Loading...

Interview with Walter Chiapponi
About New TOD’S

Interview with Walter Chiapponi
About New TOD’S

ヴァルター・キアッポーニが目指す
感情的なものづくり

イタリアらしい上品さとクラシカルなデザイン、高品質なものづくりで長年、世界中のレザーグッズ愛好家たちを魅了し続けるブランドがトッズだ。伝統を守り、革新を起こし続けてきたこのブランドが、また新たな動きを見せている。2020年秋冬コレクションから新たにディレクターとして就任したWalter Chiapponi(ヴァルター・キアッポーニ)。彼のデビュー作となった2020-21秋冬コレクションは、まさにトッズらしいエレガンスを大切にしながらも、現代的なデザインを積極的に取り入れ、新たなトッズの始まりを十分に感じさせてくれるものだった。
 
その後発表された、2021年プレスプリングコレクション、メインコレクションともにその勢いは増し、コロナ禍でフィジカルなショーができない中、デジタルでも演出の効いた発表をするなどクリエイティブの独自性がとてもユニークだ。
 
 

 
そんな注目度の高いディレクター、ヴァルター・キアッポーニが目指すトッズとは? また、彼が服作りで大切にすることを訊いた。

 

―まず、トッズに携わる前の経歴を教えてください。

 
私は幼い頃から芸術が大好きでした。芸術全般に対する愛が私の進むべき道を示してくれたのです。その中でも造形芸術や具体芸術を好み、ミラノのヨーロッパ デザイン学院に入学をしました。もし、今ファッションの道へ歩んでいなかったら彫刻家になっていたことでしょう。トッズに入社する前は、イタリアの重要なファッションブランドで働いていました。トッズが私に声をかけてくれた時は、とても嬉しいサプライズでした。
 
 

―ヴァルター・キアッポーニさんが、ファッションにおいて最も大切にしていることはなんですか?

 
私にとって一番大切なのは、何事でも背中を押してくれる「感情」です。ファッションはアイディアだけではなく、感情でできていると思います。トッズのアイテムを身に付けた時に、私が作った時の感情を感じられるはずです。
 
 

―トッズは、これまでの長い歴史の中でイタリアらしいクラシックさ、ラグジュアリーさのあるデザインに加え、クオリティの高いプロダクト作りを大切にしてきたと思います。ヴァルター・キアッポーニさんはどのようにトッズを表現していきたいと考えていますか?

 
感情的な要素を加えていきたいと思っています。ワードローブとのラブストーリーというアイディアや1つ1つのアイテムに対する色褪せないパーソナルな愛情を追加していきたいと思っています。
 
 

―ファーストコレクションとなった2020-21年秋冬コレクションでは、ウィメンズ、メンズともにクラシカルでニュートラルな印象を受けました。トッズを象徴するレザーアイテムも、エッジーなデザインに昇華されていました。ファーストコレクションでは、どのようなテーマやメッセージを持ってコレクションを作っていきましたか?

 
2020-21年秋冬コレクションの中心にあるのは、「センスの良さ」という考え方です。それはルールや制限としてではなく、生き方として取り入れました。イタリアの気品とエレガンスを引き立て、クラシックを愛する女性のために、リスペクトとわずかな大胆さを加えて現代的なひねりを加えたいと思いました。
メンズコレクションでは、自由奔放な姿勢と、純粋なイタリアの装いの文化を表現しました。どちらのコレクションもモダンさとイタリアの品質への愛を共有しています。

 
 

―2021年春夏コレクションは、旅に行きたくなるようなバカンス感が特徴でした。リラックスしたシルエットや生地、ワクワクするような発色のアイテム、フィールドジャケットなど……。このコレクションについてもどのように作っていったかお話を聞かせてください。

 
歌が音符で構成されているように、楽器の音が折り重なるように、このコレクションはシンプルなピースを非常に洗練されたカジュアルな方法で、“ノンシャラン(=無頓着)”な個性を持てるユニークなものを作りました。これが2021年春夏ウィメンズコレクションの風変わりでありながらも自然に出てきたアイディアです。メンズコレクションでもノンシャランな思考はありますが、今回はフォーマルをインフォーマルに捉えようとしました。その考えの裏には、日々のライフワークを分け隔てなくすべて溶け合わせて「濃密に生きたい」という気持ちも詰まっているんです。ウィメンズやメンズともに、“ゴンミーニ”や“ボートシューズ”など、ブランドを代表するプロダクトは引き続き登場していますが、常に新しいコンセプトを織り混ぜて展開しています。
 
 

―2021年春夏のメインコレクションもインスタレーションの表現がとてもユニークでした。撮影場所としてミラノの由緒ある邸宅、Villa Necchi Campiglio(ヴィラ・ネッキ・カンピリオ)を選んだ理由や、このインスタレーションのアイディアについてもお話を聞かせてくれませんか?

 
私がヴィラ・ネッキ・カンピリオを撮影場所として選んだのは、クラシックでありながらモダンな姿勢を表現するのに最適だからです。これはまさに私が表現したかった、様々なスタイルを取り入れた意外性のあるコレクションです。これらのアイディアからの自然な流れとしてThe Songというコレクションムービーが生まれたと考えています。
 
 

―そのようにノンシャランな旅をキーワードにしたコレクションですが、現在は新型コロナウイルスの影響で、海外旅行など行きづらい状況です。そんな中でも旅のコレクションをどういう風に楽しんでもらいたい、という気持ちはありますか?

 
私にとっても旅行はクリエイティビティを養うために必要不可欠な仕事の一部なので、正直、今の状況はとても大変です。しかしこのコレクションは、バーチャルに旅をしたり、新しい場所を夢見たりする機会になれると思います。このコレクションには希望があると感じています。このコレクションが前へ進むこと、夢を見ること、何かを発見するためのインプットになるはずです。もしかしたら、より良い時期が来るまで待つことを学ぶ間の心の糧になるかもしれません。
 
 

―毎シーズン、コレクションテーマはどのように考えていますか?

 
通常、テーマは選んでいません。テーマは多くの試行錯誤の結果であり、自分の頭の中に浮かんだものやずっと前に出会ったものを混ぜ合わせたものです。テーマとはプロセスの結果だからです。

 
 

―クラフツマンシップは、ブランドの中でも最も大切なキーワードだと思います。特にトッズ らしいクラフツマンシップが表現されているアイテムは、2021年春夏コレクションの中でいうと何かありますか?

 
新しく提案した“ゴンミーニ”はすべてクラフツマンシップを表現しています。2021年春夏コレクションでは、女性用のサンダルバージョンと男性用のフリンジバージョンを作っています。毎回ゴンミーニの形は変われど、クラフツマンシップはどのコレクションにおいても常に「トレデュニオン (二つを繋ぐもの)」です。
 
 

―ヴァルター・キアッポーニさんの日々のライフスタイルについても聞きたいです。日々、欠かさず行っていることや趣味はなんでしょうか?

 
私は、ごく普通の1日を過ごしています。朝はとても早く起き、2匹の犬と公園で散歩をすることが好きで、そのあとにスタジオへ行きます。とても早い時間にスタジオに着き、アシスタントと一緒に仕事を始めます。彼らが整えてきたものを待つのではなく、彼らと一緒にすべての仕事のプロセスに参加することが好きなんです。夕方には家に帰って、犬と遊び、夕食を食べて1日を終えます。
 
 

―ファッションを作ることにおいて、ヴァルター・キアッポーニさんのインスピレーションになっていることは何ですか?

 
私は何事にもインスピレーションを受けています。好奇心は尽きませんし、毎日新しいことを発見したり、深く掘り下げたりするのがとても好きなんです。例えば、映画を観ることは欠かせません。月に15-20本の映画を観ることが多いのですが、私は記録を残す為に、観たすべての映画の詳細を調べ、アーカイブとして整理することをしています。そして、写真や芸術に関する本もたくさん読みますね。ヴィンテージショップやファンシーなブティックで、何かインスピレーションを受けられるようリサーチをすることも好きです。
 
 

―現在のファッションシーンをどう捉えていて、どういう理想を持っていますか?

 
現在のファッションシーンは、インスピレーションやアイディアがブランドの間で共通している部分があっても多様化していると思います。デザイナーの目と心だけがコレクションのエッセンスを与えていると思います。スタイリングで言えば、スポーツウエアがトレンドですが、正直なところ私はあまり馴染めません。私は、その時限りのモノよりも永遠に身につけられるモノを作ることを目標にしています。
 
 

―今後考えている新たな取り組みや、日本のファッションシーンに伝えたいことなどがあれば教えて欲しいです。

 
日本は私の大好きな国の1つです。なぜなら、日本には大いなる心と素晴らしいアイディア、そして良く知られるように何事にも取り組む一貫性があると強く信じているからです。だから日本の皆さんのために何か特別なものが作れないかと精力的に取り組んでいます。今、日本だけに特別なホリー バッグを制作しているんです。
 
 

―年末年始はどう過ごしますか? また来年へ向けての計画はありますか?

 
残念ながらコロナウイルスの影響で家族に会いに行くことができないから、年末年始は家で愛犬と過ごす予定です。来年はきっと喜びと驚きに満ちた1年になると確信しています! 来年の具体的な計画はありません。自分の目標はありますが、計画は立てていません。今年は何も計画できないことを実感しましたが、自分の目標に拘って前に進んでいきたいと思っています。
 
 
 

Interview&Text Takayasu Yamada Translation Mikuto Murayama

 

This article is included in

Silver N°10 Winter 2020-2021

Buy on Amazon

Related article