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Interview with
Nicholas Daley
about Fashion needs Music

Interview with
Nicholas Daley
about Fashion needs Music

ファッションと音楽はINTERCONNECTED
音楽とファッション。この2つの言葉を聞いたら英国ブランド、ニコラス・デイリーのことを思い浮かべる人も少なくないはず。世界的名門セントラル・セント・マーチンズの卒業コレクションでドン・レッツをモデルに起用し、最近のプレゼンテーションでもプーマ・ブルーやコスモ・パイクなど注目若手アーティスト達がライブパフォーマンスを行い話題になったニコラス・デイリー。

 

彼のブランドアイデンティティを語る上で欠かせないキーポイント“音楽”とは彼にとって、どの様な存在なのかをこう語る。「例えるならば、右手がファッションで左手が音楽。どちらも僕のクリエーションにおいて大切な要素でコミュニケーションツールでもある。日本語の喋れない僕が日本に行っても、リズムやフィーリングだけでコミュニケーションが取れて仲間になれる。僕のブランドは、自分のバックグラウンドや、ルーツ、イギリスの多民族文化とか、哲学的な要素がベースにある。音楽はカルチャーであり、民族を示すものでもあるから、僕のアイデンティティや感情を表現する時に音楽は欠かせないものなんだよ」。

 

彼のブランディングに音楽の要素が濃い理由の一つとして、育った環境の影響が大きいと言う。「僕にはジャマイカ人とスコットランド人の血が流れている。ジャマイカ人の父親は元DJで、家にはたくさんのレコードがあったよ。彼のお気に入りだったジェイコブ・ミラーと、サンタナのレコードは今、僕のレコードコレクションの1枚になっている。両親は70年代にスコットランドでReggae Klubというレゲエイベントをやっていて、2019SSコレクションはそんな両親にオマージュを捧げるコレクションにしたから、題名を父親のDJネーム“SLYGO”と名付けたんだ。彼らはとてもびっくりしていたけどね(笑)。その時代、マイノリティであった移民のための憩いの場所を作った両親の信念を尊敬しているし、そういう家庭で育ったから僕のブランドに音楽の要素が多いのは必然的なんだ」。

 

彼の育った国イギリスは多民族国家で、自分のルーツやバックグラウンド、人種や文化、階級社会におけるファッションの違いなどを勉強する科目“カルチュラルスタディーズ”という教科がアートスクールではマストである。少々私たち日本人には聞き慣れない内容ではあるが、ミックスカルチャーの国だからこその視点と切り口の科目だ。彼のブランドの根底にあるものは英国ならではの考え方“カルチュラルスタディーズ”が原点にあるのだと本人は言う。

 

余談だが、黒人女性で初めてVOGUE UKのカバーを撮影した若干27歳のNadine Ijewereというフォトグラファーがいる。キャリアをスタートした頃は、彼女も自分のルーツであるナイジェリアに行き作品を撮っていて、そのバックグラウンドのある写真が評価され今は一線で活躍するフォトグラファーになった。彼女は昔あるインタビューでこう語っている。「今の時代は、マルチカルチャーの時代。黒人女性ならではの見方で、ファッション雑誌が作ったステレオタイプな美しさではない、私にしかできない新しい美しさを表現できるような写真が撮りたい」。このマルチカルチャーという言葉は、ニコラスも取材の時に何度も口にしていた。SNSがあり、サブカルチャーが生まれにくいこの時代だからこそ英国では、カルチュラルスタディーズの視点で切り込んだような、ストーリー性やバックグラウンドのあるファッションが注目されているのだろう。

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