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Interview with Takayuki Ishizaki
about Reminders of Time 時間を超えて大切にしたいモノたち

Interview with Takayuki Ishizaki
about Reminders of Time 時間を超えて大切にしたいモノたち

 

テクノロジーが進み、便利な世の中になった今。機能的なモノやお洒落なモノは手軽に買うことができるようになった。そこで改めてもう1度、モノの価値について考えてみたい。誰しもが長年大切にしているモノを持っているのではないだろうか。きっとそれは、購入した時の思い出があったり、長年思い焦がれたストーリーだったり、時間を超えて使い続け自分の一部になっているモノ。また、ヴィンテージのようにそのモノ自体が時代を超えてきたのであれば、経年変化やそのモノが持つ時代背景も我々を魅了するだろう。そう考えると、モノの価値には「時間」という存在が大きく関係していると言えるはずだ。PART1では、時間とモノに向き合う5人とモノの価値を考えた。

Sartoria Yamacci
Shirt
「このシャツは、全部フルハンドで畳むことができないんです。畳めないシャツって面白くないですか?人間の身体の丸みや構造に従って作っているので立体的なんですよ。フルハンドのテーラードジャケットと同じ原理です。あとはシャツ地じゃなくてスーツ地で作っている。クラシックの王道とも言える生地と作り方で、リゾートシャツを作りました。背筋の伸びるピシッとしたモノだけならありますけど、相反するコンセプトを同時に用意するのが好きです」。

 

時を超えるポテンシャル持った一級品たち
石崎 孝之

 

独自の審美眼が光る
プライベートセラー

青山に佇むマンションの1室でひっそり、プライベートセラーとして開くATELIER HISTORIC INSTRUMENTSというお店。ここは店主の石崎孝之の琴線に触れた選りすぐりのプロダクトを扱う独特なお店である。なにが独特なのかというと、まず他店では出会えないような商品のラインナップ。石崎が世界中を巡り、共感できるものづくりをしている職人とのコミュニケーションで生まれたプロダクトがこのお店で扱われている。この一般的なセレクトショップとは一線を画すスタンスを取っているために、お店に行っても商品が2、3点しか置いていないこともざらにあるという。「仕入れるものをあえて少なくしているわけではなくて、自分が本当に欲しいと思えるものがなかなか無いんです」。というように嘘のないラインナップには、コアなファンが多く、服好きが様々なものに袖を通し、着倒れした後にたどり着く場所といえる。

世界中の職人と密接にコミュニケーションを取り、時間をかけて作り上げた商品を販売するという在り方は、まさに今回のリスペクトタイムな石崎ならではのライフワークだ。彼は、お店の在り方についてこう話す。「テクノロジーがここまで進化したからこそ、アナログな部分、例えば人の温もりだとかがより一層特別な価値になってきた印象があります。インスタグラムみたいなSNS上で写真と文だけで表現されることがあまり好きではなくて。良いモノでも、見せ方によっては価値が落ちてしまうんじゃないかなと思うんです。どんな服でも、格好良い人が着てネットであげたらそれっぽく見えてしまう。それは面白いことだとは思うんですけど、僕は冷めてしまうので、極力お店のフィルターやインスタグラムは減らしています。自分がもしお店をしていなかったら、どこで洋服を買いたいのか?というところだけでやっています」。そう話すように、ATELIER HISTORIC INSTRUMENTSのウェブサイトを見ると、よくある商品の説明やスタッフのコーディネート提案といった内容ではなく、石崎自らの視点で語られる文や職人へのインタビューが掲載されていることが多い。スタッフを拡充することなく、すべて一人でやっているからこその商品にかける強い想いがそこには表れている。では、石崎はどういうモノに魅了されるのか。「テンションが上がるモノっていうのは前提ですが、自分が身に付けられるモノですね。あとは単体としてずっと見ていられるモノ。洋服を次から次へと取り入れて、トレンドが移り変われば、また新しいモノへと変わることに最近は抵抗があります。ファッションはそういうものなんでしょうが。このアイテムが、時を超えて長く愛着できるポテンシャルを持っているんじゃないかって初めに思えることが大事です。そういうモノを生み出せるのは、僕としてはデザイナーではなく職人さんなんですよね。地味なモノにはなってしまうんですけど、結局そっちの方が落ち着いていて良かったりするんです」。ストーリーファーストなものではなく、まずモノとしての魅力が大事だと石崎は話す。

石崎 孝之

ATELIER HISTORIC INSTRUMENTSのオーナー。プライベートセラーとして国内外のクオリティが高い服作りをおこなう職人と手を組み商品を展開。コアな服好きから多大な支持を集め続ける。atelierhistoricinstruments.com

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