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Patagonia
Better Sweater Chore Coat

環境問題への意識が高まる現代において、かけがえのない自然の魅力について改めて意識することが増えたのではないだろうか。自然と触れ合うこと、五感で感じられるもの、人間らしいプリミティブなテーマを持ったモノやコトは、今の時代に欠かすことのできない心の贅沢と言える。そうした中で、自然環境に対して負荷が多いアパレル産業なだけに、多くのブランドやメーカーが問題意識を掲げて実践を行っている。環境に配慮した生地を使うことは当たり前になりつつある今、プリミティブなものと向き合う新しいアイディアやテクノロジーも進化をし続けているのだ。そうした先を行くコンセプトを持って作られるプロダクトをこの章では紹介。これからの時代におけるもの選びの1つの指針になれば。

Patagonia
Better Sweater Chore Coat

環境問題への意識が高まる現代において、かけがえのない自然の魅力について改めて意識することが増えたのではないだろうか。自然と触れ合うこと、五感で感じられるもの、人間らしいプリミティブなテーマを持ったモノやコトは、今の時代に欠かすことのできない心の贅沢と言える。そうした中で、自然環境に対して負荷が多いアパレル産業なだけに、多くのブランドやメーカーが問題意識を掲げて実践を行っている。環境に配慮した生地を使うことは当たり前になりつつある今、プリミティブなものと向き合う新しいアイディアやテクノロジーも進化をし続けているのだ。そうした先を行くコンセプトを持って作られるプロダクトをこの章では紹介。これからの時代におけるもの選びの1つの指針になれば。

地球環境に最も配慮したフリース

Jacket ¥33000 by Patagonia
T-Shirt ¥6900 by Used (PORTRATION) Pants ¥41800 by MARKAWARE
Belt ¥14000 by soe Shoes ¥101000 by F.LLI Giacometti (WHEELIE)

 
 

一枚のフリースが生み出す
最先端の循環ストーリー

 

アウターの一ジャンルとして確立されているフリースだが、その歴史はアウトドアウエアをメインビジネスとするパタゴニア社と共に始まった。同社の創業者であり、登山やサーフィンなど数多のアウトドアスポーツに精通するイヴォン・シュイナードが、防寒着として愛用していたウールのセーターに代わるアイテムとして生み出したのだ。素材メーカーのモルデン・ミルズ社と協働でポリエステル製パイル生地を開発し、暖かくて軽い防寒着としての革新性が瞬く間に世界的人気を誇るようになった。パタゴニアのトップセラーアイテムとなったフリースだが、実はその生産背景には大きな環境負荷が絡んでいた。石油燃料を由来とするヴァージンポリエステルを素材にしていたのだ。その事実に気づいた同社は石油由来の素材が環境に与える影響を徹底的に調べ、石油原料のヴァージンポリエステルの使用を廃止することを目標にしている。
 
この目標を達成すべくパタゴニアは紡績工場と研究を重ね、1993年にリサイクル・ポリエステル・フリースの製造をアウトドアメーカーとして初めて実現した。それだけでも1シーズンでペットボトル7500万本分の資源が節約されることとなり、現在では同社のポリエステル製品の約90%がリサイクル原料を占めている。その後もアップデートは重ねられ、リサイクル・ウールを混紡することで炭素排出量も大幅に削減することに成功している。
 
パタゴニアのすべての決断は、「地球環境の危機に照らし合わせて行うこと。私たちの株主は地球だということ」に基づいている。リサイクル・ポリエステル・フリースに対しても同様で、新たな革新が22FWシーズンから導入されるようだ。その技術の名は「BRING Technology™」。(株)JEPLANが持つこの技術は、古着として回収したフリースの中でも修理して再販することが難しい服を化学的にリサイクルし、まったく新しいポリエステル原料に生まれ変わらせることができる。
 
BRING Technology™の図を見てもらうとわかりやすいが、この技術を使えば石油由来原料でつくった服と変わらない品質で、一度だけではなく何度でも再生可能だ。つまり、文字通り循環し続けていくのだ。その樹脂に加え、工場での生産過程で発生する落ち布も使ってフリースを作るシステムにパタゴニアは切り替えた。「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という企業理念を掲げる同社だからこそ、大量生産・大量廃棄問題(日本だけでも年間50万トンの服がごみとなり、そのうち95%は焼却や埋め立てをされている)を改善しうる新たな衣類の形を発表した。未来の基本ともなるべきこの服作りは、フューチャープリミティブな活動と呼ぶにふさわしい先進的なものだ。

回収された服の中からポリエステル100%の服を特殊な技術で分解し、石油由来原料でつくった服と変わらない品質で、一度だけではなく何度でも再生可能なBRING Technology™。実はこの技術を実現させたのは、(株)JEPLANという国内企業だ。ポリエステルのリサイクル技術自体は世に多くあるが、再生された繊維を何度もリサイクルできるのがこのテクノロジーの革新的な特徴。「循環」「サスティナビリティ」という言葉が氾濫する昨今だが、アパレル業界においてBRING Technology™以上の循環性はほかにないだろう。「Regenerative(再生)」「Circularity(循環性)」をキーワードとするパタゴニアとブリング・テクノロジーは親和性が高いからこそ、フリースという定番アイテムをアップデートすることができたのだ。

 
※「BRING®」「BRING Technology™」は(株)JEPLANの商標です。

 
 
 

Photo Riku Ikeya
Styling Ryota Yamada
Hair & Make-up Yoko Hirakawa
Model Ajare
Edit Yutaro Okamoto
This article is included in

Silver N°17 Autumn 2022

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