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Interview with
Nicholas Daley
about Fashion needs Music

Interview with
Nicholas Daley
about Fashion needs Music


 

仲間との“セッション”で作るコレクション。

 

彼の服作りと音楽の話は、彼がセントラル・セント・マーチンの時に遡る。「どんな形でという明確な答えはなかったけれど、セント・マーチンに入学する時から、ファッションというプラットフォームを使って、自分のルーツや感情、コミュニティーを伝えられるような服作りがしたいと思っていたんだ。セント・マーチンは、ファッションのコースだったけれど、作品を作るにあたって膨大な量のリサーチが求められるんだ。それで最初の頃に大きな影響を与えてくれたのが、黒人で初めて世界的に有名になった写真家デニス・モリスの作品だね。ドン・レッツと、セックス・ピストルズのジョン・ライドンがジャマイカを訪れた時の写真は印象的だった。彼らはサブカルチャーのアイコンでもあり、ロンドンでも前衛的な考え方を持った人達だ。様々な繋がりで、知り合いにドン・レッツを紹介してもらい、デニス・モリスにも会った。そんな出会いから、僕がふんわり想像していたブランドイメージが、どんどん明確なものになっていったんだ」。

 

ニコラスは今でもその当時に確立したアイデンティティを軸にしクリエーションを行なっていて、特定の時代や人物を徹底的にリサーチすることから服作りは始まる。「今年の1月に発表した2019AWコレクションは、ダブレゲエプロデューサーのリー・スクラッチ・ペリーのスタジオ名からとって、BLACKARKと名付けたんだ。BLACK ARKから生まれたダブミュージックは現代のエレクトロミュージックなど、いろんなジャンルの音楽に影響を与えたんだ。その音楽の制作工程はエンジニアリングの作業に近く、機械を改造し、既存のリズムを再考したものだったんだ。僕はこのアプローチをファッションに落とし込み、戦後から今に至るまで、ジャマイカのアイデンティティがどのようにイギリスのサブカルチャーに影響を与えたか研究したんだ。モヘア素材の大きなチェックのトップス達はキーアイテムで、リー・スクラッチ・ペリーの写真や、パブリック・イメージ・リミテッドの写真を見てインスパイアされたもの。デニム生地も、イギリスの12オンスのものを使ってインダストリアルでディープな印象にしたんだ」。さらにこう続けた。「キャスティングも会場選びにも理由があるんだ。何度も説明するようだけど、僕は自分のコミュニティをファッションを使って表現している。だからコスモ・パイクや、プーマ・ブルー、Obong Jayar(オボング・ジャイアー)、Mansur Brown(マンスール・ブラウン)とか僕の友人に協力してもらった。本当のモデルじゃなくて、個性のある人をモデルに使うことで僕の洋服はもっとクールで意味のあるものになる。そして、会場に選んだのは、イーストロンドンにある、ワーキング・メンズクラブ。100年以上の歴史があり、ブリティッシュミュージックを語る上で欠かせない、サブカルチャーの震源地とも言われている場所なんだ。ボブ・マーリーや、ジョイ・ディヴィジョンから、今注目の若手DUDSとか今までにたくさんのアーティストがそのベニューで演奏してきた。素材からキャスティング、会場に至るまで全てのピースが僕にとって重要なんだ。一つ一つの要素が全てレイヤーのように重なり合って僕のブランドになっているんだ」。彼が作る洋服には、ストーリーがある。そしてその深い考え方に共感した仲間がいる。彼のブランドはその仲間との“セッション”によって作られているのだ。

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