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Interview with VERDY about What is STREET? Longing and Challenge

Interview with VERDY about What is STREET? Longing and Challenge

VERDY VK DESIGN WORKS所属の大阪出身のグラフィックアーティスト。国内外の友人が遊びに来た時にハングアウトする基地だと語る渋谷区某所のアトリエで撮影。
成功するチャンスが
誰にでもある
ストリートカルチャーの魅力
改めて気づいたストリートの真価

「Wasted Youth」と「Girls Don’t Cry」を旗印に今や縦横無尽に活躍するグラフィックアーティストのヴェルディ。毎回、何千人規模に及ぶ長蛇の列を作るポップアップや、2019年に原宿一帯で行われたフェス型イベントのVERDY HARAJUKU DAY。さらには、10代の頃から憧れを抱くNIGO®氏(HUMAN MADE)や高橋盾氏(UNDERCOVER)、Nike SBをはじめとするナショナル・カンパニーとのジョイントワークなどなど、世間をアッと驚かせる話題で国境を超えワールドワイドに活躍中。
とにかく、ここ数年のストリートシーンは彼の話題で持ちきりだ。そんな、今最も勢いのあるキーマンにとってのThis is STREET。それは、“誰にでもチャンスのある開かれた職業”だと話す。「国内外様々な人と出会って思うことは、見た目も人種も学歴も、そして育った家庭環境も関係がないのがストリート。みんながフラットでフェア。全て関係なく、仲良くもなれるし、成功するチャンスが誰にでもある。そういった職業って他にはあまり無い気がします」。
 
そのコメントを裏付けるためにも、まずは、これまでのキャリアをざっと振り返ってみたい。原点は最も感受性の強い高校生にまで遡る。メイン写真でヴェルディが映る後ろのステッカーの貼り方を見てもらえれば想像に難くないが、90年代に爆発的なブームとなった裏原宿カルチャーに多大なる影響を受け、パンクやハードコアにも傾倒し、自身もバンド活動にのめり込む中で、自分たちや仲間の出演するフライヤー制作を手掛けたことが現在のルーツ。グラフィックアーティストとして生きていくことを決意し、活動し始めたのはこの頃から。とはいえ、当時はそれだけでは食べていくことが難しく、「雑誌で見る裏原の人たちのようになりたい!」、「もっと本格的に活動するには東京に!」といった思いから20代の頃(2013年)に上京。しかし然、人生そんなに上手く行くはずもなく、鳴かず飛ばずの時期が長く続いた。

Minor ThreatやBad Brains、Circle Jerksに影響を受け、パンクやハードコアバンドのフライヤーデザインからキャリアをスタートさせたヴェルディ。こちらは、その初期衝動にもなったBlack Flagのフライヤー。アートワークを担当したのはヴェルディ本人も崇拝するレイモンド・ペティボン。

 
そんなある日、現在のストリートドリームを掴む序章のような出来事が起こる。「今の自分のきっかけを作ってくれたのは、ヒカルさん(BOUNTY HUNTER)。僕が勝手にBOUNTY HUNTERをモチーフにした作品を作って、あるイベントに行って、ヒカルさんに見せたんです。それを気に入ってくれて、コラボアイテムとして商品化にまでなって」。なんとも無謀というか大胆すぎる行動だが、こういった積極的な姿勢こそ、ヴェルディの醍醐味のひとつ。
さらに彼はこう続ける。「多くの人に僕の存在を知ってもらえたのはこの頃だし、自分の中でも確実に何か変わった瞬間でした。とにかく、10代の頃から憧れていた“ストリート”だと思う人に認められた気がして嬉しかった」。
ちなみに近年、ヴェルディの存在を知った人にとっては、どうしても“ポップで可愛いアートワークの人”といったイメージが先行しがちだと思うが、実は緻密で繊細なタッチの作品も数多く残している。そしてその作風にこそ、パンクやハードコアといった音楽に影響を受けたことが色濃く投影されているのだ。写真で紹介するBOUNTY HUNTERを モチーフにした作品はまさにその象徴的な1点。
 
少し話が脱線したが、彼の口から今回のテーマでもあるフレーズが飛び出たところで、ヴェルディにとってのストリートを尋ねてみると。「パンクもスケートも好きだし、裏原宿も好き。そういったものが好きで、それらカルチャーを感じる身だしなみをすることがストリートだって思ってました。でも最近は、それだけじゃなく、“現象”もストリートなんじゃないかなって。上手く表現できないけど、例えば、ライブやパーティ、ポップアップにいくと、同じ価値観の人が沢山いて、そこにいる誰かと面白いことにチャレンジすること」。つまり、価値観を共有しあえる人物と巡り合い、その時の突発的なエネルギーから、個性の違うお互いの要素が上手く混じり合って最良のものが生まれる。それが素晴らしいものであればあるほど、そこから新しいスタイルが生まれる。きっとそういった現象もストリートなのだと。
 
さらに、こういった面白い視点でもストリート感について語る。「自分がかっこいいなって思う人と話していて『最近、このアーティストにハマってるんだよね。知ってる?』って言われたとして。それを自分が知らなかったらすごく気になるし、すぐメモってそのアーティストについてとことん調べる。こういった独特の感覚って、いつの時代も変わることのないストリートならではのものなんじゃないですかね」。
 
 

2本柱から読み解く物作りにおける姿勢

話を少し戻すと、前述の運命的な出会いの後から、彼の人生は一気に加速する。その背景には、インスタグラムを使ったブランディングとプロモーションがあるという。「僕はインスタグラムを割と早い段階から使っていたんです。そのおかげで、国内外の様々な人と繋がることができました。例えば、LAのアンワー・キャロッツ(Carrots By Anwar Carrotsデザイナー)やNYのセレクトショップ、The Good Companyのメンバーだとか」。どれも今となっては世界のストリートシーンを牽引する新たなキーパーソンだが、当時はまだ高感度なヘッズの間にしか浸透しておらず、一般的にはそれほど知られていなかった。しかし、一種のシンパシーのようなものがあったのか、それぞれが惹かれ合い、DMでコミュニケーションをとり、交友関係を深めたのだ。そして、それぞれがアメリカや日本でポップアップなどを展開する際に駆けつけたり、インスタで拡散協力をするなどして連携した。こういった活動によって、彼のアカウント数は一気に膨れ上がっていった。
 
「だから数年前までは、家でSNSに釘付けになることで世界の最先端の情報をいち早くキャッチできるし、誰とでも接点を持つことも出来ると思ってました。もちろん、今もそう思ってはいるんですけど、最近は、外に出て色々な人にあって会話をすることの方が、いい情報&体験をいち早くゲットできるとも考えています。これはさっきの“現象”の話にも通じることですね」。とにかく今は、“デジタルとフィジカルの丁度いいバランスを行き来する感覚”が重要なんだと教えてくれる。
 
そして、彼がもう一つ意識することが、フラットな関係性で仕事をすることの大切さ。この考えに至るまでには、Wasted
Youthと Girls Don’t Cryをスタートさせるきっかけにもなる重要な出来事があった。「一時期、自分のルーツでもあるバンドのデザインの仕事を断っていた時があるんです」。その決意の裏には、こんな思いがあったようだ。「当時は自分が無名だから、“こう言ったことをやりたい”って提案をしても、全くデザインが通らなくて。バンドがプロなのは分かるし、お仕事としてもらっていることも十分に理解している。ただ、僕だってプロだと思ってる。なのに全く意図してないものが“自分の作品”として世に出ることが凄く嫌で……。ただ、それは誰が悪いってことではなくて、僕に相手を説得させるだけの実力や価値がないだけだってことも理解していて。それなら、自分を育てていこうって。だから自分主導のプロジェクトを始めたんです」。笑顔とピースサインが印象的なヴェルディだが、こういった一本筋の通った男らしさも意外と知られていない彼ならではの魅力なのだ。

本文にも登場した、BOUNTY HUNTERのアートワーク。ここから現在の扉が開いた原点とも言える作品だ。

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Girls Don’t Cry ヴェルディ自身の妻に“いつも笑顔でいて欲しい”と想い、捧げるプロダクトをコンセプトとする企画(2017年にスタート)。グラフィックアーティストとしてのオリジナリティについて深く考えた時、自分自身の持ち味は、“独特の画力”でなければ“タッチ”でもない、“自分が本当に思うことを分かりやすい表現で素直に落とし込むことだ”といった気づきから生まれたプロジェクト。
 
Wasted Youth “無駄に過ごした青春”といったコンセプトを掲げ、ヴェルディが10代の頃から影響を受ける、音楽やスケートボードなどのストリートカルチャーを彼のフィルターを通してアイテムに投影するプロジェクト(2017年に始動)。同じ価値観を共有するブランドや人物とのコラボレートでも注目を集めている。写真はWasted Youth誕生の初期頃に手がけたブランドの象徴的なアートワーク。

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