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Interview with

Fumika Uchida

about LIFE with GOOD DESIGN

Interview with

Fumika Uchida

about LIFE with GOOD DESIGN

Petal Dining Table Richard Schultz
アメリカのデザイナー、リチャード・シュルツが花びらをイメージし、1960 年にデザインしたテーブル。「このテーブルで朝食を食べたいと思って買い、自宅でもずっと使っていたんですが、2 年くらい前にロサンゼルスで見つけて事務所用にも買いました。この時代の家具ってすごく良いですよね。何年経っても見た目が古くならなく、むしろ常に新しい感じがする。これを超えられるものが今後出来るのかと思うくらい、好きなプロダクトです」。

 

瞬発力と持久力を兼ね備えたデザインの魅力
ちょっとしたアイディアで
新しさを感じさせる表現

”アイデンティティのある女性のための服” をコンセプトに服作りをおこなうブランド、フミカ_ウチダのデザイナー内田文郁。今回取材場所となったのは、今年10月にオープンした初となる直営店の店内だ。そこは、内田のデザイン哲学を伺える服や什器などのプロダクトが置かれた空間。

そんな空間の中、彼女にとってデザインの良いプロダクトの条件を聞くと、力強くこう答えた。「世の中には色々なデザインのものがあるのですが、私が好きなものを考えた時に思い当たるのが、瞬発力と持久力が両方兼ね備えているデザインです。瞬発力があるデザイン、つまり斬新で目新しいものは世の中には結構あって、ぱっと見は欲しくなるんですが、それだけだと私は段々と飽きてきます。逆に、持久力だけでもつまらない。その両方を持っているデザインに出会った時に、私はどうしても惹かれてしまうんです。洋服でいうと例えば、マルタン・マルジェラがデザインしたエルメス。今でも高値で取引されていますが、そのデザインを見ると何か特別に変わったことをした訳ではないと思うんです。ちょっとしたアイディアだったり、ニュアンスで新しく表現できることって一番優れていると思うんです。枠からはみ出さずに新しいことにトライする感じが好きですね」。

“枠からはみ出さず、新しいことを表現する”。内田が自宅や事務所でも愛用するという、リチャード・シュルツのペタルテーブル(右ページの写真)は、まさにそんなデザイン哲学が反映されたプロダクトである。「デザインだけではなくて、機能性も考えられているものには魅力を感じますね。このシュルツのテーブルも、天板と脚というテーブルの基本的な部分からはみ出さずに表現している。好きなプロダクトデザイナー、シャルロット・ペリアンがデザインしたウォールライト“CP1”は、シンプルに見えて、壁につけた時の光の反射する角度などがかなり計算されています。ミニマムなデザインの陰にあるセンシティブさ、それは私の服作りでも大事にしている部分です」。

デザインの良い物が与える
無意識なインスピレーション

実際に、家具などのプロダクトが内田の服作りに影響を与えるという。
「その時々で気になっているプロダクトがあるのですが、例えば、壺であれば、壺のような質感のテキスタイルを生地に使いたくなったり、ガラスの作品が気になっている時であれば、透け感がある生地になったり。無意識なんですが、服以外のもので魅力を感じる物が、服作りに影響を与えることは多々ありますね。そういった物からインスピレーションを受けていることに自分も後から気づいたりするんですよ」。

フミカ_ウチダの服が自立したファッション感度の高い女性に支持を受けるのには、内田がこれまで着る物も、使う物も本物を知り、実際に体感してきたから自分が発信できるのだろう。ヴィンテージショップの名店“ジャンティーク”のバイヤーとして、手腕を振るった彼女だからこそ蓄積された、時代を超える服の条件。また、ジャンティークの代表である夫の内田斉の影響もあり、お互いの好きな物が自然と集まる自宅。

「旦那のインテリアのセンスやポップアートの見方は、自分にはない部分を持っていてすごく尊敬しているんです。自宅に関しては、旦那の思考が強かったりするので、新しく買ってきたものも初めは、なんだこれって思 うんですが時間が経つにつれ、意外と良いなと思えてくる。お互い気になった物はとにかく買うタイプなので、うちは物量が多いですね。でも良いものを持っておくと、私はお店や展示会でそれが使える環境にいるので良い んです。“こういうディスプレイにしたいけど、どこで借りれば良いんだ”ってなった時に、すぐ思いつくものが用意できる。そういう部分も含めての表現だと思うので、持って温存しておくことが多いんです」。

良いデザインのプロダクトを知ること。また、それを持つことが、インスピレーションとなり、良いクリエイションに繋がる。その重要な行為を内田は自然に取り入れている。

ウチダ フミカ
中目黒の名ヴィンテージショップ“ジャンティーク”にて、バイヤー兼ショップスタッフとして経験したのち、 2014年より自身のブランド“フミカ_ウチダ”を開始。 http://fumika-uchida.com

Vintage Suit
「レディースのスーツを着ることはあまりないんですが、メンズの古いスーツが好きで何着か持っています。スーツは年代や国でデザインが変わるんですが、時代背景や流行りがすごく詰まっていて好きなんですよね。自分のサイズに直したり、肩を入れたりして着ています。物によってはそのまま着て、合っていないバランスを楽し むことも。女性がメンズ仕立てのスーツを着る方が私は格好良いと思っていて。私も毎シーズン、スーツを本格的に作り学んでいます」。

Mercedes Benz W123 280TE
家族で共有している車は、古着などの荷物も多く運ぶことが多いため荷台が広いことが内田家の条件である。「この車種は売っては買いを繰り返し、これで3台目。80年代くらいのものだと思います。子供が生まれたタイミングで、新しく機能的な車に乗り換えたりもしたんですが、結局しっくりこなくて。これは、ゴージャス過ぎず、ちょっとラフに使っても大丈夫そうなルックスが良く、自分に合っていると思える1台です」。

L: John Lobb City II
R: Schnieder Boots
ヒールなど女性的な靴も好きだという内田さん。それとは別にデザイン的に惹かれるのはメンズ的な仕立てのレザーシューズだと話す。「ジョンロブのシティ2は、メンズの型を履いているんですが、ワイズの太さやバランズが綺麗で気に入っています。シュナイダーブーツは、ミニマルなデザインと仕立てが魅力です。ロンドンのサ ヴィルロウにある工房で、大量にある在庫の中から自分に合ったサイズをかたっぱしから履いて、一番しっくりくるものを選びました」。

 

Reminiscence Patcholi
フランスのジュエリー&フレグランスブランドのレミニッセンス。国内での取り扱いは珍しい同ブランドの代表作である“パチョリ”の香水。「10代の後半くらい、大学に入ったくらいの頃に仙台のリヴォリューションというセレクトショップでこの香りに出会いまし た。大人の香りを感じましたね。それから色々と香水は使ってきましたが、どうやらパチョリベースの香りが私は好きみたいです。これはデザイン的にもクラシカルな香水瓶の感じが良いですよね」。

CP1 Charlotte Perriand
フランスの建築家、デザイナーのシャルロット・ペリアンが、自身の寝室で使用するために設計されたと言われるウォールライト。壁に設置し、アルミ性の反射板の向きによって光の具合を調整できる作りになっている。「いつかこのお店で絵を飾るときに一緒に設置したいと思って、今は使うことを温存して

 

Drawing Table
お店をオープンすることが決まった時に、ジェネラルリサーチの小林節正さんから贈呈されたという20年代アメリカ製の製図台。「マンハッタンにあるラルフローレンのお店で置かれていたものを、小林さんがデッサン用で使っていたようです。もともとスウェードだった天板も擦れてツルツルになっていたり、とろみのある質感の ニッケルシルバーの脚も好きですね。貴重なものなので、皆さんに見てもらえるようディスプレイとして使用しています」。

Chino Belt
インターネット上に情報が溢れている中、検索してもHPがなく、情報も出てこないブランド“Chino(チノ)”のベルト。「林さんという方がプライベートでやっていて、本人が好きなものを妥協なく作っているブランドです。アウトドアのバックルをインスピレーションに、シルバーで作っているベルトが素敵だなと思い、女性向けにオーダーし、少し細いタイプを作ってもらいました。お店でも取り扱っています」。¥49680

 

Rotring Rapid Pro Sharp Pencil
ドイツのハンブルグに本社を置く、1928年創業の文房具メーカー“ロットリング”。創業当時に盛んだったバウハウスの“産業にアートを”といった哲学を反映したデザイン性の高いプロダクトが多いメーカーだ。このシャープペンシルは、定規に当てて長い線をぶれずに書くことに定評を持つ1本。「細かいデザインを書くことが多いので、色々と試した中で、これはずっしりとした重さがあり使いやすくベストだと思って使っています。マットな質感も好きですね」。

 

Hotel’s Key Holder
今ではあまり見かけることのなくなったホテルで使われる客室用のキーホルダー。「最近のホテルはカードキーが主流ですが、昔の海外のホテルで使われていたキーホルダーに惹かれます。色がポップで可愛いので、気分で変えながら実際に家の鍵につけたりしています。カードキーと違って使い捨てじゃないからこそ、今に残ってい て、それをインスピレーションに次に繋がっていく。昔の物はそういう力を持ったデザインが多いんだな、と改めて思わせてくれる物ですね」。

Shop Information

文京区、本郷三丁目。ファッションエリアとは言えないこの場所に、今年10月オープンした初となる直営店。昭和9年に薬学研究所として建てられたレトロなビルの1階が店。オフィスを2階に構えた。この場所を選んだのには単に雰囲気のある建物が気に入った、という理由だけではない。「文京区出身の方の話を聞いていると、皆さん地元愛に溢れていて。文京区出身ということに対して誇りを持っている。そういう話を聞いていると、文京区に対しての憧れが湧いてきたんです。そんな中で物件を探していたら出会ったのがここ。以前はコンビニが入っていたようで、天井や壁もコンビニの内装の仕様になっていたんですが、天井を抜くと実は高さがあったり、装飾がされていたりして素敵だなと思いました。近所の人たちも、このありのままに近い内装を見て、この建物の古さに改めて気づいたようです」。時代を超えたものの魅力を見出し、そこに内田のエッセンスを投入し新しく見せる。まさにフミカ_ウチダのブランド観が表現された店内だ。

住所:東京都文京区本郷3-38-10 さかえビル1F
営業時間:火~金 12:00~19:00/土日12:00~17:00 月曜定休ほか不定休

 

Photo Tomoaki Shimoyama Interview & Text Takayasu Yamada

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