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JOHN LOBB 人生という旅を共にする靴

JOHN LOBB 人生という旅を共にする靴


 
 

人生の一部に成り得ることこそが、
プロダクトとしての美しさ

 

ブランドのルーツを掘り下げながら、現代の社会におけるブランドの使命や役割に関しても、明確なビジョンを持つ彼女は常に進化を目指す。
「新しい靴を作るときは、クオリティに関する部分にいつも立ち返ります。これはラグジュアリーという意味ではないですよ。アーティズムをどのように扱うかのクオリティ。我々を取り巻く環境に対する配慮のクオリティ。それは自然の環境だけではなく、住む環境、働く環境、誰かと過ごす時間のクオリティです。もちろん、プロダクトのクオリティは、最も美しい素材をベストなプロセスの下で扱うというジョンロブのクラフツマンシップで確かなものとなっています。そのプロセスでは、半永久的にプロダクトが生き続けるために時間をかけて作業を行います。そのプロセスはジョンロブが長年の歴史でもっとも誇れるところであり決してなくなることはないでしょう。だからこそ絶えずリソール(ソールを張り替える)できるのです。
 
修理することは絶対的な行為なのです。ジョンロブは値段が高いと言われることもあります。ジョンロブを買う値段で10足の靴を買うこともできますが、その靴たちは消費され捨てられてしまいます。でも我々のカスタマーにはそのようなメンタリティーでは決してありません。彼らはクライアントや購入者などではなく、オーナーなのです。ジョンロブを購入する時は数分で済んでしまいます。でもこれはプロセスの中で全く重要な部分ではありません。本当に重要なのは購入後です。プロダクトを所有した瞬間、プロダクトに気を配る瞬間なのです。靴を履き、一日を過ごし、その日の終わりに靴を脱ぐ瞬間にこそ美しい儀式のようなものが行われるのです。ブラッシングをするでしょうし、少し暗めなトーンのクリームを付けるかもしれません。ティップにワックスだってかけるでしょう。そうやって日々の旅が靴に刻まれていくのです。長い間続いているプロダクトのクオリティがあるからこそ、身体の一部となるのです。
 
私は今履いているブーツを4年間愛用しています。このブーツのおかげで、2000mの山の頂上へ辿り着くことだってできたし、香港やコーンウォールを何度も訪れることもできました。靴が靴であることを超越した象徴となっています。このような道筋を辿って人生の一部に成り得ることこそが、プロダクトとしての美しさではないでしょうか。クオリティの伴わないプロダクトでは起こり得ないのです。我々にとって喜びは購入することではなく、所有することにあるのです。購入の後にこそ美しい関係が築かれるのです。手に取り、身に付け、クリームを塗り、ワックスで磨き上げ、使い込むのです。その後に店へ再度持っていくことで、コンディションを調整してもらうことができます。どのジョンロブのシューズも、1回目のコンディショニングは無料で受けることができます。コンディショニングの1回目は、クリーニングとポリッシングです。それを経て地元の店との関係性が築かれ始めるのです。とても愛情に満ちたものを感じます。リソールの時は、地元の店ではなくノーサンプトンの工場に靴を戻します。靴を分解し、オリジナルのラストに基いて、アッパーを取り、リソールやリヒール、リストレッチを施します。それこそがケアでありクオリティなのです」。

 

歴史へのリスペクト、クオリティへの飽くなき追求。それと同時に彼女は新しいチャレンジも忘れない。クレイプソールのシューズなど彼女が生み出した新しい提案はジョンロブに新たな空気を吹き込んでいる。
「カスタマーとプロダクト間のライフに興味があるんです。私の役割はクリエイティブディレクターやデザイナーではないと思っています。サービス産業に従事していると思っています。ジョンロブをデザインしているときのマインドはカスタマーが生活の中で何を必要としているかを考えることです。彼らが必要に感じるモノを、彼らが必要だと気付く前に提示するのです。例えば、軽量性や快適さを考えるときにアーカイブを開き、オリジナルのスポーツシューズを調べてみたりします。そうやって、どうすればさらに快適さや機能性を追い求められるかを探求するのです。誰もが忘れがちですが、機能性はとても重要なポイントですよね。たいていのデザイナーは美しいモノだけをつくろうとします。ですが、結局は機能的でなければならないのです。さもなければただのファインアートです。
 
機能をしっかりと考えたプロダクトを作ることに私は誇りを持っています。ライトラバーソールは機能面を考えたときに重要になります。ライトラバーソールでフレキシブルなクラシックシューズを私は作ることができます。次の問題は、どうすればさらに機能的なラバーソールを生み出せるかです。もちろん軽量化されたモノをです。最軽量のラバーソールを作ることはできますが、ヘビーなアッパーとはうまく組み合わされないのです。
 
そこで、第一号試作としては炭酸ガスを含ませました。チャンキーですが非常に軽量化しました。その後またアーカイブを見直し、もちろんクレイプはスニーカー用のオリジナルラバーソールですが、クレイプに目を付けました。そんなクレイプをさらに発展させるために3年の月日を要しました。全く機能の異なる工場を用意しなければならなかったからです。そこで、クレイプを加工できるようにするためにアーティズムを再度訓練させました。とりわけスライスするときには、周囲にあるものを吸収してしまうことが難点であります。埃や汚れを吸収してしまうのです。だから、クレイプを汚染しない仕組みの新たな工場を建設しなければならなかったのです。適切に行うためではありますが、ここにかなりの時間を取られました。2年前に炭酸化したラバーソールを試作してはいましたが、テストに合格するには至らなかったのです。いくつものステップがあるテストが我が社にあるのですが、それをクリアすることができなかった。我々のクオリティ基準を満たすためにテクノロジーを進化させなければなりませんでした。
 
そしてついには合格点を満たしたエアレイテッドラバーソールを生み出せたのです。様々なアイデアは常に浮かんでいますが、それが永続的な効果をもつことを裏付ける技術的な証拠が必要です。私が考えるアイデアはどれも2~3年後のためではありません。50年後のことを見通したアイデアなのです。大量の廃棄を伴うこの産業において通常考えられるデザインよりもはるかに長期的な計画を持っています。これこそ現代に求められている考えだと私は信じています。ですが、これらのアイデアは必ずカスタマーに寄り添った内容でなければなりません。ラバーソールは靴を美しくするだけでなく強靭にさえしてくれますし、クレイプは春の季節に合うようなナチュラルな風合いがいいのです」。

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