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Interview with
Mademoiselle Yulia
(Kimono Stylist / DJ)

Interview with
Mademoiselle Yulia
(Kimono Stylist / DJ)

自由に服を着ることが東京らしい服装
マドモアゼル・ユリア

世界各国でのファッションウィークに参加し、常に時代の最先端にいるマドモアゼル・ユリア。幼い頃から原宿や青山を生活圏内として過ごしてきた生粋の東京人だ。中学生の頃にはパンクバンドを結成し、その後始めたDJとしての音楽活動は、当時から様々なイベントに呼ばれるほど評価されている。最近は着物スタイリストとしての活動を精力的に行い、常に新たな一面を見せ続けている。その日本人離れすらしているセンスとスタイルは、リアーナやジェレミー・スコットを始めとした世界中のクリエイターをも魅了しているほどだ。そんなマドモアゼル・ユリアは、生まれ故郷の東京をどう捉えているのだろうか。
 
「10代の頃はずっと海外に行きたいと思っていました。でも海外へ行けば行くほど、日本のことをますます知りたくなりましたし、どんどん好きになっていきました。生まれ育った場所だから居心地がいいってこともありますが、東京のごちゃごちゃしたカオスな街の雰囲気が好きなんです。カオスだからこそ、誰がどんな格好をしていようとあまり気にしないじゃないですか。例えばパリへパリコレ以外の時期に行くと、華やかな服装をしている人をあまり見かけることはないんです。現地の人は茶色などの地味な色味の服装をしていることが多くて。そんな通常のパリで派手な格好をしていると、悪目立ちしてしまうんです。でも東京だとそんなことはないですよね。良くも悪くも放っておいてくれるというか。東京の人は他人に干渉し過ぎることがなくて、だからこそ一人一人が個性を持って生きることができるのではないでしょうか」。
 
この話を聞いて東京の街中を改めて見てみると、「東京らしい服装」という特徴を捉えることが難しい。だが同時にそれは、思い思いの服を好きなように自由に着ることこそが、東京らしい服装であり特徴と言えるのかもしれない。
 
 

人が集まってくるからこそ
東京では何かが起こる

 
コロナ以前は世界中を飛び回って様々な場所を訪れていたマドモアゼル・ユリア。東京は彼女にとっての生まれ育った街ではあるが、今も住み続けている理由はどこにあるのだろうか。
 
「一時期はロンドンに住みたいとずっと思っていました。人の雰囲気とか、どこか東京と似ている部分があるんです。でもやっぱり日本の方が街は綺麗ですし、サービスも整っている。何より生まれた場所なので住みやすいんです。去年までは、着物や日本文化全般を学び直したいと思い大学へ通っていました。その時は月に何度か京都を訪れていて。慌ただしい東京とは違い、時間がゆっくり流れていて、また違った魅力に溢れている場所です。京都は街の景色に着物が馴染んでいて大好きです。いつか今の仕事が落ち着いたら、京都に住むことにも憧れています。でも今は、ファッションや音楽の現場は東京が多くて。この業界にいると世界中の人に出会う機会が多いのですが、意外にも東京で知り合った人は多いんです。東京は世界中から人が集まってくるから、何かが起こりやすい場所なのだと思っています」。
 
 

着物の魅力を広め
東京の景色に馴染ませたい

 
着物の着付け教室を行うなど、着実にその魅力を発信しているマドモアゼル・ユリア。彼女の活動は東京だけでなく世界からも注目され、イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)から、とある依頼が舞い込んだという。
 
「V&Aが着物展を開催した際に、日本で着物を普段から着ている人にインタビューしたいとお声がけいただいたんです。それから何度か彼らと話す機会があり、その着物展のメインビジュアルのスタイリングも任せてもらえることになりました。ブーツを履かせたいという要望がV&Aからあったので、あのスタイリング(ページ右上の写真)になりました。モデルさんの纏っている雰囲気やポージングと相まって、モダンな着物スタイリングになったと思います。19世紀には西洋でジャポニズムブームが起こりましたが、今でも海外には日本や着物に興味を持っている人が多いと思います。洋服ではできない表現がありますし、海外の人の方がその楽しみ方に気づいているのかもしれません。特にヨーロッパの人たちは、自国の文化をとても大切にしていますよね。それは隣接している様々な他国の文化に触れる機会があるからこそ、他者をリスペクトできたり、逆に自国の文化を大切にしたくなるんだと思います。今では国内にいても他国の文化に触れることができる時代になっていますよね。だからこそ、特にファッションに興味のある日本の若い人たちに着物の魅力を知ってもらいたい。最初は、『かっこいいな、着てみたいな』っていう感覚から始めていいと思います。それがだんだんと自己表現のツールとなったり、ワードローブの選択肢の一つとして着物を楽しめる世の中になれば楽しいなって。そうなれば、東京の街の景色はもっと面白いことになると思っています」。

ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にて2020年に行われた「Kimono : Kyoto to Catwalk」のメインビジュアル。スタイリングをマドモアゼル・ユリアが、撮影はロンドンで活躍するpiczoが手がけた。「和」をモダンにアップデートし、グロー バルで大きな反響を生んだ。

 
 
マドモアゼル・ユリア
 
10代からDJやシンガーとして活躍し、現在は着物のスタイリングやコラム執筆など活躍の幅を広げる。着物はもとよりコアな洋服好きとしても知られ、世界各国のファッション関係者やクリエイターとの繋がりも強い。
 
 
 

Photo Takako Noel Interview & Text Yutaro Okamoto

 

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