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Interview with
Jeanne Signoles (L/UNIFORM)
about Daily Necessities

Interview with
Jeanne Signoles (L/UNIFORM)
about Daily Necessities

Jewelry by Marie-Hélène de Taillac
デザイナーのマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックが、インドで出会った宝石の美しさと職人の技術に惚れ込み、1996年から開始したジュエリーブランド。貴石と半貴石を隔てなく作品に落とし込み、純粋な色石の美しさに魅了されるファンが多い。
心地良い日常に寄り添えるモノこそがラグジュアリー
ジャンヌ・シニョール

日常に寄り添う高品質なバッグをメインとした、フランス発のライフスタイルブランド、リュニフォーム。そのファウンダーでアートディレクターを務めるのがジャンヌ・シニョールだ。2014年のブランドスタートから世界中の高感度な人々を魅了し続ける、そのブランドを指揮し3児の母でもあるジャンヌ。彼女の考える「毎日を共にしたいモノ」は何か。また、どういうモノこそ持ち続けるに相応しいのかを訊いた。
「私にとって、毎日同じモノを持ち歩くということが儀式のような感覚で大切にしていることなの。思い出の詰まったモノ、特別なストーリーのあるモノを身に着けて生活することは、心強くしてくれるし、良いバイブスを与えてくれると思う」。ジャンヌは、服に関して言えば毎シーズンのように新しいモノを買っているようだが、身に着ける小物類は、お守りに近い形で日々身につけているようだ。「ファッションは私にとって無駄なモノではなく、自分と自分の気分を表現させてくれるモノ。今までに買った服をすべて保管していて、今では良いコレクションが集まった感じがしているわ。でも、服以外のジュエリーなどのアイテムに限っては、1つのモノを大切にするタイプ。夫と結婚するまではあまりジュエリーをしてこなかったけれど、結婚してからはイヤリングやネックレスなどをするようになった。プレゼントされた時や買った時の思い出、瞬間を捉えるというコンセプトを大切に身に着けるようにしているの」。そう言ってジャンヌが普段、欠かさず身につけているいくつかのアイテムを紹介してくれた。
 
 

その日の気分で色や形を
選ぶことのできるジュエリー

 
その中でも、特別愛用しているというマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックは、色石の魅力を最大限に引き出した、1つ1つ職人の手作業によって作られるジュエリーブランドのモノ。「私が持っているジュエリーの中で、イエローゴールドではないものはマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックだけ。とてもカラフルで、その日の気分に合う石が使われたジュエリーを選んで毎日つけているの。ほかのジュエリーを買うことはないわ」。貴石を使用するジュエリーブランドの多くは、石を削り使用することが多いが、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックは、そのままの状態でジュエリーとして製作されるモノが多い。そういった自然な美しさや、石が持つ意味を身に付けるというポエティックな部分もジャンヌは惹かれているという。
 
 

思い出とともに過ごせる
ストーリーのある小物たち

 
また、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのほかにも、ジャンヌにとって欠かせないジュエリーがあるようだ。それは、子供の頃から身につけているという金のチェーンネックレス。「このチェーンには色々なペンダントが付いているわ。父が教会で洗礼を受けたときに貰ったというメダルは、私が幼い頃に譲り受けたのですが、その頃は歯が生え変わる時期で、あまりのむず痒さにこのメダルを噛んでいたの(笑)。だから、今もこのメダルには当時の噛んだ跡が残っているよ。そのメダルと一緒に付けている小さな貝殻は、北スペインの別荘の近くに小さなビーチがあるんですが、夫と散歩していた時に、『プレゼントだよ』と突然渡してきたのがこの貝殻だった。そのほかにも、夫の母親から貰ったダイヤモンドをマリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックに頼んで加工してもらったペンダントや、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのラッキーチャームを付けているわ。そういう思い出のあるモノは、心から大切にできるし、お守りのように首にかけることで、良いエネルギーを得られると思う」。マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのジュエリーと、思い出の詰まったネックレス。この2つのほかに必ず毎日身につけているのが、ゴールドのロレックスデイトジャストだ。
 
気品があり、芯の強いイメージのあるジャンヌにゴールドのアクセサリーはとてもよく似合うのだが、勿論この腕時計にも彼女にとって特別な思い出がある。「夫は大のアンティークロレックス好きなの。コレクションを沢山持っているんだけど、東京に行くたびに銀座や新宿のアンティーク腕時計屋を覗いているわ。2人とも東京に仕事で来ていた時に、朝食を食べていたらこれをプレゼントしてくれたの。その時は30歳の誕生日で、私が仕事している間に内緒で買いに行っていたみたい。全部ゴールドで、とてもシンプル。私にとってこれが初めての腕時計だったけれど、それから欠かさず身につけているんです」。
 

Childhood Necklace
ジャンヌが、子供の頃のネックレスと呼んでいるゴールドのチェーンは、様々な思い出のペンダントを付けて毎日、お守りのように身に付けている。父親や夫、夫の母親から貰ったモノや3年前にジャイプールで買った小さなインドの鈴など。

Rolex Datejust
30歳の誕生日に夫からサプライズギフトとして貰ったというロレックスのデイトジャスト。1970年のモデルで、風防もオリジナル。フェイスやベルトなどゴールドで統一されたシンプルなデザインをジャンヌも気に入っているという。

Bags by L/UNIFORM
その日の気分や服装に合わせて選んでいるというリュニフォームのバッグ。その中でも特にジャンヌが気に入っているというNo.177(左)、No.25(中)、No.72(右)。フランスの高品質な生産背景の中でこのバッグたちは作られる。

Trunk & Vintage Denim
これは毎日使うモノではないが、国内外を旅することの多いジャンヌが、必ず旅先へ持っていくというリュニフォームのトランクと、ヴィンテージのリーバイス®501®。この501®は、原宿のヴィンテージショップで購入したという。

 
 

日常に寄り添う
エッセンシャルズ

 
そういったエッセンシャルなモノの価値を、ジャンヌが手掛けるリュニフォームでも大切にしているのがわかる。仕事にも遊びにも様々なシーンに寄り添うバッグが揃っているリュニフォーム。ジャンヌに話を聞いていると、人生において必要不可欠なモノを見極める力がある彼女だからこそ作られたブランドなんだということを感じた。「エッセンシャルズを作るということを大切にしています。ただ土曜の夜に友達とどこかへ飲みに行く時に使うハンドバッグだけではなく毎日使えるバッグ。かといって、つまらなくはない。クラシックなデザインと色が大好きだから、リュニフォームを作る上でもベーシックなデザインと様々な色の組み合わせを意識しているの。新しいバッグを考える上で実用性も大事にしている。私のデザインのほとんどは実用性のあるバッグや作業員のバッグからインスピレーションを受けているわ。バッグは心地良くなくてはならない。例えば、ハンドルが心地良くない場合、皮の取っ手をつけることで持ちやすくしたり。だから私はデザイナーではないと思っているの。あくまで、作業員のバッグや実用性のあるバッグをタイムレスにする為に、現代の生活に馴染ませているだけだわ」。マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックのジュエリーのように、様々な種類やカラーを選べるリュニフォームのバッグ。ジャンヌもその日の服に合わせてバッグを選ぶのが日常の習慣だ。特に紺色のキャンバスで仕上げたNo.177や、ベージュとブラウンの皮で配されたNo.25、カーキとエンパイヤーグリーンのNo.72がお気に入りのようだ。今は新型コロナウイルスの影響で、海外へ行くことができないが、国内外を旅することの多いジャンヌは、旅先にも必ずリュニフォームのトランクケースを持っていくという。「ラゲッジコレクションは、リュニフォームを始めるきっかけを作ったの。フランスの家庭では、バカンスに行く時、母親が荷物をラゲッジに詰めて、父親が車に積むことが多い。ある日、カルカッソンヌにある家にバカンスで1ヶ月行く時、車のトランクの中が様々な形状や色のバッグで積まれていることに気付いてしまったんです。ブランドのモノ、カジュアルなモノやクラシックなモノなど、バラついていて嫌だった。もっと頑丈で、実用性がありカラフルなラゲッジはないのかと考えたわ。息子や娘たちにも色違いのモノを作って、頭文字を入れてカスタマイズ出来たら……。このアイディアがリュニフォーム誕生のきっかけでもあるの」。リュニフォームのバッグやアクセサリーは、こうしたジャンヌが実際に経験してきたことから基づいて作られることが多い。リュニフォームのプロダクトの中でも意外性のあるヨガマットもそう。ヨガが好きなジャンヌが、これまでのヨガマットにあった決して良いとは言えないピンクや紫の配色を一変し、自分が使いたいモノとして製作した。そうした日常に潜むアイディアをジャンヌはとても大切にする。

歴史的建造物や煉瓦を用いた建築が多く、その色合いの特徴から「バラ色の街」と称されるフランス南西部の街トゥールーズ。今年になって引っ越したというアパートも歴史的建造物らしい雰囲気のある造り。空港にも近く、適度に都会であることが住みやすいという。

 
 

私にとってラグジュアリーは
毎日を心地良く生きること

 
ジャンヌが今、拠点にしているのは、フランス南西部の街トゥールーズ。歴史的建造物でもあるアパートは最近購入したばかりだという。学生時代にトゥルーズでも生活し、数学を勉強していたジャンヌ。その後パリやカルカッソンヌでも生活をし、居心地が良く、オフィスや工場にも行きやすいトゥルーズに戻ってきた。コロナ前は、ほとんどの時間を飛行機の中で過ごしていたジャンヌ。家や家族と離れていたことが多かったようだ。勿論、世界的に辛い時期ではあるが、家族とゆっくりした時間を過ごせていることはとてもポジティブな感情になるという。そうした生活の中で欠かせない時間は何か、ジャンヌに聞くとこう話す。「毎日、セロリジュースを飲んで1日が始まり、母親のハムを使ってフランスタルティーヌを息子のジョルジュの為に調理する。そして朝10時にはコーヒーを2杯連続で飲む。夜7時にはタバコ1本とボルドーの赤ワイン1杯を楽しむ。寝る前には歯を磨いて、夫と面白い会話をするの」。決して珍しいことではない何気ない習慣ではあるが、そこにはジャンヌらしさのある温かな日常を感じる。とても上質なライフスタイルだ。また、ジャンヌにとって、決してブランドのバッグや服に身を包む価値観が決してラグジュアリーではないという。「私にとってラグジュアリーというのは、高級ブランドのバッグを持つことではない。自分の人生を考えた時に、仕事に行く時やスーパーに買い物に行く時、そういう小さな生活の重なりが人生で、それこそがラグジュアリーだと思うわ。その為には、毎日を過ごす上で、良いルーティーンを作って、良い仕事をする為に良い時間を注ぐこと。毎日を心地よく生きることが大事で、そういった生活に寄り添える日常的で上質なモノこそがラグジュアリーだと思うし、リュニフォームはそんな時間を共にできるように作っているわ」。自分の日常を心地良くすることこそがラグジュアリー。消費のサイクルが早い昨今の風潮の中で、忘れかけていた大切なことに気付かせてくれる言葉だ。まずは日々の生活を良くすることから考える。そして、その生活の側には何があれば気持ち良く過ごせるのか。そういったモノこそが毎日を共にすべきモノなんだとジャンヌは教えてくれた。

 
 

ジャンヌ・シニョール
1977年フランス・ボルドー生まれ。L/UNIFORMのファウンダー、アートディレクター。航空と金融の仕事を経たのち、ラグジュアリーブランドを経て2014年からL/UNIFORMを開始。

 
 
 

Photo Mari Shimmura Interview Mikuto Murayama Edit & Text Takayasu Yamada

 

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