴが目立たないデザインをしたいんです。ブランド名でホワイトハウスコックスを選んでもらうのではなく、この製品が好きだから、品質が素晴らしいから、手触りが良いから、という理由で選んで欲しいんです。ホワイトハウスコックスは、すべてのアイテムがハンドメイドかつ真のメイド・イン・イングランドであることに誇りを持っています。今はメイド・イン・イングランドのクレジットがあっても実際すべての工程がメイド・イン・イングランドのものは少ないですから。私は、ウィリアム・モリスの『美しいもの、もしくは便利なもの以外は持つべきではない』という言葉に強く共感しますし、ホワイトハウス・コックスの信念に通じるものがあります。こうした私の精神は従業員たちに日々引き継がれていると思います」。

これほどまでに誠実で実直なモノ作りをしているメーカーは、なかなか見つけられるものではない。企業としての精神、プロダクトへの誇り、そしてクオリティ。そのすべてがこのメーカーの歴史と伝統を作りあげてきた。そしてホワイトハウスコックスが150年近くもメイド・イン・イングランドの誇り高きレザー製品を作り続けていることには感動しかない。

Stephen Cox ホワイトハウスコックスのオーナーディレクター。自ら商品企画や品質管理にも関わる現場主義を貫く経営のトップ。取材陣を駅まで迎えてくれ、自らの運転で工場を案内してくれた

 

 

Photo Taijun Hiramoto P162
Shunya Arai P163-165
Interview & Text Takuya Chiba Coordinate Aiko Yanagida

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