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Minimum Things for Relaxing
Masanori Morikawa(CHRISTIAN DADA)

Minimum Things for Relaxing
Masanori Morikawa(CHRISTIAN DADA)

リラックスできる必要最低限のものたち
デジタルデトックスを旅先の数日間で

これまでに世界中を旅行してきたクリスチャンダダのデザイナー、森川マサノリ。連れて行くのは、お気に入りの洋服と、異国の夜を1人でゆっくり過ごすときに使うガジェット群。それらを出発の朝に雑多にトランクに詰め込んで空港へ。パリコレの際は、クリエイションについて気の張った時間を過ごし、終了後にヨーロッパから、そのまま旅先へ出かけることが多いという。旅が必要なものと理由、そこでの過ごし方には確かな理由があった。

自分をゼロにするために必要なアイテムと時間

パリコレでヨーロッパに長期間滞在することが多いクリスチャンダダのデザイナー、森川マサノリ。まずは見せてくれたパッキングが、どんな内容なのかを聞いた。「このセットは大体2泊3日くらいのショートトリップ用で、今回は暑い場所(国)に旅することを想定しました。アロハシャツと、ちょっとしたアウターなどのウエア類。リラックスするためのガジェットと日用品。パスポートもそのままカバンに突っ込んでいます。仕事のときも、概ね似たような感じですね」。余計なものを入れないシンプルなトランク。もちろんパリコレなど仕事で出かける際は、洋服もあるので比べものにならないほどの分量になる。「仕事のときも遊びのときも、どんなときも外さないのは、バンドTシャツとサングラスと日々使う化粧品ぐらいです。いつも出かける日の朝とかにバッと詰め込んで。特にお洒落なケースに入れたりすることなく、基本的にシンプルで、そのままが多いです」。クリスチャンダダのプロダクトを見てもわかるが、同ブランドには音楽カルチャーがアイデティティの1つとして存在する。その象徴的なアイテムとして、ジョイ・ディヴィジョンなどのバンドTシャツは、自分を示す大切な相棒だ。「音楽を聴くためにJBLのブルートゥーススピーカーは基本として。あとはYouTubeやネットフリックスも見れる小型プロジェクターも持ち歩いています。でも、旅先で音楽を聴いたり、映画を観るのは夜ぐらいです。そもそもパリコレの後に、ヨーロッパから、そのまま旅行に出かけることが多いのでリラックスできる音楽を、それも街並みに合った音楽を聴くことが多いです。東南アジアであれば最近はタイファンクだったり」。
 
 
パリコレが終わった後は、ほぼ100%旅行に出かけるという森川。「1人旅が多いんですけど、本も持っていかないですし、旅先では仕事もSNSもやらないようにしていて。デジタルデトックスに近しい部分があります。持ち歩くガジェットはカメラくらいで、あとは部屋でくつろぐための機器なので。日本にいてSNSなどに囲まれていると、生活にビジネスが侵入し過ぎちゃうんですよね。必要なことではあるんですが、気疲れしてしまうこともある。そういうのは東京にいるときだけでいいと思うんですよ。旅先で一旦自分をリセットして、ゼロの状態にしている感じもあります」。ファッションの世界で自身のクリエイションを披露する場所に身を置くこと。そこにあるデザイナーとしての重責は我々には想像できないことだ。そして、インスタグラムやツイッターなどSNSの進化は、純粋な休息時間を奪ってしまったのかもしれい。だからこそ、誰も知らない場所、自分が知らない国でのリセット時間が重要だ。ただ何もせずに、旅先の気候に合った音楽や、観たい映画を何気なく眺める。そんな音と映像で自分を浄化させる空間を作るための、ささやかなガジェット群。お気に入りの洋服達と日用品。最新鋭のハイスペックな電子機器ではなく、必要最低限の再生機と画として記録するためのカメラ、コンタックスのT3。それこそが森川が大切にする旅の相棒なのだ。
 
 
これまでに100ヶ国以上は巡っただろうと話す森川。「先シーズンが終わったときはモロッコのマラケシュ、その前はアイスランドに。今は船が浮かんで見えると有名なイタリアのランペトゥーザ島とか。ジャンフランコ・ロージ監督の「海は燃えている」というドキュメンタリー映画もあるんですけど、命をかけ地中海を渡るアフリカや中東からの移民・難民は、この場所が玄関になっているようで。非日常なカルチャーが入り混じっていてるのを見て、いまとても興味があります」。特にこの前訪れたマラケシュでの経験は、ブランドのクリエイションに少しだが影響を与えたのだそう。「次のシーズン(20年春夏)にインスピレーションを与えられた部分があるんです。マラケシュの広場にいた伝統衣装を着た水売りのニュアンス。彼らの帽子だとか、服装を一部のプロダクトにミックスさせています」。では、旅の魅力とは何か。「ときには身の危険を感じることもあるんですが、そんな経験、日本にいたらそうそうないじゃないですか。いわゆる本能的な危険察知能力というか、そういう感覚を常に置いておくことが大事だと思うんです。それは、何か新しいものを見つける感覚にも近しい部分があると思うので。それに、行けば絶対に面白いですからね。死ぬまでに、あと幾つ新しい景色見られるか。仕事にしても、旅先の光景にしてもそう」。新しいことをすると、人はクリエイティブになる。そこに連れていく品々が、そんな風に変えてくれるのだ。

Belongings

BAND T-Shirts
好きなバンドは旅先にも持って行く
 
「寝る時に着て、そのまま出かけたりしちゃいますね」という寝具も兼ねたT シャツ群。左からアンダーカバー×ラフシモンズの2019SS コレクション、アフターパーティのインビテーションTシャツ。ジョイ・ディヴィジョンのバンドT シャツ、シガレッツ・アフター・セックスのバンドT シャツ。

EYEWEAR

自身のスタイルに欠かせないアイウエア
 
どんなときも旅行の際は「サングラスはとりあえず5、6個持って行きますね」という、森川のスタイルに欠かせないアイテム。クリスチャンダダ からリリースされたものから、アンダーカバー、モスコットやオリバーピープルズのものなど、ブランドはお気に入りのものをラインナップ。

FRAGRANCE, HAIR WAX, LATEX

日用品は旅先でも気取らない
 
身だしなみを整えるために欠かせない化粧品類。愛用しているのは左から、ザ・プロダクトのヘアワックス、バイレードのフレグランス、オルタナの乳液。どれも国内で購入可能なアイテムばかり。こういったセレクトからも気取らない森川の旅へのアティテュードを感じることができる。

PROJECTOR, CAMERA, SPEAKER

旅を豊かにしてくれるガジェット
 
「友人に薦められて購入したWifi に繋げるアンカーのコンパクトプロジェクター(ネビュラ)、どんな壁にも投影できるので買ってよかったと思っています。コンタックスのT3 は常日頃持ち歩く撮影用のもの。JBL のブルートゥーススピーカーは音楽鑑賞用に」という旅で役立つ3つのガジェット達。

TRUNK

シンプルで手頃なクラシックトランク
 
「小旅行用で使用しているのは、このグローブトロッターのトラベルケースです。大きいのも1つ持っています。あとはカバンとセットで2つ持ち歩くスタイルです」。使い込んだレザーの質感から、これまでに森川があらゆる国を旅行してきた軌跡を感じさせる。2、3日の旅行には最適なサイズ感。

SWIM WEAR & ALOHA SHIRTS

ビーチに行く際にも長く愛せるものを
 
今回のアイテム群は「暑いところへの旅行」用。ちょっと泳ぎたくなったときのためのアイテムもパッキング。アロハシャツは2019春夏コレクションで発表したクリスチャンダダと荒木経惟さんのコラボ作。ポロラルフローレンの水着、サンダルは森川が長く愛用しているビズビムのアイテム。

PAJAMAS

長年付き合う安眠の相棒
 
リラックスして寝れるように長く愛用しているセットアップのパジャマも欠かせない。ブランドはブルックスブラザーズ。着慣れている寝具でこそ安眠できるというもの。旅先で自分をゼロ状態にしたい、という森川にとって、しっかりと自分を解放するために欠かせない重要なアイテムの1つ。

 
 
 

森川マサノリ
1984年生まれ。デザイナーとして2010年にクリスチャンダダをスタートさせる。
2015年にパリデビュー。現在もパリコレに参加している。

 
 
 

Photo Yuto Kudo Text Ryo Tajima

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