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Interview with Nicholas Daley

ロンドンを拠点に活動するファッションデザイナー“Nicholas Daley(ニコラス・デイリー)”。
自身の名を冠したブランドは、ニコラスのバックグラウンドが現れた文化的な服作りが特徴で、日本でもコアな服好きから支持の多いブランドだ。先月来日していたニコラスにインタビューを決行。2018年秋冬シーズンの“RED CLAY”コレクションの話や、背景を大事にする服作りについて話を聞いた。

Interview with Nicholas Daley

ロンドンを拠点に活動するファッションデザイナー“Nicholas Daley(ニコラス・デイリー)”。
自身の名を冠したブランドは、ニコラスのバックグラウンドが現れた文化的な服作りが特徴で、日本でもコアな服好きから支持の多いブランドだ。先月来日していたニコラスにインタビューを決行。2018年秋冬シーズンの“RED CLAY”コレクションの話や、背景を大事にする服作りについて話を聞いた。

 

 

来日経験も多いニコラス。まず今回の来日に関して質問を投げた。

「日本は僕にとって特別な国なんだ。一番最初のコレクション(2015年春夏)を世界で初めて取り扱ってくれたのも原宿のインターナショナル ギャラリー ビームスだった。日本人は、感覚がとても早かったり、新しいものに対しての受け皿がある。当初から日本のセレクトショップやメディア、お客さんがポジティブに僕の服に反応をしてくれた。だから、立ち上がりの時期には、ニコラス・デイリーを応援してくれるショップを訪れて、スタッフやお客さんとのコミュニケーションを大切にしたいんだ」。

その言葉通り、来日中にニコラスのインスタグラムを見ると、日本各地のショップを訪れ、それぞれにメッセージを乗せた投稿が連日おこなわれていた。売り手にとっても、買い手にとっても、作り手の人となりがわかる服というのは良いものである。

 

そんな中、彼の服を置くようなセレクトショップはないであろう、国内有数のアートスポットである香川県・直島にも訪れていたようだ。

「日本には何度も来ているんだけど、まだ行ったことのないエリアだった広島や直島は、日本の文化をさらに知るうえでは重要なスポットだと気になっていて、ずっと行ってみたかったんだ。直島はロンドンでも有名で、東京からは遠いし、しっかりと予定を組まなければ行けない場所だから、友達たちから羨ましがるメッセージが届いていたよ。ブランドとして大切にしていることもそうだけど、自分自身、そうやって色々な所に行ったり、物事の背景を知ることを大切にしているんだ。昨日は高円寺に行ったんだけど、あそこはすごいね。サントラップやサファリといった古着屋をチェックしたり、ビー・インレコードというレコード屋はめちゃくちゃ良かった。簡単に自己破産できるくらい良いものが揃っていたよ」。

 

ニコラスがそうやって背景を大切にするのには、ジャマイカ系イギリス人のルーツを持つことも関わっているだろうが、拠点のロンドンという環境も大いにあるだろう。

「ロンドンには、色々な人種が混ざり合って出来ているカルチャーがあるんだ。自分のスタジオの周りにも黒人や中国人、トルコ人など色々な人種が混ざり合っているよ。そういう環境に身を置くことは、色々な文化と触れ合う良い機会になっている。様々なサブカルチャーが生まれた場所で、スキンズやモッズ、パンクだったり色々なスタイルを持った集団がロンドンにはいる。最近は、インターネットやSNSの普及で、そういったカルチャーが均一化されて、際立ったものが少なくなってきているのも事実なんだけどね。そんな中でも今、UKジャズシーンの盛り上がりが、じわじわと来ているんだ。ジャズは僕も昔から好きだったこともあって、今季の2018秋冬シーズンはジャズをテーマにしたんだ」。

 

コレクションテーマである“RED CLAY”は、名トランペッター“Freddie Hubbard(フレディ・ハバード)”の代表曲であり名盤だ。このアルバムがインスピレーションとなり、現代のジャズシーンの文脈に与えた影響は計り知れないだろう。ニコラスもこのアルバムからインスピレーションを受けたようだ。

「RED CLAYからは音楽自体もそうだし、アルバムのカバージャケットからも色々なインスピレーションを受けたよ。ジャズをテーマにした理由の1つに、ツイードの生地で何か作ろうと考えていた時、セロニアス・モンクがツイードのビッグショルダーのジャケットに身を包んで、ベイカーボーイハットをかぶった写真を見つけたんだ。そういう自然なジャズとの関連性が重なって、このシーズンはジャズをテーマにしようということになったんだ。ツイードのアイテムを今季多く作っているのには、そういうジャズとの繋がりを見出したから」。

 

通常のブランドは、洋服を着せたモデルのランウェイなどでコレクションを発表することが主流。しかし、2018秋冬シーズンでニコラス・デイリーが見せたショーは、ジャズのライブだった。

 

 

ニコラスの洋服を纏った、この日の為に集まったスペシャルジャズバンド。メンバーには、“Yussef Kamaal”のドラマー“Yussef Dayes”、新世代のジャズシーンを牽引するギタリスト“Mansur Brown”、“Tom Misch”のプロデュース/リミックスを手がけるプロデューサーとしても人気を博す“Alfa Mist”、“Sons of Kemet”を率いるサックス奏者“Shabakka Hutchings”、サウスロンドン出身のスポークンワードアーティスト“James Massiah”。加えてDJ/ホストとしてBBC Radio Oneでもホストを務める“Judah Afriyie”と“Ninja Tune”所属のアーティスト“Nabihah Iqbal”といった、普段は別々でUKジャズシーンをリードするアーティストたちが揃った。このライブによるショーの形式は、会場に居合わせたバイヤーやジャーナリストたちの度肝を抜いたことだろう。しかし、ニコラスの服作りにおいて、ショーでもそういった独自のスタイルを貫くことは必然的とも言える。

 

「リスクもあるんだけどね(笑)。同時期にコレクションを発表するほかのデザイナーたちは、40体というルックをキャットウォークで歩かせるんだけど、僕のショーだと出演者7人分の服だけしか見せれないからね。しかもギター持っていたり、ドラムだったりして半分しか見えないとか(笑)。でも、モデルでやるよりも繋がりのあるミュージシャンとやりたかったし、結果的に良いパフォーマンスになったと思っている。ショーのほかにも、この前、レッドクレイでプレイした4人でアビーロードスタジオに入ってセッションをしたんだ。その時の映像はYouTubeで公開されていているんだけど、みんな僕の服を着ているんだ。その時の写真もここで公開するよ」。

 

 

次の2019年春夏はテーマを“SLYGO”と名付け、レゲエがテーマ。ジャズからレゲエ、そうやってシーズン毎のテーマに関連性を持たせることも意識している。

「僕の両親が1978年から1981年くらいに、スコットランドのエジンバラでディスコクラブをやっていたんだ。まだレゲエが大衆化していないうえに、差別的なものもあった時代のエジンバラで初めてのカリブの人たちが集まれるディスコクラブをね。そこに敬意を表して、父のDJ名だった“SLYGO”をシーズンテーマに名付けたんだ。SLYGOを発表した時も、ランウェイではなくライブで表現した。ライブではドン・レッツやコスモ・パイクにも参加してもらったんだ」。

ライブのパフォーマンスを2シーズン続けたことや、ファンの多いドン・レッツやコスモ・パイクの協力もあって、ファッション関係者以外の音楽関係者だったり、若い人たちにも興味を持ってくれるきっかけになったようだ。

 

「日本に来るとより一層思うことなんだけど、色々なお店があったり、服やブランドもいっぱいあるなかで、自分の服が存在する意味を考えているんだ。そんな中で服を通じて何かメッセージを届けたり、自分の魂を込めることが大事だと思う。山本耀司さんを尊敬しているんだけど、彼の服にはいつもそれが感じられる。僕も今まで業界になかったものとか、今まで音楽業界では知られていてもファッションの世界では知られていなかった人だったりを巻き込んでいく中で、新しい流れやメッセージを発信していきたいと思っているよ」。

(以下、RED CLAYコレクションを着たアビーロードスタジオでのセッション)

 

www.nicholasdaley.net

 

 

Photo Tomoaki Shimoyama(Interview photo&Product photo)
Adama Jalloh(Abbey Road photo)
Interview&Text Takayasu Yamada

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