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Interview with
 Hideaki Yoshihara (HYKE) about LIFE with GOOD DESIGN

Interview with
 Hideaki Yoshihara (HYKE) about LIFE with GOOD DESIGN

Compass Desk  Jean Prouve

ジャン・プルーヴェのコンパスデスクは、一番付き合いが長く17,8 年ほど前にパリのパトリックセガンというギャラリーで購入したもの。以前のブランドgreen のお店で、レジカウンターとして使っていた。現在は多目的に。撮影時のメイクテーブルとしても活躍している。購入時はまだプルーヴェの作品が今ほど高騰しておらず、木箱に梱包されフランスから東京まで来たその運送費が、デスクとほぼ同額、それ以上だったとか。

ヴィンテージの本質的な魅力に寄り添う
「存在に違和感がなく、心地よさを感じる。流行に左右されず、時代を超える」。
HYKEのデザインをパートナーの大出由紀子とともに担う吉原秀明に、デザインの良いプロダクトの条件を聞くと、迷いなくこう答えた。2人が生み出してきたHYKEの服を見て、触って、袖を通す。これだと思う。そう頷くように、この答えに納得した。インタビューを行ったオフィスの空間も同様に。クリエイションを行う上で、身の回りにあるプロダクトから影響を受けることは、自分で選んだものに囲まれて仕事をしているので間接的にはあると思うと吉原は言う。新オフィスに移転したのは2016年。元々撮影スタジオだったビルの要素と機能を残しながらインテリアデザイナーの佐々木一也氏に依頼し、リノベーション。場所を決めた時に芽生えたビジョンを実現できる贅沢な空間が完成した。

 

「心地よい空気感の中で仕事をする方が、僕らにはいい。オフィスは自宅よりも長くいる場所。自分の好きな空間、プロダクトに囲まれているとプラスの要素があるのかなと。このオフィスを作ったのは、表現の幅を広げるためもう少し“作り込む”ということがしたかったから。ここでビジュアルを作ったり、プレゼンテーションをしたり。作り込んだものを表現していくことが、自分たちにとって魅力的だったんです」。

インダストリアルな空間に並ぶ家具は長年使用していたものと、新しく購入したものがある。嗜好は一貫している。

「シンプルなデザインで長く使うことができるもの。丈夫で使いやすく、質感の良いものに惹かれます」。

特に好きなプロダクトデザイナーを尋ねると、ル・コルビジェやシャルロット・ペリアン、ジャン・プルーヴェなどの名が上がる。吉原がこれらと並ぶ、もしくは超えるほどの魅力を感じているのが、ワークウェアやミリタリーウェアなどのデザインを生み出してきた多くのアノニマスなデザイナーたちだ。

 

「ほぼ毎日使用しているコーニング社のUS.NAVYのマグカップはミルクガラスの色合いや質感が素晴らしい。これらは企業の創業者はわかっても、プロダクトデザインを誰が担ったかはわかりません。使用用途を優先し、当時の技術を最大限生かしたことで生まれるデザインに惹かれます」。
それは、ハイクのクリエイティブの哲学にも繋がる。ブランドコンセプト“HERITAGE AND EVOLUTION”の通り、服飾の歴史や遺産をベースにHYKEの感性で進化させることを考え、服が生まれていく。

 

「グリーンではシーズン毎にテーマを色濃く打ち出し、大切にデザインしてきましたが、ハイクを立ち上げてからはそこに深くこだわり過ぎず、どちらかというと過去にあったデザインや、スタイルのようなものをインスピレーションソースにしています。ユーズドやヴィンテージウェアの持つ本質的な魅力を残しつつ、自分たちのフィルターを通してどう進化させていけるのか、どれだけ独自の個性を表現できるかにこだわり、重きを置いている。そこにフィーリングというか、今面白いと思うものを重ねて、次はこういうのをやってみようか、もう一回違う角度から切り取ってみようとか。再構築しながら、アップデートしていくように」。

 

HYKEらしい表現でアイデンティティを伝えるアディダス オリジナルス、マッキントッシュ、そしてザ・ノース・フェイスとのコラボレーションを発表しているハイク。歴史が確立したブランドとのものづくりで、“ハイクらしさ”は、どう表現しているのか。

 

「大きくデザインする部分もあれば、小さくデザインする部分もある。どちらも同じだけ時間をかけて考えています。それは積み上げていくデザインというよりは、全体の調整というかチューニングのような。ザ・ノース・フェイスで使用される素材、仕様やデザインはアウトドアスポーツの衣類として常に最先端の技術が反映されています。アーカイブにインスピレーションを得ることがあっても、あくまで現代の感覚、技術を優先して、ハイクの考え方、デザインと融合させる。そうすることで、今の時代にとって新しいデイリーウェアが生み出せるのではないかと。ハイクのテイストを調味料のように加えていきながらチューニングしていく。その感覚というか、加減が“ハイクらしさ”に繋がると思っています」。

 

このチューニングの加減が、双方のブランドのファンを魅了する。ファッションは表現であり、コミュニケーションなのだ。

 

「極力シンプルなデザインの中に、そのシーズンの提案したいこと、取り入れたいことをテイストとして盛り込み、できるだけ少ない要素でそれが伝わることが一番いい。インスピレーションソースというか、盛り込んでいるアイディアが、一着のからお客様に伝わるといいなと」。

 

理想ではある。ハイクはその理想を現実にし、服を手に取る人にそれを伝え続ける。

 

Beomaster 1001 Bang & Olufsen
ヤコブ・イェンセンが手がけていた、過去のバング & オルフセンのオーディオが好きで、以前のプレスルーム用にと探していたところ、見つけたのがこのヴィンテージのBeomaster 1001。名前は忘れてしまったが、渋谷にあるヴィンテージのオーディオを専門に揃えている店で購入したもの。このアンプが発売された1970年代のオーディオは、デザイン的にも惹かれるものがいくつかあって、その中からこれが選ばれた。

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