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Interview with Tetsu Nishiyama about What is STREET?
Respect for the Culture

Interview with Tetsu Nishiyama about What is STREET?
Respect for the Culture

スラッシャーが教えてくれた
モノを深読みする視点

また、雑誌文化も大きな影響を与えていると西山は話す。「当時の雑誌“Fine”は、クラブスナップとかサーフファッション、渋カジの特集が載っているかと思えば、完ちゃん(高木完氏)のヒップホップを紹介する記事があったり、また違うページに行くとシンちゃんのスケートボードレッスンが載っていたりと、色々なジャンルの情報が一冊の誌面の中で混ざっていました。その混沌とした情報の中で、興味を持って1つのカルチャーを突き詰める人もいれば、雑多に自分の好きなものを摘んでいく人もいる。ある意味ボーダーレスだったのかもしれません」。出版不況と言われる現在でも書店に行けば数多くの雑誌がある日本。雑誌文化が日本人のカルチャーに対する造詣を深めたといっても過言ではない。西山もスケートボードカルチャーに傾倒していた中学生の頃、“スラッシャーマガジン”を食い入るように読んでいたという。「当時は、渋谷の東急ハンズ近くにタワーレコードがあって。今はサイゼリアがある場所かな。そこはCDとレコードと洋雑誌が売っていて、そこで初めてスラッシャーを買った覚えがあります。当時は1冊500円くらいなんですが、中学生の頃の500円は高価だから友達みんなでお金を出し合い買っていました。そうなると、みんな自分が欲しいページを切り抜いて持って行くので、当時のスラッシャーは本としての形で手元に残っていないんですよね(笑)。でもみんな部屋に貼ったりスクラップブックに入れたりして保存していたから、僕もギリギリ切り取ったページを今でも持っていたりするんです」。SNSはもちろん、インターネットも普及していない当時、雑誌の持つ情報の新鮮さ、影響力は今では計り知れない。スラッシャーの誌面に掲載される1枚の写真から沢山の情報を読み取っていたようだ。「1枚の写真から、周りに映っている人までもじっくり見て、どういう格好をしているのか、デッキは何を乗っているのか、とみんな考察して想像を膨らませていたと思います。そうやって注意深く情報を分析して、考えることはスラッシャーや雑誌だけでなく、映画の見方にも現れていました。映画はその国の文化を知るのに凄く役立つマテリアルだと思います。アメリカに行ったことがなくても、映画を通してアメリカのことを知る。食文化や着ているもの、会話に出る話題、デートの時に何をするかとか、そういった生活を知る縮図のようなものが映画だと思う。様々な文化のヒントやディレクターが伝えたい隠されたメッセージを読み解く面白さなど、いろんな視点で観ることができるのが映画の醍醐味だと思います」。映画に関していえば、常々西山が面白いと思うカルチャーの1つのようだ。ネットフリックスに代表されるサブスクリプション型の動画配信サービスが普及した今、誰もが気軽に映画を観られるようになった。文化的な映画や人種、性別を意識した現代らしい作品などが多く、それらを誰しもがすぐに観られる環境にあること。昔は金曜ロードショーをみんなが観て翌日のみんなの話題が同じなのに対し、様々な選択肢があることに新たな可能性を感じるという。「最近だと韓国映画である『パラサイト半地下の家族』がアカデミー賞を取ったり、欧米諸国が外国語の映画を評価する時代になりました。その影響には、やはり動画配信サービスにより、手軽な視聴が可能になって、様々な人種や文化への距離感が縮まったことが起因していると思います。人種や性別、環境をテーマにした作品が多いのもそういうことで、映画は常に時代を反映しています。だから、昔も今も映画を観て分析することが面白いんです」。

西山も影響を受け、スケートボードカルチャーを牽引し続けた雑誌 “スラッシャーマガジン”。写真の1冊は、昨年3月に死去した同誌の伝説的編集長、ジェイク・フェルプスの追悼号。

 
 

誰もやらないから自分がやる
DIYの精神を教わった

そのように、西山が物事を多角的に捉えられるのは、スケートボードカルチャーの影響が強い。西山が書いた自伝“MY LIFE IS THIS LIFE”でも、スケートボードによって普通の人では気付かない、当たり前にある風景の中にスポットを見つける力が身につき、物事を多角的に捉えることができるようになったと書いている。「スケートボードから学んだもう1つの大きなことは、DIYですね。さっきも話したことですが、誰かがやってくれるのを待つのではなく、自分たちで始める。仕事も表現も自分たちで作る。そのDIYの精神がカルチャーの基礎だと思います。やっぱりそれがストリートカルチャーから教わった一番大事なことだと思います」。
 
DIY的な感覚といえば、インタビューを行なった西山のスタジオも、彼を表す数多くのものが所狭しと並び、什器からインテリアまでこだわりを持ちワークスペースを作り上げてきたのがわかる。そして、スクラップブックも彼のライフワークの1つだ。前述した若い頃のスラッシャーの誌面から、ステューシーの広告、外国のお菓子の包み紙など、これまで西山の琴線に触れたマテリアルが綺麗にファイリングされ、スタジオに揃う。これらは、仕事に関係するかどうかを考えて集めているものではないようだ。「自分の中のいわゆる記録なんです。どこかで貰ったレシートとか、外国のバーのコースターとかも入っているので、これらが何かに繋がるというよりは、記録として残している感じですね」。そのスクラップブックを拝見すると、80年代以降の雑誌やそのほかの印刷物が仕分けされており、ページをめくるたび、「これは若い頃のマッド・ヘンズリー。この記事はシンちゃんが書いたスケートの連載。ここに写っているのはゴンズ」。と解説をしてくれた。その一連のコミュニケーションに西山のカルチャーへの愛を感じ、それらをアウトプットしたクリエイションが、長年ストリートの人々に支持をされ続ける理由だとを改めて感じた。

 
 
 

Photo Tomoaki Shimoyama Interview & Text Takayasu Yamada

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