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Interview with Kyle Ng
(Brain Dead)

Interview with Kyle Ng
(Brain Dead)

ブレインデッドというブランドは
大好きなカルチャーを表現する場所 カイル・ウン


 
ポストパンク、コミック、アートフィルムなどからインスピレーションを受け、唯一無二のハイクオリティなグラフィックウエアを展開しているブレインデッド。前ページまでのファッションビジュアルでその独自の世界観をお届けしたわけだが、昨年、LAに映画館をオープンさせたようにブレインデッドの活動は、アパレルだけにとどまらない。
 
すべては大好きなカルチャーのために。それらを広めて、保護し、それを好きな人たちと交流できる場を作る。それこそがブレインデッドの目的なのだ。その実現のために、ブランドはどのように考え、どのようなアクションをしているのか。創設者であり、デザイナーであるカイル・ウンに話を聞いた。
 
 

服作りは僕がやっていることの
アクセサリーに過ぎない

 
「僕とパートナーのエド・デイビスはもともとキュレーターとして、アートの展示会のキュレーションなどをしていました。次第に自分たちでも同じようにレベルの高い表現がしたいと思い始め、その表現の場を作ろうと思って、ブレインデッドを立ち上げたんです。アパレルはその一環として作り始めました」とブランドの始まりを語るカイル。アパレルは、あくまで自分たちのアイディアを他人へと伝える伝達方法の一つなのだ。そんな彼らの表現の軸は、こよなく愛し続けるサブカルチャーと自身のライフスタイル。ブレインデッドのプロダクトは、それらをマーチャンダイスというアプローチで、Tシャツから椅子まで様々な形で具現化している。
 
「ブレインデッドのお店に行くと分かると思いますが、生活に必要で人生を充実させてくれるものばかりが揃っていると思います。僕の生活のメインは、スケートをして、インディーズ映画を見に行って、DJをして、レコードを集めて、とにかくいろんなことを楽しむこと。そういった意味では洋服は僕がやっていることのアクセサリーに過ぎないのかもしれません」。
 
服作りをアクセサリーと呼んでしまうことには少々驚かされるが、とにかく趣味を楽しむことが彼のアイディアの原点である。そんな自由な感覚を持つ彼だからこそ、誰にも真似できないグラフィックを生み出すことができるのだ。一方でブレインデッドのウエアは、作りのよさもポイント。特にTシャツのシルエットは美しく、手にとればただグラフィックをプリントしただけではなく、こだわって作られていることがわかる。自由な発想から生まれる無二のグラフィックとハイクオリティな作り。ブレインデッドの服の魅力はそんなところにもある。

8月には映画館に続き、ブレインデッドファブリケーションズもオープン。「子供の頃に通っていた近所をサポートするホームセンターのようなお店にしたい」と思って開いたスペースでは、ワークウエアをテーマにアパレルやグッズを販売。イベントや展示会も開かれるこの場所は、ブレインデッドのファンの溜まり場となっている。

今年春に開店したブレインデッド原宿店。コロナ前には毎年2~3ヶ月東京で過ごしていたほど、東京をこよなく愛すカイル。「ワークショップやイベントを開催して、東京のクリエイティブコミュニティをサポートする場所であって欲しい」とのこと。

 
 

コミュニティのために
できる限りのことをする

 
直感から生まれるアイディアが、洋服や椅子のようにプロダクトとしてのかたちとなることも多いが、「もっと自由に自分のライフスタイルの中での様々な興味や趣味を表現したいと思っている」というカイル。「大好きなアート、食、映画、音楽、スケート、その魅力をちゃんと伝えたい。去年映画館をオープンしたのもそんな思いがあったらからです」。ポップアップではなく、週5回映画を上映している正真正銘の映画館。「後ろにあるレストランも含め、全て細かくキュレーションしています」との言葉通り、1階に劇場を備えた会場は、2階にはブレインデッドのアパレルやグッズ、そしてカイル本人がセレクトしているレコードも販売されているし、彼がセレクトした本が読めるラウンジスペースもある。
 
アートの展示会からスタートした彼のキュレーターとしての活動は、今やレストランの食、映画、レコードや本のセレクトにまで発展した。「これからの目標は、自分が面白いと思うものを見つけて、そのコミュニティのためにできる限りのことをすることです。映画館を始めた最大の理由は、子供の頃に自分を築き上げてくれたカルチャースポットがなくなってしまったら、次の世代はモノを消費する以外に何をして育つのだろうと心配していたからです。この映画館はお金を稼ぐ場所ではなく、人が集まれて、コミュニティや文化を大切にできる場所であってほしいと思っています」。
 
フィジカルな体験から生まれる人の交流や会話の力を信じることで、カルチャーが生まれる。カイルが作ったこのスポットから、どんな新たなカルチャーが育つのか実に楽しみだ。こんなキーパーソンがいるならストリートの未来は暗くない。想像を超えるアクションを次々と展開するブレインデッドにこれからも期待しよう。

カイル自身が小さな頃から通っていたフェアファックスの映画館を引き継ぐ形でスタートしたブレインデッドの映画館。昨年オープンし、大きな話題を集めたこの場所では、自身が影響を受けた様々なムービーを上映しているほか、カフェ、ショップも完備しており、LAのカルチャー発信基地として機能している。

 
カイル・ウン
2014年、エド・デイビスと共にブレインデッドを設立した創設者兼デザイナー。自身がこよなく愛するSF映画、コミックブック、ポストパンクなどの要素を服、家具、靴、アニメなど様々な手段で表現している。唯一無二のグラフィックは世界中で高い人気を誇り、数多くのブランド・企業とも多数のコラボレーションを行なっている。

 
 
◯BRAIN DEAD
https://wearebraindead.com
 
 
 

Interview & Text Mikuto Murayama

 

This article is included in

Silver N°14 Winter 2021-22

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