住む場所は毎日を過ごす上でとても大切な存在だ。思えば自分は様々な場所で生活をしてきた。学生時代の寮生活、海外留学でのホームステイ、バックパッカーとして数日ごとに移り過ごした安宿。どれも楽しい日々ではあったが、誰かとの共同生活のためプライベートはまるでなかった。だからこそ、一人暮らしという空間の自由さを今は噛み締めている。机やベッドといった最低限の家具しか買い揃えていない部屋だが、そんな空間を豊かにしてくれているのが、このvisvimのルームフレグランスだった。心地良い空間を謳う同ブランドのフラッグシップショッ「F.I.L」の名を冠したキャンドルを夜に灯し、何もない部屋にさえも落ち着く空気と光を漂わせる。明け方には「KYOTO9:00AM」と名付けられたルームスプレーを吹きかけ、白檀の香りで寝ぼけた頭をスッキリとさせる。まるで京都の寺で精神が整えられるようでさえある。それほど気分に作用する目には見えない香りがフラスコ型の瓶に詰まっていることも楽しく、次はどの香りで実験しようかとワクワクさせてくれる。
Photo Taijun Hiramoto | Text Yutaro Okamoto |