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Interview with
Daisuke Gemma (Creative Director)
about Fashion needs Music

Interview with
Daisuke Gemma (Creative Director)
about Fashion needs Music


 

ジャンルも年代も超えた
ミックスから生まれるもの

当時のロンドンを、源馬は「自由な空気で満ちていた」と表現する。無作為に興味を持った音楽やファッション、空間設計はブラウンズというショップにいたことで、彼の中で同居し、互いにリンクするものになった。そうした経験が、コレクションやランウェイのディレクションに携わる現在の彼の大きなバックボーンになっていることに疑う余地はない。そして6年の英国暮らしを経て帰国した彼は、そこで得た知識と経験を基に、冒頭で触れたような多彩な活動を開始する。「当時の日本では、どこか“職人でないといけない”というようなイメージが持たれてた気がします。もちろん、そうやって専門的に何かを続けている人にはビッグリスペクトですよ。だけど、僕たちにはそういう人にはないインプットがあって、だから違うアウトプットもできるんです。例えば、ヴァージル(・アブロー)はルイ・ヴィトンを手がけるようになって、真っ先に“ミュージックディレクター”という仕事を作りましたよね。そこに指名されたのがベンジー・BというDJなんですけど、彼はランウェイに若手のジャズバンドを呼んだ。しかも、白人の。日本だったら、ジョニオさんがアンダーカバーでショーの音楽をテクノの若手(マーズエイティンナイン)に依頼していたり。彼らの功績は大きいと思いますよ」。
  
余談だが、プライベートでも源馬と親交が深く、DJとしても活動しているヴァージルは近年ミキサーに凝っていて、来日時には源馬とともに巣鴨の中古機材屋を回り、ウーレイというドイツのメーカーのヴィンテージミキサーを大喜びで購入したという。「 僕もここの“1620”というミキサーを使ているんですけど、このロータリーミキサーとドープリアルというところのアイソレーターが僕のDJ機材の理想なんです。それは偶然なんですけど、ベースに上物が乗る感じとか、本当に奇跡的としか言えないようなバランスになる。ただ、クラシックなものは好きだけど別に懐古主義者じゃないから、アップデートがないと嫌なんですよ。フランソワKっていうアーティストがいるんですけど、彼は60歳を過ぎた今でも最先端のテクノロジーでDJするし、老眼鏡を掛けて曲を選んでる。ディスコにロック、ジャズ、ヒップホップにテクノやハウス、ダブとかあらゆる音楽を経験していて、特にワールドワイドFMのショー、『ワールドオブエコーズ』のジャンルを飛び越えたミックスセンスには本当に心を揺さぶられました。4時間くらいのDJセットがまったく長く感じられないんですよ。何をファッションとするかは人それぞれだと思うけど、高音質で新旧織り交ぜた選曲を彼のコンセプトに当てはめていく様が、僕にはどこか現代のファッションにも通じるように思えたんです」。
仕事も機材も洋服も、源馬の選び方は、多分にDJ的だ。明確なコンセプトがあって、その中にストーリーを作り上げていく。そして時に、それはジャンルや分野も超えていくのだ。
  
「昔は知識欲がものすごくて、音楽でもカルチャーでも、アンダーグラウンドなものにしか意味がないと思ってました。その曲が好きなのか、その知識が好きなのかわからない時代があったんです。だけど、ハーヴィーがレニー・クラヴィッツの曲をかけてるのを聴いたときに、レアだとかコアだとかなんてどうでもいいことなんだと思えたんです(笑)。ファッションも音楽も、物事ってひとつのものさしでは測れないですよ。僕の仕事がメジャーとアンダーグラウンドの架け橋になれたら素敵だな、といつも思っています」。

首にかけていたイヤホンは、自身が長年携わっているサカイとビーツ バイ ドクター・ドレとのコラボモデル。ヴィンテージ感あふれるプリントでパラダイス・ガレージのロゴをプリントしたTシャツもサカイで、海外のみで展開されているものだそうだ。

源馬が「奇跡的」と称したのが、札幌発のドープリアルが手がけるこのアイソレーター。彼がこの日見せてくれたプレイリストにはハウスやディスコテックだけでなく、ファンクを始めとするルーツミュージックも散見する。

源馬 大輔 静岡県出身。21歳で渡英し、セレクトショップの名門、ブラウンズでキャリアを積む。国内外のファッションと音楽シーンに精通し、その仕事内容はコンサルティングや商品開発、内装のディレクションなど多岐にわたる。

 
 
 

Photo Tetsuo Kashiwada Edit & Text Rui Konno

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